- ゴールデンスランバー (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
- ¥900
- Amazon.co.jp
そして犯人は俺だと報道されている。
なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。
首相暗殺の濡れ衣をきせられ、 巨大な陰謀に包囲された
青年・青柳雅春。
暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。
行く手に見え隠れする謎の人物達。
運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。
スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
久々の読書日記。
600ページ超の長編小説。
これだけボリュームあると、文庫でも1,000円近い値段するんだなぁ。
またもや伊坂幸太郎さんの作品。
簡単に内容を説明すると、あらすじにある通り無実の罪を背負わされた
主人公青柳の逃亡劇。
濡れ衣をきせてきた相手は巨大権力。
警察やマスコミ、住民達も全て敵というかなりハードな状況。
死人に口なしという状況に持って行かれる可能性も高く、逃げなければ
命の保証も無い…。
実際、ショットガンを携えた巨漢とかも狙ってくるし。
そんな状況に有りながらも、昔の仲間達に助けられながら青柳は
逃げ続ける。
まさにサスペンス。
先の見えない物語だった。
それだけに仲間や家族との絆にグッとくる。
マスコミや警察がどれだけ青柳を犯人だと断定しようとも、
彼を知る人は結局それを受け入れなかった。
そこがイイ。
本作品はマスコミ批判の要素が目立っていた。
ここ最近のマスコミの報道姿勢には、僕自身疑問や反感を抱いていた
所があったので、うなづきながら読んでいた感じ。
作中で青柳の実家に押しかけた記者達に対して親父が放った言葉。
かなりシビれた。
彼らも仕事でやっている以上は、ある程度の無茶は仕方ない。
ただ、彼らの仕事が他人の人生を台無しにするかもしれない以上、
覚悟が必要という事。
う~ん、確かに。
報道や表現に自由がある以上、過激で意図的な報道をしたり、
報道しないという選択権を行使することもマスコミにはある。
ただ、それによって人生を台無しにされる事がある事を彼らは
意識して仕事をしているだろうか?
人間のやる事だから完全に公正な立場で行動する事なんて
期待しないけど、寄ってたかって弱い物いじめをするような行為は
不愉快だし、自重して欲しいと思っている。
多少傾いていても良いと思うけど、マスコミ全体が同じ方向に傾く事も
少なくないので、その辺りは改善して欲しい。
最終的にはハッピーエンドとは言えない展開。
作中でもあったように一般的な映画作品には出来無いような。
しかし、あの彼女が最終的なキーパーソンだったとは!
かなり伏線はられてたのに、予想できず悔しいw
ハッピーでは無いが、後味の悪くない終わり方。
未来に希望が持てる訳では無いが、ちょっとだけ心が暖まるような。
さすがだ。