- 阪急電車 (幻冬舎文庫)/有川 浩
- ¥560
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隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。
片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。
乗り合わせただけの乗客の人生が少 しずつ交差し、
やがて希望の物語が紡がれる。
恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた
電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。
ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
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ローカル線を舞台とした連作短編。
登場するのは以下のような人達。
似た本の趣味を持つ征志とユキ。
婚約者を知人に奪われた翔子。
孫娘とお出かけ中の時江。
デートDVの被害者ミサと加害者カツヤ。
初々しい大学生カップルの圭一と美帆。
嫌々ながら奥様グループに属する康江。
バカだけど優しい彼氏と付き合う女子高生悦子。
それぞれ全く違う生活を送っている人達だけど、電車という公共の場で
お互いに少しずつ影響を与えていく。
中でも翔子のエピソードはかなりインパクトがあった。
5年も付き合った彼を、妊娠をきっかけとして知人に奪われ、
その復讐の為、彼らの結婚式に白のドレスで出席するという…。
実際そんな結婚式に出席したら気まずいだろうなぁ…。
新郎新婦の立場だったらトラウマだろうなぁ…。
まぁ、新郎新婦共になかなかの最悪具合なので、読んでいる方としては
スッとしてしまうんだけど。
復讐を果たした翔子が、自分の人生に歩み始める様は良かった。
デートDVの件は少し前にTVなどで特集をされていたのを観たけども、
いたたまれないというか、イライラする話だ。
なんでそんな相手を関係を維持するのか?という疑問には、それぞれの
事情という答えがあるんだろうけど、ミサの場合は理由のひとつとして
ルックスのいいカツヤが恋人である事が友達から羨ましがられる事…。
それを失うのが惜しいって…。
ミサみたいな子って現実にも結構いちゃうんだろうなぁ。
冷静に考えると本当に馬鹿げた話なんだけど。
まぁ、人の価値観なんて色々あるから馬鹿にしちゃいけない
事なんだろうけど。
それに関係を切る事からの、相手からの反動が怖いっていうのも
よくある話なんだろう。
ミサの場合は、親友とその兄の大魔神(笑)が居てくれて
助かった訳だけど。
大魔神…、カッコよすぎるぜ。
ミサと幸せになっていただきたい!
他のエピソードもほんわかしてたり、微笑ましかったりして
良いエピソードが満載。
僕自身、数年前は電車通勤をしていたけれども、電車内での
知らない人達との、極めてゆるーい繋がりが好きだった。
そこは乗員分の日常の一部分を、年齢や性別を超えて
共有している空間だから。
まぁ、朝の通勤ラッシュだけは勘弁だけど(苦笑)。
解説は児玉清さん。
こういう小説も読むんだなぁ。
なんか意外だけど、ちょっと親近感。
2011年に映画化されるそうで。
主演は中谷美紀さん。
翔子を演じられるそうで、どんな感じになるのか楽しみだなぁ。