県庁おもてなし課 | つれづれログ

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色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

県庁おもてなし課/有川 浩
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地方には、光がある―物語が元気にする、町、人、恋。
とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。
観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、
地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。
「バカか、あんたらは」。
いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む―
いったい何がダメなんだ!?
掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける
苦しくも輝かしい日々が始まった。

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またしても久々の更新。
本は読んでるんだけど、ブログを書く時間と気持ちの余裕が…。
もうちょいしたら多少の余裕が出てくる…はず。


さあて本題。
書店で見かけて表紙が印象的だった本作。
ハードカバーなだけに購入に迷いがあったけど、感想ブログ読んで
よさげだったので読んでみた。
ふぅ、また本棚が圧迫されるぜ…。


公務員に対する「お役所仕事」への批判と、そうならざるを得ない
背景を感じさせてくれる作品。

不安定な世の中にあって、収入や雇用が安定している公務員という
立場は、なにかと批判を受けやすい。

知り合いの公務員もそうなんだけど、若手は安い給料と(部署に
よるらしいが)超過酷な労働環境で頑張ってるんだけど。

お役所だけの話では無いけれど、縦割りの社会ならではの
効率の悪さ、柔軟性の無さはいただけない所だ。

民間企業でも、同じような事が言える会社は珍しくないはず。
「上は分かってない!」という言葉はこの辺りから生まれている
のでは?

ただ、確実性や公平さを求められる立場だからこそ
そういったシステムが築かれている事も分かってあげないと
可哀想な気もする。
税金や予算がホイホイとムダに使われるのは誰もが
納得しないだろう。


最初は若さゆえの情け無さが出ている主人公の掛水。
しかし、売れっ子作家であり観光特使の吉門、元県庁職員であり
観光のエキスパートである清遠との出会いから立派に成長していく。

人の成長って物語の醍醐味だなと改めて思った。
そしてそれをもたらす大きなきっかけとして、人との出会いがある
という事も。

目指すべき人がいると努力する気力が湧く。
掛水にとってはそれが清遠であり吉門だった。

この2人はカッコいいプロフェッショナルとして描かれていて、
とても魅力のある人物だ。
そして人間としても個性のある大人。
良いものだ。

僕はあまり人を目標としないんだけど、凄いと思える人物に
出会うとやはり刺激になる。
逆にそう思われるような、凄い人になれれば素晴らしい。


そして有川作品おなじみのベタ甘な恋愛。
アシスタントの多紀ちゃんは仕事の出来るアルバイト職員。
そりゃあこんな娘がアシスタンなら意識しますよw

仕事の出来る女性は魅力的だ。
欲を言えば、たまにスキとか見せてくれるとなお良い。

吉門と義理の妹との恋などもあり、さすがは有川作品。


僕もそうだが、地方に生きている人間にとって、地方の元気の
無さは非常に気になる所。
たくさんの若い人が地元を出ていって、戻ってこないという
現状はかなり寂しい。

仕事が無かったり、娯楽が無かったりするからなぁ。

佐賀ではここ最近、映画のロケ地なんかの露出が目立つけど、
もっともっと全国に向けて佐賀をアピールして欲しい。

自分の住む地方には、なんにもないという謙遜の精神も美しいけど、
胸をはって住んでる地方、出身地の自慢が出来るような
事になれば地方の元気が取り戻せるのではと思う。

そして都会から人が戻ってきて、産業が活性化して
給料もUP…したらいいなぁw


巻末の有川さんと、実在のおもてなし課メンバーとの対談が
これまた面白い。
吉門のモチーフが有川さん自身だったとは!