神田川デイズ | つれづれログ

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色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

神田川デイズ (角川文庫)/豊島 ミホ
¥540
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ダメダメなあたしたちにも明日は来る。
否応なく―コタツでとぐろを巻く童貞達にも、自己マン臭ぷんぷんの
映研に反旗を翻す女子たちにも、
クレバーに生きたい男子にも、
つまんない周りとつまんない自分にうんざりの優等生にも、
何かになりたくて何にもなれない彼女にも―
それでもあたしたちは生きてゆく。
凹み、泣き、ときに笑い、うっかり恋したりしながら。
ひたすらかっこ悪く、無類に輝かしい青春小説。

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個人的に結構当たり外れの激しい作家さん、豊島ミホ。
この作品みたいな、ちょっとネガティブな青春小説は凄く好きだ。


本作はある大学を舞台とした短篇集。
ぱっとしない生活を送る大学生達がそんな生活に悩み苦しみ
時として自分を変えようと行動する…そんな物語。

僕自身、あまりパッとした大学生活を送ったとは言えないし、
当時はそんな生活に疑問を持ったり、自己嫌悪したりしたので
共感出来るポイントがあった。

まぁ、楽しい事や、やりがいのある事、良い仲間達もいたから
パッとしなくても暗い日々では無かったわけだけど。

そんな時期から数年が経過した今、そんな時期も自分自身には
必要だった事のように思う。
負け惜しみ的な感情では…きっとないと思う。

ジャンプ前の助走のような…と言うには若干大げさではあるけど。
今の自分を構成する大きな要素のひとつだし。

短編は6つのエピソードで構成されていて、同じ大学なので
あるエピソードの人物が他のエピソードにも登場する。

他のエピソードに登場した際には、ちょっとだけ前進できている
様子がうかがえる。

頑張ってんな~てな感じで気分が良いのが率直な感想。
なぜ彼らは前進できたのか?
行動したからというのが一つの答え。
前提とも言える事だ。

最後のエピソードにもあるように、世の中には花束のような人が
存在する一方、花束になりたくてもなれないような人が大勢いる。

花束のような人を見ていると、焦ったり腐ったりするかも
しれないけれども、やれる事を地道にでもやり続けていれば
一輪の花を咲かせる事は出来ると思う。

僕がどのくらいの花を咲かせたか?と言うと…どうかな。
何輪かは咲かせる事が出来てるんじゃないかと思う。

他の人から見たらどう思うか分からないけど、自分にしか
分からないような花もある訳だし。

この先、どれくらいの花を咲かせる事が出来るか。
全ては自分次第だ。


解説で読んで驚いたが、現在作家活動休止中との事。
ちょっと寂しい。
作品のテイスト通り、繊細な人みたいだから驚いても
決して意外な事では無かったのだけれども。

作品を生み出すというのは本当に大変な事だと思う。
それでも、もっとこの人の作品が読んでみたいと思う。
活動再開に期待。