不思議系上司の攻略法2 | つれづれログ

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不思議系上司の攻略法〈2〉 (メディアワークス文庫)/水沢 あきと
¥641
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平日は上司と部下として、休日はメイプル・ホームの
給仕役と料理人として日々を送る石峰真夜と梶原健二。
そんな2人に、名古屋出張の辞令が出た。
急な話に訝しみながら現場に向かったところ、
案の定工事の進捗は芳しくなく、名古屋支店の
作業員・高橋からも噛み付かれる始末。
収支を含め、プロジェクトが“炎上”していることを
把握した2人は、火消しに努めようとするが―
そこでさらなるトラブルが発覚した。
用意された宿が、なんとツインルーム1室のみで…!?
くたびれたSEと年下の女上司の物語、続編登場。

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前作同様、SEの仕事を描いている所に親近感。

新登場のベテランSEである高橋は超ハードワーカー。
3ヶ月連続で150時間の時間外労働中。
申告上は上記だけど、実態の労働時間はさらに上を
いくだろうという状態。

泣ける…。
現実でも仕事を一人で抱え込んでしまう人っているものだから。
業界全体的にそんな状況が問題視され、一昔前よりも改善は
されているという話だし、ウチの会社でもそう。
改善の結果、監視社会を感じさせるような仕組みになりつつ
あるのは多少窮屈だけど。

でも個人レベルだと高橋みたいな人、いるんだよなぁ。
一人で仕事を抱え込んで、首がまわらなくなってしまう人。

一人で出来る事には限りがある。
だから会社が存在していて、人と人が支えあう事で
仕事をこなす事が出来る。
だから一人で抱え込まず、良い意味で周りを巻き込んで
仕事を進めるべきだ。

抱え込む本人にも問題はあるが、そういった状況を改善できない
上司や会社にも大きな責任があるのは明らか。
上司や会社は社員の状況をしっかりと把握して、運営してほしい。
その事が製品やサービスの向上にも繋がるはず。


やっぱり扱われた、クラウド。
業界的に流行り(?)の分野だし、良いネタでもあるからなぁ。
でもその認識は業界人のそれだったから好感。

業界的にブームを作り、それに乗りたいという想いは
伝わるんだけど、いまいち流行りきれていないような印象。
サービス自体はともかく、もうちょっとパッとする名前は
無かったのだろうか…。

末端ながら業界に生きる物としては、もっと画期的で
ユーザーの役に立つような仕組みが出てきて欲しい。
こう書くと自分で考えろよ!と言われそうだけど、
そうそう新しい物に手を出せるような状況でもないのが現実。


ストーリーの方は序盤から暗雲が漂っていて、ストレスの
溜まるものではあったけど、その分最後の展開は痛快で良かった。

世の中には悪い輩がたくさんいて、彼らが利益を上げるための
不正行為が原因で損をしたり、泣きをみている人も少なくない。

会社で働いていると、自分が正しいと思う事を常に
出来る訳ではなくて、ストレスが溜まる事もある。
会社に損失を与える可能性のある選択は、そうそう簡単に
出来ず、安全策を採用するのは仕方の無い事だ。

だからこそ、このお話のように一見厳しい状況であっても
正しいと思う行動が選択出来て、会社にも損をさせない。
そんな事が出来たら最高だと思う。

現実でも出来るだけそうありたいものだ。


石峰と梶原の関係は進展したようなしなかったような。
大きな危機を一緒に乗り切った訳だから、絆は強くなっただろう。
でも正直あまり変わっていない気が…。

トラブルが原因とはいえ、数日を同じ部屋で過ごした訳だから
もう少し急速な距離の接近があっても良かった。
上司と部下の関係だから、その辺り微妙なのは分かるけれども。

石峰にとって恋のライバルの登場かと思いきや、割とあっさりと
応援する側になってしまうし。
3角関係が続くような展開は好きでは無いので、そこは僕好み
だったけれども。
今後のストーリーを進めていく上で便利な存在だと
思うんだけどなぁ、ライバル。
とは言っても、今後再登場する展開も考えられなくは無いし、
新たなライバルが出現する事も考えられるからなんとも。

シリーズがどこまで続くかは分からないけれど、今後も
じりじりとした展開になりそうな予感。