- 白銀ジャック (実業之日本社文庫)/東野 圭吾
- ¥680
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年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。
警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、
山中でのトリッキーな身代金奪取。
雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。
すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。
今、犯人との命を賭けたレースが始まる。
圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス。
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この間、テレビで初めて観た「容疑者Xの献身」。
評判通り面白かったなぁ。
堤真一の演技、素晴らしかった。
福山は若干影が薄かった気がするけど、彼はワイルドな
龍馬より、知的なガリレオの方が断然似合ってるな。
男から見てもカッコいいのはさすがだ。
さて、本作はそんな探偵ガリレオシリーズの原作者、
東野圭吾さんの作品。
ゲレンデに爆弾がセットされている事で、その場でウインタースポーツを
楽しむ全ての人が人質という状況。
犯人は複数回に分けて身代金を要求し、その度に爆弾の設置場所が
少しずつ明かされていく。
事件自体に斬新感。
季節にもマッチしているネタだし。
ウインタースポーツには縁が無いけれども、ルール違反の
利用者や犯人を追跡する際のスキーやスノボの描写はスピード感や
スリルが満点でちょっと体験してみたくなるレベル。
もっとも登場する人達のほとんどがかなりの上級者なので、
僕みたいな不器用な人間がやったらグダグダが予想される…。
こいつ犯人なんじゃね?というミスリードもあり、まんまとダマされた…。
読んだ後で思い返せば、結構あからさまなミスリードだったけど。
犯人はかなり意外な人達。
でも彼らが犯人である事についてはかなりの説得力が。
意外なんだけど、説得力があるというのは作者の力量だよなぁ。
物語の要所に伏線があるから、あからさまな後付け感も無いし。
事件の背景には、いくつかの大人の事情があった訳だけれども、
スッキリと決着が付くので良い読了感。
汚い大人達の存在は腹ただしいものがあるけど、捨てる神あれば
拾う神あり。
利用者に対して、誠実かつ思いやりのある仕事をしていた主人公達は
無事にスキー場の危機を乗り越える事ができた。
しかも主人公は遅咲きながらも幸せも手に入れたし。
仕事に真摯に打ち込む姿勢がカッコ良かったから、これも
意外でありながらも説得力のある展開だった。
僕もお客さんを思いやった仕事をするように日々心がけたい。