- カイシャデイズ (文春文庫)/山本 幸久
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いつも作業着姿の昭和風二枚目施工監理部員、
掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。
彼ら“魔のトライアングル”三人組 と内装会社の同僚達が、
莫迦で無茶で情熱一杯に働く姿を描いた
、胸を熱くさせる傑作ワーキングストーリー。
文庫書き下ろし短篇「シューカツデイズ」を収録。
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作者は山本幸久さん。
初めての作家さんだけど、好きかも。
形式は連作短編集。
主人公は内装会社ココスペースで働く人達。
仕事に生きる彼らの姿を描いている。
世の中には辛くて厳しい仕事もあるし、仕事を楽しむなんて
とんでも無い事だと感じる人もいるだろう。
しかし、この作品を読んでいると、仕事って面白くて楽しいなと
思えてくる。
会社の中では営業職、技術職、事務職など色々な役割があって、
それぞれが連携して仕事が成り立っている。
一人で出来る事なんて限られているけど、皆で協力する事で
大きな力を発揮する事が出来る。
そんな事を感じさせてくれる作品。
印象に残ったのは営業のエリート新人、通称ケーオーが
上司である高柳に抱いた印象、「仕事を生きている」。
高柳は仕事について、楽しいわけないと語る。
と言いながらも仕事の話しかしないし、仕事が辛そうでもない。
真剣に取り組んでいるというふうでもないから、汗水流して
働いているという表現も似合わない。
そんな感じから上のような印象を抱くのだろうが、つまりは
仕事が食事や睡眠のような、生活の自然なものとして
根付いているんじゃないかと思う。
仕事人間と表現すると、家庭をかえりみないお父さんの姿が
連想されて、どうも語感が良くないけれども、高柳みたいに
ごく自然に仕事に取り組む姿って格好良い。
僕にとっても仕事は生活の一部として溶け込んでしまった
感がある。
辛い事や苦しい事もあるけれども、やりがいや達成感を
感じる事もあるし、それが楽しかったりする。
そんな大人達が増える事で、学生達の勤労意欲も上がって、
皆が働くことの意識が変わっていけば、労働によって生み出される
物やサービスも向上して、世の中が良い方向に向かって
いくのではないだろうか。
そうなれば良いと思う。