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つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

俺たちのコンビニ―新米店長と仲間たち (メディアワークス文庫)/峰月 皓
¥578
Amazon.co.jp

故郷の小さな田舎町でコンビニを起ち上げた若き店長、牧水良平。
開店までの苦労を乗り越えた彼を待っていたのは、厳しい現実だった。
画一化を図るコンビニチェーン本部に抵抗し、オリジナリティあふれる
店を作ろうと奮闘するが、経営は赤字続き。
しかも、バイト店員が起こしたある事件が原因で、ただでさえ少ない
客足も激減してしまう。
閉店の危機に、牧水店長が打ち出した策は―!?
へこたれながらも前へ進む青年を描く、元気をもらえる
爽やか青春小説、再び登場。

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前作「俺のコンビニ」のその後を描く続編。
これも続編を待ち望んでいた作品。
前作も同様、物語や登場人物、文章も好みでスイスイ読める。
展開的に更なる続編もあるかな?


前作でコンビニの立ち上げを達成した良平たち。
今作では経営の難しさに直面する。

なかなか上がらない売上や、本部の方針との衝突、
客商売であるがゆえの難しさがリアルな印象。


全国的に安定した一定のサービスの質を保つチェーン店。
その有り難さは遠出した時に実感できる。

ただ、その個性の無さに物足りなさを感じるのも確か。
お互いに相反する要素なだけに、個性が犠牲になっている
現状は仕方無いのかもしれない。

本部としてチェーンのブランドイメージを守りたいという
理屈、主人公側と対立する立場ではあるけれども
良く理解できる。

とは言え、各店舗が知恵を絞って独自のサービスを
考案、提供してくれると、世の中にもっと楽しいお店が
出来るのでは?

マニュアル通りの若い店員の接客よりも、個性豊かな
おばさん店員の接客の方が親しみやすかったりするしなぁ。


客商売、中でも客層が幅広いコンビニという業種。
接客の上で起こりうるトラブルも数多い事だろう。

良平のお店で発生した客への暴力事件。
現実に発生したら、対応次第でやっぱり大問題に
なってお店はチェーンの信用問題に関わるだろうな。

もちろん事件の背景には、単に客を殴ったという事実以外に
そこに至るまでの理由やその後の対応があるんだけれども、
事実が先走ってイメージが出来上がってしまうという事は
良くある話。

マスコミのニュースなどが伝える事実は、伝える側の意思も
乗っかっている事で、偏ったイメージを受け手に
与えかねないけど、色々な背景がそこにはあって、
真実とは違っている可能性がある事を意識しておかないとなぁ。


そんな困難に立ち向かう良平と、高校生アルバイトの4人。
前作に引き続き、高校生達の成長が目まぐるしい。

トラブルに立ち向かう事で、成長する高校生、そして
店長である良平。
やっぱり成長は物語の醍醐味だ。

現実でもトラブルや試練を乗り切った事で実感できる
成長って少なくないもんなぁ。

出来る事ならそれらに直面したくは無いけれども、
人間のやる事に絶対は無い。
苦難を成長の糧にしていきたいものだ。


良平の言葉には胸を打つ物がある。
大学出たばかりの新米店長とは思えない位に。
若さゆえの情熱的な側面もあるけども。

店長、そして高校生達にとって人生の先輩であり
一人の大人だという立場がそうさせるのか。

「俺たちの仕事は物を売ることではない。
客が気持よく来てくれる店を作ること」

小売業だけでなく、サービス業など多くの仕事に
言える事だろう。

お客あっての仕事。
利用して良かったと思われる仕事がしたいものだ。

「全力を出すという事は、失敗した時の言い訳が
効かないから怖い。それでも全力でやらなければ、
到達できない場所がある」

必死にやる事の大切さを改めて教えてくれる言葉だ。
必死にやった上で失敗すれば、悔しさは物凄い。
しかし達成感など、得るものもまた大きい。

それは必死にやった者だけが、体験出来る素晴らしい
経験なのだという事。

クールにこなすのも格好良いが、一生懸命やるのも
また格好良いものだ。


それはそうと目玉商品の「生チョコ蒸しパン」、
これはかなり美味しそう。
食べてみたい…。
県庁おもてなし課/有川 浩
¥1,680
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地方には、光がある―物語が元気にする、町、人、恋。
とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。
観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、
地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。
「バカか、あんたらは」。
いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む―
いったい何がダメなんだ!?
掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける
苦しくも輝かしい日々が始まった。

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またしても久々の更新。
本は読んでるんだけど、ブログを書く時間と気持ちの余裕が…。
もうちょいしたら多少の余裕が出てくる…はず。


さあて本題。
書店で見かけて表紙が印象的だった本作。
ハードカバーなだけに購入に迷いがあったけど、感想ブログ読んで
よさげだったので読んでみた。
ふぅ、また本棚が圧迫されるぜ…。


公務員に対する「お役所仕事」への批判と、そうならざるを得ない
背景を感じさせてくれる作品。

不安定な世の中にあって、収入や雇用が安定している公務員という
立場は、なにかと批判を受けやすい。

知り合いの公務員もそうなんだけど、若手は安い給料と(部署に
よるらしいが)超過酷な労働環境で頑張ってるんだけど。

お役所だけの話では無いけれど、縦割りの社会ならではの
効率の悪さ、柔軟性の無さはいただけない所だ。

民間企業でも、同じような事が言える会社は珍しくないはず。
「上は分かってない!」という言葉はこの辺りから生まれている
のでは?

ただ、確実性や公平さを求められる立場だからこそ
そういったシステムが築かれている事も分かってあげないと
可哀想な気もする。
税金や予算がホイホイとムダに使われるのは誰もが
納得しないだろう。


最初は若さゆえの情け無さが出ている主人公の掛水。
しかし、売れっ子作家であり観光特使の吉門、元県庁職員であり
観光のエキスパートである清遠との出会いから立派に成長していく。

人の成長って物語の醍醐味だなと改めて思った。
そしてそれをもたらす大きなきっかけとして、人との出会いがある
という事も。

目指すべき人がいると努力する気力が湧く。
掛水にとってはそれが清遠であり吉門だった。

この2人はカッコいいプロフェッショナルとして描かれていて、
とても魅力のある人物だ。
そして人間としても個性のある大人。
良いものだ。

僕はあまり人を目標としないんだけど、凄いと思える人物に
出会うとやはり刺激になる。
逆にそう思われるような、凄い人になれれば素晴らしい。


そして有川作品おなじみのベタ甘な恋愛。
アシスタントの多紀ちゃんは仕事の出来るアルバイト職員。
そりゃあこんな娘がアシスタンなら意識しますよw

仕事の出来る女性は魅力的だ。
欲を言えば、たまにスキとか見せてくれるとなお良い。

吉門と義理の妹との恋などもあり、さすがは有川作品。


僕もそうだが、地方に生きている人間にとって、地方の元気の
無さは非常に気になる所。
たくさんの若い人が地元を出ていって、戻ってこないという
現状はかなり寂しい。

仕事が無かったり、娯楽が無かったりするからなぁ。

佐賀ではここ最近、映画のロケ地なんかの露出が目立つけど、
もっともっと全国に向けて佐賀をアピールして欲しい。

自分の住む地方には、なんにもないという謙遜の精神も美しいけど、
胸をはって住んでる地方、出身地の自慢が出来るような
事になれば地方の元気が取り戻せるのではと思う。

そして都会から人が戻ってきて、産業が活性化して
給料もUP…したらいいなぁw


巻末の有川さんと、実在のおもてなし課メンバーとの対談が
これまた面白い。
吉門のモチーフが有川さん自身だったとは!
記憶喪失になったぼくが見た世界 (朝日文庫)/坪倉優介
¥588
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18歳の美大生が交通事故で記憶喪失になる。

それは自身のことだけでなく、食べる、眠るなどの感覚さえ
分からなくなるという状態だった―。

そんな彼が徐々に周囲を理解し「新しい自分」を生き始め、
草木染職人として独立するまでを綴った手記。

感動のノンフィクション。

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前回のブログが4月初め…。

月日が経つのは本当に早い。
忙しいと特に。
まだまだ忙しい毎日だけど、またボチボチと書いていこうと思う。



本作を知ったのは新聞の広告欄。
リアルな記憶喪失の体験という物に興味を惹かれて読んでみた。

創作物なんかでありがちな記憶喪失の人物。
物語の演出を考えると、便利な設定だ。

そんな彼らが失っているのは記憶の一部である事がほとんど。
それに対して事故直後の坪倉さんは、上記のあらすじに
ある通り、ほとんど全ての記憶がリセットされてしまった状態だった。

身体は大人、中身は子供という言わば逆コナン状態…。
作中には坪倉さんのお母さんの記録も記してあるが、ご家族の方の
苦労はそれはもう大変な物だっただろう。

そんな状態から様々な事を、文字通り0から学び直した坪倉さん。
フィクションのように、失った過去の記憶を完全に取り戻す事は
なかったけれど、芸術家になるという未来を作る事は出来た。


坪倉さんの知人は言う。
事故の前後で記憶が無くなっただけでなく、人まで変わってしまったと。

ちょっと考えてみれば、過去の経験の積み重ねがその人物を
構築するものだから、当たり前の事とも言えるだろう。

そう考えると、よく言われているように、経験というものが人に与える
影響は本当に大きい。

楽しい事や悲しい事、嬉しいことや苦しい事を経験する度に、
人は成長していく。

アラサーである僕も、歳をとる事について悲観する気持ちが
分かるようになってきてしまった(汗)。
しかし、それはあくまでも肉体的な衰えに対して。
様々な経験を重ねた精神面での加齢は、素晴らしい財産だと思う。

まぁ、無邪気さや未知の物への感動など、中には失う物もある訳で
それはそれで少し寂しい事ではあるけど…。

事故直後の坪倉さんの独特の感性はまさにそれに由来している。
概念に囚われない感覚と言えば良いのか。


坪倉さんが立派に社会復帰出来たのも、事故後の様々な
経験の結果、0から坪倉優介という人物を創り上げたから。
言うまでも無く、周りの温かいサポートもあった上で。

人は経験する事で変わっていく。
良くも悪くも。

新しい事、慣れない事をするにはたくさんのエネルギーが必要。
それに比べれば、現状を維持していくのは楽な事ではある。
惰性とも言える。

だから現状から踏み出すという選択には勇気が必要だ。
現状が安定している場合は特に。
今の僕はそんな感じ。

だけど人には成長の欲求がある。
5年後、10年後に今の自分を振り返った時、あの時の
自分なんて、まだまだ未熟だったなと思えるくらい成長していたい。

そんな感じで、今後の自分がより良い方向に成長出来るよう、
色々な事を経験していきたいと思った。