- 塩の街 (角川文庫)/有川 浩
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塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。
その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。
世界の片隅 で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。
だが―「世界とか、救ってみたくない?」。
ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってく る。
『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!
番外編も完全収録。
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まとめ買いしていた有川作品の最後の一冊

自衛隊3部作の中では一番気に入った作品。
物語はざっと人間が塩になってしまう「塩害」によって崩壊しつつある
世界を生きる人々と、それに立ち向かう主人公達!といった感じ。
秋庭は元は優秀な自衛隊員であり、硬派ないい兄ちゃん的な人物。
真奈は塩害によって両親を亡くしてしまった、悲劇のヒロインという
表現がピッタリの少女。
秋庭のキャラクターはかなり良かったと思う。
有川さんは同姓から見てもカッコいいと思える人物を描くのが上手いなぁ。
一方で性格的に不器用な一面も持たせて、親しみやすさも兼ね備えているし。
それから上記のあらすじの「囁く者」である入江。
優秀な人物なんだけど、かなりの変わり者で目的のためなら手段は
問わないような人物。
ここまでクセのあるキャラクターは、他の有川作品にはいなかったような気がする。
本編終盤まで胡散臭さが抜けない、いけ好かない感じの人物だったけれども、
本作を最後まで(後日談まで)読んだ後は、なかなかお気に入りキャラに(・∀・)
彼と秋庭の関係性もいい感じだった。
本作は本編後の各登場人物の後日談を収録している点が良かった。
図書館戦争シリーズもそうだったけれども、クライマックス後の
後日談的な話って結構好きなんだと再認識した。
主人公達以外のキャラクターにスポットライトを当てることで、
作り上げた世界観を十分に活用できていると思う。
良いキャラクターが登場する物語って、単なる起承転結で終わるのが
勿体無く感じる事がよくあると思う。
そういう意味では他の作品の後日談も読んでみたいと思った。