【ネタバレ注意】ボクたちの交換日記【鑑賞の感想】 | つれづれログ

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色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

昔から好きなウッチャンの監督作品という事で「ボクたちの交換日記」 を公開日に鑑賞。
主演は伊藤淳史さんと小出恵介さん。

監督としての映画はこれが2作目。
初の監督作品である「ピーナッツ」も観に行ったなぁ。

原作は放送作家である鈴木おさむさんの「芸人交換日記」。
森三中の大島美幸の旦那さんです。
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売れないお笑いコンビを描くストーリーという事もあって、全体的にウッチャンらしい雰囲気が出ていて非常に良かった。

「ピーナッツ」では監督と主演の兼任という形だったが、本作では監督に専念。
作品を通して内村光良という人の魅力も伝わってくる。

笑いあり、涙ありの心がポカポカするような作品だった。
後半はマジ泣き…。

エンドロールで流れる主題歌「サヨナラじゃない」も映画のストーリーに合っていて、涙腺崩壊。
帰る前にラストシーンで流れた涙を苦労して引っ込めようとしていたのにw

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夢を諦めるというテーマ、僕と主人公の2人が同世代という事もあって色々な事を考えてしまった。

本当に良い作品なので多くの人に観て貰いたい。

そして内村監督には本作のような素敵な作品をまた作って頂きたい。



以降はネタバレしているので、嫌な人は鑑賞後に読んで頂けたら幸いです。





日記という形式での2人の会話に味があった。
普段はほとんど会話の無いような冷めた関係に見えても、日記で本音をぶつけ合う様は不器用な男達の友情という感じ。


コント中にネタが飛ぶシーン。
甲本の頭の中が真っ白になったアップ顔。
悲壮感があって観ているこちらまで心が痛くなった。
一念発起からの快進撃、ネタも絶好調という流れだったので、余計に破壊力があった。


最後の日記に記された田中へのカミングアウト。
解散の意思を伝えた後の甲本には一見迷いが無かったので、意外な展開だった。
解散の日記を記す直前、コンビ結成の地を訪れて昔を振り返る甲本の胸中はどんな物だっただろう。
解散時は、田中と一緒にコントしててつらいと言っていた甲本が、つらさもありはしたが、本当は楽しかったという言葉にやられてしまった…。


甲本の失敗が招いてしまった川野からのコンビ解散の進言。
号泣する甲本から伝わる物凄い悔しさ。
2人でずっと目指していた夢の断念。
その原因となった自らの不甲斐無さ。
そんな思いのこもった涙にもらい泣きしてしまった。
小出恵介さんの熱演に感動。


いきなりの17年後という展開に少し驚きはあったけど、事前に高校生くらいの甲本の娘を名乗る人物が登場する事は分かっていたので、納得感はあった。
未来から娘が来るというタイムスリップ的展開を考えなくは無かったけれど。


田中の出世はまさにサクセスストーリー。
まさに大ブレイク。
大物になってファンからは黄色い声援浴びてるし、豪邸に住んでる。
それでも下積み時代に支えてくれていた麻衣子と結婚してるのは良い感じ。
人気者になって色々な誘惑があっただろうに。
悔しさや怒りをバネにして真面目に頑張ってきたというのも田中らしい。


物語のテーマとなっている、夢を諦めて良い時。
それは大切な人を幸せにしたい時。
甲本にとっての大切な人とは妻の久美、娘のサクラ、そして田中であるという事。
本当に反則的だった、泣いた。
甲本は自分が身を引く事で田中の才能を活かす道を作ったという切ない話だ。


しかし甲本はお笑いという夢を諦めた後も、新たな夢に向かって走っていた。
大人は若者に対して夢を持てと言う(逆に現実を見ろとも言うけど)。
でも夢を現実にするため行動し、叶えた人はどれくらいいるだろうか。
挫折した結果、もう夢なんて持たないという人も多いだろう。
そしてそんな思いをするくらいなら、はなっから夢なんて持たないほうが良いという風潮もある。


大きな挫折を味わいながらも、自分の店を持つという新たな夢に前向きに向かっていき、それを叶えてしまう甲本。
なんという男だ。
夢を持って、それに向かって行動出来るって素晴らしい。


ラストの甲本と田中の再開シーン。
美しいサクラの咲く景色の中で、昔と同じようにぶっきらぼうに語り合う2人。
甲本「言いたい事を書いてくれ」→田中「嫌です」の流れ。
冒頭の交換日記開始直後の流れだけど、それをラストに持ってくる憎らしい演出。
キレイで巧みな話の閉じ方に感動した。


夢に向かって行動する事。
夢を諦める事。
新たな夢を持つ事。
そして男同士の絆。


観た後で爽やかな気分になれる良い映画だった。
そして2度目も泣かされた。


※2013/03/31 2回目の鑑賞した事で加筆修正しています