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つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)/伊坂 幸太郎
¥690
Amazon.co.jp

嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、
精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。
そして天才スリは殴打される中年男に遭遇 ―天才強盗四人組が
巻き込まれた四つの奇妙な事件。
しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。
知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!
文庫化記念ボーナス短編付き。

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この表紙はwww
本編と全く関係ないしwww

伊坂作品の中では貴重な続編である作品。
前作は「陽気なギャングが地球を回す」。

前作で活躍したクールな銀行強盗グループの4人が、副主人公的な
立ち位置で4つの事件に関わる。

それがひとつの誘拐事件にリンクしていき…といった展開。

伊坂作品は作品同士が繋がりを見せていて、作品の登場人物が
他の作品にちょっとだけ登場していたりして、読者をニヤリとさせるけど、
作品のファンとしては、続編でそれらの人物の活躍をガッツりと
楽しみたいという人も多いはず。
そんな人達にはピッタリの作品。

一人一人にスポットが当たる機会が増えているので、より深く
キャラクターの個性が掘り下げられている。

際立つのはやっぱり成瀬の知性。
今回は敵を欺くには先ず味方から的な作戦を敢行。
難攻不落に思えた悪人を懲らしめる事に成功した。
さすがだ。

響野と久遠の凸凹コンビも面白い。
相変わらず響野はデタラメ過ぎて逆に凄い!

マヌケだけど憎めない誘拐犯、彼らに同情的な誘拐事件の
被害者である社長令嬢も良い味出してた。

文庫化記念のボーナス短編も面白かった。
「海には、逃がしたのと同じだけのよい魚がいる。」
負け惜しみな言葉にも聞こえるけど、前向きで実際の所、
言い得て妙な言葉だと思う。

他の作品の続編も読んでみたくなるような一冊。
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)/伊坂 幸太郎
¥660
Amazon.co.jp

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。
この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、
思わぬ誤算が。
せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の
現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!
奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。
映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

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表紙のインパクトが凄い!
伊坂作品の表紙はクールなものが多い印象だけど、これはw
だけど中身はしっかりとした伊坂テイストな作品。

4人のクールでプロフェッショナルな銀行強盗達の活躍を描いた物語。

彼らの銀行を襲う手口は実に鮮やか。
細かな下調べをし計画を練った後、実行。

銀行に入った後は演説の達人が演説中に金を奪い、
通報される前に脱出。
体内時計の女がその圧倒的な時間の感覚と、運転テクニックで
一目散に逃走するといった具合。

必要とあれば威嚇射撃もするけど、人は傷つけないし乱暴な言動で
脅すこともしない。

金を取られた銀行も保険が降りるから、誰も損をしない…らしい。

普通に犯罪だし、その場に居合わせた銀行の利用者や行員は
恐怖からPTSDになる可能性だってある訳だから、彼らの行動が
正しい訳では決して無い。

まぁ、創作にそういった意見は無粋だね。
多少ダークなヒーローなんて山ほどいるものだし。

4人の中でも最も主役格であるウソ発見器公務員の成瀬。
凄く気に入った人物。

演説の達人であり、ボクシングインターハイBEST4の実力を持つ
成瀬と古くから付き合いのある男、響野は彼について、世の中に
ついての解説書を読んでいると表現する。

それくらいしたたかで、冷静な人物が成瀬だ。

クライマックスでピンチに立たされたかと思うと、用意していた
2重、3重の仕掛けでそれをすり抜ける様は華麗で見事!

ウソを見抜くという特殊能力はともかく、成瀬のような冷静さ、
したたかさを持った中年になりたいものだ。

他の作品同様、伏線が効いていて、読んでいて愉快だった。
ここでソレが来たか!って感じ。
たまらんw

巻末の解説で伊坂さんは、書いた作品を何度も書きなおす作家だと
書かれていた。

なるほど~。
話が洗練されているし、仕掛けも効いている。
それはそういった作品作りのプロセスの賜物なんだなぁ。

しかもソフトウェア関係の仕事をしていたという。
同業者としては、ちょっとした親近感を覚えた。

そう言えば「オーデュボンの祈り」の主人公もエンジニアだったっけ。
ソフトウェア開発における心境も、実体験からくるものだったんだなぁ。

職業としては、どちらかと言うと理系に分類される仕事だけど、
伊坂さんや東野圭吾さんみたいに、理系作家の書く物語は、
僕の性に合っている気がする。

だからと言って、自分に小説が書けるとは全く思えないけどw

現在、続編の「陽気なギャングの日常と襲撃」を読んでる途中。
これも面白い作品。

伊坂作品が初めての人にもオススメの一冊。
あぽやん (文春文庫)/新野 剛志
¥700
Amazon.co.jp
遠藤慶太は29歳。
大航ツーリスト本社から成田空港所に「飛ばされて」きた。
返り咲きを誓う遠藤だったが―パスポートの不所持、
予約消滅といった旅客のトラブル解決に奮闘するうちに
空港勤務のエキスパート「あぽやん」へと成長してゆく、
個性豊かな同僚たちと仕事への情熱を爽やかに描いた空港物語。

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ジャンルで言えばお仕事小説。

「あぽやん」とはかなり新鮮な響きだけれども、「空港」を3文字で表した
「APO」→「アポ」という流れから、空港で旅客を無事に送り出す職業を
「あぽやん」と呼ぶとのこと。

空港のトラブルバスターみたいな感じ。
空港勤務は航空業界ではあまり魅力の無い仕事らしく、そんな
ネガティブなニュアンスも含まっているようで…。

話の内容としては新米のあぽやんである主人公の慶太が、空港で
起きる様々なトラブルに奮闘するお話。
トラブルの中には、ややミステリー要素のあるものも。

空港に馴染みが無いせいもあって、空港でのお仕事については
かなり新鮮だった。

特に海外便ともなると、海外旅行未経験の僕には全くの未知の世界。
厳しい時間の制限があるだけに、大変な職業だと思った。

知らない世界の事を、身近に感じられるのは本の良さだよなぁ。

序盤の主人公は閑職扱いのあぽやんから抜け出す事を強く
意識していたが、次第にあぽやんの仕事に没頭していく。

個性豊かな上司、先輩、仲間達に囲まれて仕事を頑張る男の姿。
素直に良い物だと思う。

恋愛に不器用なのも好感を持てる一面だ(汗)。

これ系のお話を読むと、自分も頑張らないといけないなといつも思う。
すぐにダラけてしまいがちだけど…。

月曜からの仕事、頑張ろう!
今日は日曜だから全力でダラけるけどw