つれづれログ -11ページ目

つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

神田川デイズ (角川文庫)/豊島 ミホ
¥540
Amazon.co.jp

ダメダメなあたしたちにも明日は来る。
否応なく―コタツでとぐろを巻く童貞達にも、自己マン臭ぷんぷんの
映研に反旗を翻す女子たちにも、
クレバーに生きたい男子にも、
つまんない周りとつまんない自分にうんざりの優等生にも、
何かになりたくて何にもなれない彼女にも―
それでもあたしたちは生きてゆく。
凹み、泣き、ときに笑い、うっかり恋したりしながら。
ひたすらかっこ悪く、無類に輝かしい青春小説。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

個人的に結構当たり外れの激しい作家さん、豊島ミホ。
この作品みたいな、ちょっとネガティブな青春小説は凄く好きだ。


本作はある大学を舞台とした短篇集。
ぱっとしない生活を送る大学生達がそんな生活に悩み苦しみ
時として自分を変えようと行動する…そんな物語。

僕自身、あまりパッとした大学生活を送ったとは言えないし、
当時はそんな生活に疑問を持ったり、自己嫌悪したりしたので
共感出来るポイントがあった。

まぁ、楽しい事や、やりがいのある事、良い仲間達もいたから
パッとしなくても暗い日々では無かったわけだけど。

そんな時期から数年が経過した今、そんな時期も自分自身には
必要だった事のように思う。
負け惜しみ的な感情では…きっとないと思う。

ジャンプ前の助走のような…と言うには若干大げさではあるけど。
今の自分を構成する大きな要素のひとつだし。

短編は6つのエピソードで構成されていて、同じ大学なので
あるエピソードの人物が他のエピソードにも登場する。

他のエピソードに登場した際には、ちょっとだけ前進できている
様子がうかがえる。

頑張ってんな~てな感じで気分が良いのが率直な感想。
なぜ彼らは前進できたのか?
行動したからというのが一つの答え。
前提とも言える事だ。

最後のエピソードにもあるように、世の中には花束のような人が
存在する一方、花束になりたくてもなれないような人が大勢いる。

花束のような人を見ていると、焦ったり腐ったりするかも
しれないけれども、やれる事を地道にでもやり続けていれば
一輪の花を咲かせる事は出来ると思う。

僕がどのくらいの花を咲かせたか?と言うと…どうかな。
何輪かは咲かせる事が出来てるんじゃないかと思う。

他の人から見たらどう思うか分からないけど、自分にしか
分からないような花もある訳だし。

この先、どれくらいの花を咲かせる事が出来るか。
全ては自分次第だ。


解説で読んで驚いたが、現在作家活動休止中との事。
ちょっと寂しい。
作品のテイスト通り、繊細な人みたいだから驚いても
決して意外な事では無かったのだけれども。

作品を生み出すというのは本当に大変な事だと思う。
それでも、もっとこの人の作品が読んでみたいと思う。
活動再開に期待。
ファイアースターマン日記 (角川文庫)/D〔di:〕
¥660
Amazon.co.jp

あなたは今からファイアースターマンなのです!
―失恋により人生のどん底をさまよう無職の女子・水沢マリノは、
ネット上の架空のキャラクター、ファイアースターマンになりきり、
悩める人々と交換日記をすることで、彼らを元気づけるという
アルバイトを始める。
しかし、様々な人生に触れるうちに事件に巻き込まれ、
プロジェクトの発案者の思惑と謎に迫るはめに…
注目の新進作家D(di:)が贈る、感動の恋と涙と友情の青春小説。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

せっかくなので、今回のブログはファイアースターマン風に
お送りしようかと思う。
では……。


ヘーイ!
俺、ファイアースターマンだぜ!

作品の作者はD[di:]。
初めて読んだ女性作家だぜ。

なんでも小説、マンガ、イラスト、デザインってな具合に幅広く活躍
しているらしい。
昔モデルもやっていただけあって、ビジュアル的にもイケてるぜ!

で、俺様、ファイアースターマンだけど、下の写メを観て欲しい。

つれづれログ-F1000029.jpg

右側が俺なんだけど、どうだ?
我ながらブッサイクだろう。
ちなみに左側が相棒のモリーだ。

俺の代理人である「隊員」の仕事をする事になったマリノ達が、
ユーザー投稿の日記に対して、このブログみたく俺になりきって
返事を書いていくシステム「FSMD(ファイアスターマン・ダイアリー)」が
話のキモだ。

FSMD、かなり面白い仕組みだと思うぜ。
家族やダチには言えない悩みとかあるしな!
話を聞いて貰うだけで、気が楽になったりもする物だし。
こんなサービスがあったら参加してみたいぜ!
ま、会費次第だけどな。

FSMDのユーザー達はそれぞれ色んな悩みを抱えていて、
それを日記に投稿していくんだ。

で、隊員はその悩みに親身になって(隊員にもよるが)返事を
書いていく。
時には共感し、時には背中を押してやったりしてな!

マリノは隊員の仕事を続けていくうちに、そいつらの悩みを解決して
やろうと奮闘するんだが、マリノや他の隊員達もまた、悩みを抱えて
生きている人間の一人なんだ。

マリノの場合は元彼の事が忘れられないでいたり、過去に母親に
去られていたりな。

そうやってユーザーや他の隊員達と関わっていくうちに、マリノの
気持ちもだんだん変わっていく様子が描かれているぜ。

他人の相談を受けているうちに、それが自分自身にも影響していく。
あるよな!そういう事。

あと、俺は失恋で悩んで苦しんでいる時には、新しい恋愛をするのが
一番の薬だと思うんだが、どうよ?
マリノもそうだったしな!

まぁ、すぐに新しい恋愛って気になれない事もあるだろうし、
趣味や仕事に没頭するのも全然アリだとは思うけどよ!

物語の後半は意外な展開になってちょっとビックリしたぜ!
もしかしてバットエンドか?と思わせるD、まいったぜ!

失恋には新しい恋愛って書いたばっかだけど、その新しい恋愛でも
傷つく事になったら薬どころか猛毒だし、考えものだよな。
マリノも危うくその道を進む所だったしな!

物語の〆も俺好みのキレイな終わり方、イケてるぜ!

巻末のFSM誕生!のマンガも面白かったぜ。
他のD作品も要チェックだな、コレは。
不思議系上司の攻略法 (メディアワークス文庫)/水沢 あきと
¥599
Amazon.co.jp

梶原健二はしがないSE。
その日も土曜日にも関わらず取引先に呼び出されていた。
仕事が一段落した後、連れて行かれたのはよりによってメイド喫茶。
しか し、健二はそこで「カヨ」と呼ばれるメイドと出会い、
その献身さに一時の癒しを得たのだった…。
そして月曜日。
グループ企業から派遣された年下の女性が健二たちのチームの
上長として着任。
露骨に煙たがる同僚たちをよそに、健二はまったく別の衝撃を
受けていた。
その女性はメイドの「カヨ」に良く似てい て…!?
書き下ろし。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

表紙のイラストに多少の恥ずかしさを感じながらも、主人公の職業に
シンパシーを感じて購入。

上司が副業でメイド…というよりもメイドとして出会った女性が上司に
なって…というストーリー。

似たような話がどこかにあったようなと思っていたら、ちょっと前に
ドラマ放送もされていたマンガ「ハチワンダイバー」だった。
こちらはメイドが凄腕の将棋棋士で…といったお話。
仲里依紗のメイドと棋士の演技のギャップが面白かったのを覚えてる。

SEのお仕事がストーリーの中心なので、予想通りの親近感。
さすがに業務内容こそ微妙に異なる物の、「あるある」感が楽しめた。

中でも担当として、お客さんから信頼されるという事。
この事は本当にありがたいし、その気持ちに精一杯応えようと思う。
逆に自分が客の立場でも同じ事が言えるはずなので、日頃から
意識しておきたい。

上司が若くて美人なんてのは、滅多にある話では無い…と思う。
専門職だから、ある程度の実務経験は必須だと思うし。

もし実際にそのシチュエーションだったら、作中の社員達のように
やり辛さを感じるのか?
上司が変わることによる戸惑いは普通にあると思うけど、
上司が若い女性でも、優秀で結果が伴えばそれで良い気がする。

でも作中にもあったように、いわゆる「正論」で仕事を進める事の
大変さは確かにあるだろうなぁ。
様々な外因内因で計画通りに物事が進まない事なんて良く有るし。

だからと言って最初から「正論」を度外視したやり方で仕事を
進めようとするのが間違っているのは明白。
身につまされる話でもあった。

萌え要素が思ったより少なかったのは、読んでいて疲れなくて
正直助かった。
この手のポップな小説を読むには年をとり過ぎたかもw

ただ、優秀でクールな女性が時折見せる弱さや優しさ、良いと思う。
いわゆるギャップ萌えかなw
ある意味お約束ではあるけれども。

弱い所を見せられる事で、親近感や信頼感が生まれる。
僕自身はそういう所を人に見せるのに結構な抵抗を感じる事が
少なくないけれども、たまには素直に表現してみるのもアリかも。

まぁ、萌えられる事は無いだろうけども。