【概要】
A/I(ChatGPT4)を活用して文献をわかりやすくしました。引用元(離婚後の共同親権について~離婚後の子の養育の現状と共同親権に関する議論~)について、中高生以上を対象とした表記に修正しています。
【本文】
離婚後の共同親権について
― 離婚後の子の養育の現状と共同親権に関する議論―の要旨
【目次】
1.はじめに
2.日本の親権制度
3.離婚後の子の養育の現状
4.離婚後共同親権制度の導入をめぐる主な動き
5.諸外国(海外)の親権制度
6.過去の論点
7.おわりに
【本文】
1.はじめに
日本では、子どもが未成年の場合、結婚している間は両親が一緒に親権を持っていますが、離婚するとどちらか一方だけが親権を持ちます。離婚後も両親が適切に子育てに関わることが子どもの利益になると言われていますが、現状では面会や養育費の支払いが十分ではありません。単独親権では子育ての意思決定がしやすいですが、親権を持たない親が子どもと関わりにくくなることもあります。離婚後も両親が共同親権を持てば、子どもの養育責任が明確になり、円滑な面会や養育費の支払いが期待できます。最近では、離婚後の共同親権制度を導入する声が高まっています。日本の親権制度や離婚後の子育ての現状、共同親権制度の導入に関する動き、他国の親権制度を概説し、離婚後の共同親権についての議論を整理します。
2.日本の親権制度
(1)親権とは
親権とは、親が子どもを立派な大人に育てるための権利と責任で、大きく分けて、子どもの世話や教育に関する権利と責任(身上監護権)と、子どものお金や法律に関する権利と責任(財産管理権)があります。結婚している両親は、子どもに対して一緒に親権を持ちますが(民法第818条第1項、第3項)、離婚した後はどちらか一方の親だけが親権を持つことになります(民法第819条第1項)。
(2)離婚後の親権者の指定
離婚後、どちらの親が親権者になるかは話し合いで決めますが、うまく話が進まないときは家庭裁判所が決めます(民法第819条第5項)。裁判で離婚する場合も、家庭裁判所が親権者を指定します(民法第819条第2項)。親権者を決める基準は「子どもの利益」です。子どもにとって良いことは、色々な状況を考慮して判断されます。2018年のデータでは、離婚後に父親が親権者になったのは11.9%で、母親が親権者になったのは84.5%です。両親がともに親権者になりたいと思うと、どちらの親が子どもをもっと良く世話できるかが問題になります。このため、争いが激しくなり、子どもとの会いたいという不安が親権争いをさらに悪化させることがあります。
3.離婚後の子の養育の現状
離婚するとき、両親は子どもの面会や養育費について話し合いで決めます。この決定は、子どもの利益を最優先に考える必要があります(民法第766条第1項)。これは、平成23年の民法改正で明確にされました。平成24年から、離婚届に面会や養育費の取り決めがあるかどうかをチェックする欄が設けられました。しかし、面会や養育費の実際の状況は良くなく、離婚当事者がその重要性を十分に理解していない可能性が指摘されています。新型コロナウイルスの影響で、面会が難しくなったり回数が減ったりするケースも増えています。法務省は、話し合いができる場合はビデオ電話などの代替方法を検討し、話し合いが困難な場合は専門家に相談するよう勧めています。
(1)政府の対応
法務省では日本の離婚後の親権制度を見直すため、諸外国の親権制度について調査研究を行っています。平成31年には、24か国の離婚後の親権制度や子どもの養育方法について調査を依頼し、令和2年に結果を発表しました。また、家族法研究会では、離婚後の子どもの養育方法や共同親権制度の導入、面会交流の促進策などが検討されてきました。
(2)議員連盟の対応
平成26年に立ち上げられた「親子断絶防止議員連盟」(のちに「共同養育支援議員連盟」に改称)では、子どもが離婚後も両親と続けて関係を持つことが重要だという考えのもと、「父母の離婚後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案」が承認されました。この法律案では、離婚時に面会交流や養育費の取り決めを行い、安定した面会交流を実施することが求められています。また、国は関係維持を支援する活動や援助を行うことが盛り込まれています。ただし、児童虐待やDVの場合は、特別な配慮が必要です。現在、この法律案はまだ国会に提出されていません。
(3)海外からの勧告等
2019年2月、国連の「児童の権利委員会」は、日本政府の報告に対して、子どもの最善の利益のために、外国籍の親も含めた共同養育を認めるよう、離婚後の親子関係に関する法律を改正するよう勧告しました。さらに、非同居親との関係や直接の接触を定期的に行使できるように、人的資源、技術的資源、財源を十分に確保して対策をとるように日本に求めました。日本政府は、この勧告を真剣に受け止めていると述べています。
5.諸外国(海外)の親権制度
(1)離婚後の親権について
法務省の調査によれば、インドやトルコでは離婚後の親権は単独親権しか認められていませんが、多くの国では単独親権だけでなく共同親権も認められています。共同親権を認める国でも、ドイツやオーストラリアは原則として共同親権を認めていますが、カナダの一部やスペインでは父母が協議して単独親権にすることもできます。インドネシアでは、養育している親が子に関する決定をし、共同親権はあまり一般的ではありません。イギリス(イングランドおよびウェールズ)や南アフリカでは、父母がそれぞれ独自の親権を行使できます。
離婚後の共同親権を認めている国では、親権の内容が限定されている場合があります。例えば、ドイツでは子供にとって重要な決定には両親の合意が必要ですが、日常生活に関することは同居親が決められます。メキシコでは、離婚後も両親が親権を持ちますが、財産管理権だけが共同で行使され、監護権はどちらか一方が行使します。離婚後の共同親権で父母が対立すると、裁判所が判断することが多いです。裁判所では、専門家や関係機関が関与することがあります。オーストラリアでは、裁判所は子供や家族に関する専門家を家族コンサルタントとして指名し、報告書を提出させます。裁判所以外の対応として、韓国では離婚時に紛争解決方法を決めており、それに従って解決します。タイでは、社会開発・人間の安全保障省が権限を持ち、非合法な取り扱いを疑われる親に対して助言や警告を出すことができます。
(2)離婚後の子の養育の在り方
面会交流や養育費の取り決めは、韓国やオーストラリア、オランダでは法的義務とされていますが、多くの国では法的義務ではありません。しかし、離婚の裁判手続き中に、離婚の条件や共同親権に関して取り決めがされることがあります。面会交流に関しては、多くの国で支援制度があり、親への教育やカウンセリング、面会交流を監督する機関が設置されています。例えば、アメリカのワシントンDCでは、親に子育てクラスを受講する義務があり、ドイツやスウェーデンでは、行政機関が面会交流の取り決めを支援しています。養育費の支払いについては、アメリカのワシントンDCでは、司法長官室養育費支援部門が支援を提供し、支払い命令の取得や執行を行っています。また、スウェーデンでは、養育費を支払わない非同居親に対して、国から保護費が支払われることがあり、国が保護費分を求償する制度があります。
6.過去の議論
(1)離婚後の共同親権制度の導入
ア) 離婚による紛争の防止
共働きの増加や父親の育児参加が増えているため、子どもと親の絆が強まっています。離婚時に子どもを巡る争いが増えており、親権をめぐる紛争を防ぐためにも、共同親権制度の導入が良いという意見があります。しかし、制度が導入されても、親権をめぐる争いが緩和されないという意見もあります。
イ) 子どもの健全な人格形成と共同養育
欧米では、離婚後も子どもが両親との関係を維持することが、子どもの健全な人格形成に役立つとされています。しかし、離婚は子どもにとっても良い面があり、共同親権によってその良い面が損なわれるという意見もあります。
ウ) 面会交流や養育費の確保
共同親権制度が導入されれば、養育責任が明確になり、円滑な面会交流や養育費の支払が期待されます。しかし、現行法でも面会交流や養育費の取決めがあり、それが適切に行われていないのは制度の問題ではないという意見もあります。
エ) DVや虐待との関係
共同親権制度の導入には、DVや虐待があった場合の被害の継続や拡大の懸念があります。ただし、DVや虐待を行った親には共同親権を認めないという意見もあります。
オ) 家庭裁判所の負担と体制整備
共同親権を設定する場合、家庭裁判所の負担が増えるため、人員や予算の拡充が必要です。
カ) 子連れ再婚家庭への影響
離婚後に共同親権制度を使うと、養子縁組に関する民法が基本となります。再婚して連れ子と養子縁組をする場合、もう一方の共同親権者である親の同意も必要です。同意が得られず養子縁組ができないと、子供の将来や重要な医療決定に再婚相手は関与できません。その結果、再婚家庭の人間関係が不安定になり、子供の安定した生活が難しくなる可能性があります。
7.おわりに
1989年の国連の条約以降、世界中で離婚後も父母と関わることが子どもの権利として認められるようになりました。国によって詳細は違いますが、多くの国では離婚後の共同親権が認められています。日本でも、離婚後に父母が面会や養育費を通じて子育てに関わるように努めていますが、現状では十分でないと指摘されており、離婚後の子育てのあり方について検討が進められています。離婚後の共同親権制度導入の是非については、法律の専門家だけでなく、離婚経験者などの意見も取り入れて議論する必要があります。また、他国では、面会や養育費の支援体制が整備されていることが指摘されており、日本でも面会や養育費の確保について公的支援が必要だとされています。離婚後も父母が適切に子育てに関われるよう、どのような方策が示されるのか、これからの議論が注目されます。
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