研修医純情物語 | つれづれログ

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研修医純情物語―先生と呼ばないで (幻冬舎文庫)/川渕 圭一
¥680
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パチプロ、サラリーマン、引きこもりを経て、
37歳で研修医になった僕。
夢と希望を抱き大学病院に乗り込んだが、
そこはおかしな奴らの巣窟だった。
高額時 給のバイトに勤しむ医師、
夜な夜なナースの回診に出かける研修医、
患者の受け入れより優先される教授回診…。
実体験を基にハチャメチャな医療現場と
新米医師の成長を描いたエンターテインメント。

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作者自身の経験を基に描かれた本作品。

作者は現役の医者だけど、だからといって文章上おかしな
所も無いし(当たり前か…)、読みやすかった。
実在の人物がモデルとなっているであろう医者、看護師、患者が
個性豊かで楽しいのも良い。

物語は研修医の立場から大学病院での医療現場を描いている。
漫画の「ブラックジャックによろしく」も研修医が医療の問題に
触れる話だったけど、このお話はより研修医を主体としている印象。

以前はひどかったという研修医の労働環境も、現在では随分と
改善されていると聞く。
この本にも描かれているような医療の問題は、患者側からすると
やはり納得できない所だろうから、自然な流れではあるか。

主人公である川淵先生=筆者はそんな問題だらけの現場において、
変わり者の先生として活躍している。

まず、色々な回り道を経て、37歳で研修医になった所が変わっている。
30歳を超えて医学部に合格、医師免許を取得できるのは本人の
優秀さはもちろんだが、何よりも情熱が無ければ出来る事ではない。

色々な事情で夢や目標を諦める人はいるけれども、情熱があれば
年齢が諦めの直接の原因とはならないと思う。
そんな事を感じさせてくれる経歴だ。

川縁先生はアルバイトや勉強会で忙しい他の研修医をよそに、
患者とのコミュニケーションを大切にしている。
ナース達はその様子を、先生はナースのようだと表現する。
本人は勉強が嫌いだからと表現しているが。

医療の発展のため、研究熱心な医者はもちろん必要だ。
彼らの研究結果が後に何万人もの人を救う事もあるだろう。

一方で、川淵先生のような病気だけでなく、患者を観る医者を
必要とする患者もたくさんいると思う。
患者と深く関わる事で、良い治療が見えてくる事もあるはず。

世の中の研修医の人達が、よりよい方向に成長出来るように
制度や仕組み、サポートを整備して頂きたいものだ。
その事が未来の日本の医療を良い方向に導くはずだから。