第71回 代表曲と売れた曲は一致するのか
ラッツ&スター (シャネルズ)
黒塗りの大人数ドゥーワップグループとして、登場と同時にヒットを連発、シャネルズからラッツ&スターと改名後もヒットを出し、日本のヒットチャートに爪痕を残した彼らを取り上げてみます。その後鈴木雅之はソロシンガーとして活躍、一方田代まさしは一時期バラエティを席巻していたものの、複数回に渡る不祥事で、ラッツ&スターとして再び集結することが難しい状態になってしまいました。
【いきなり大ヒット】 1980年
「ランナウェイ」「トゥナイト」
ランナウェイでデビューするとこれがもう少しでミリオンセラーという大ヒットに。1980年はもんた&ブラザーズとかクリスタルキングとか海援隊とか、グループの特大ヒット曲が多数生まれましたが、その流れの中でシャネルズもブレイクを果たしました。続く「トゥナイト」もまずまずの結果を残し、順風満帆かと思われた時期でした。ところがメンバーの数人が不祥事を起こしてしまい、暗雲が立ち込めました。
【不祥事からの復活】 1981年
「街角トワイライト」「ハリケーン」「涙のスウィート・チェリー」
しかしながら案外復活は早く、リリースした「街角トワイライト」「ハリケーン」と立て続けにヒットさせ、オリコン上位の常連になっていきます。ただ次に出した初のバラード「涙のスウィート・チェリー」があまり伸びませんでした。この曲は名曲だと思うのですが、チャートではトップ10に入らず、彼らに求められていたものは別のものだったということなのでしょうか。
【売上下降】 1982年
「憧れのスレンダー・ガール」「サマー・ホリデー」
「もしかしてI LOVE YOU」「週末ダイナマイト」
前年までの勢いがなくなり、シングルごとに順位、枚数ともに下降線をたどっていったのがこの年。楽曲的にもややパンチが足りないところもあったかもしれませんが、このまま低迷していくのか、粘って復活を果たすのか、厳しいところに差し掛かってきた感はありました。
【改名で復活】 1983年
「め組の人」「Tシャツに口紅」「今夜はフィジカル」
そんな中で心機一転、グループ名を「ラッツ&スター」としたところ、改名後最初のシングル「め組の人」が復活の大ヒット。それまでのシャネルズ時代の曲調より、よりダンサブルな感じになり、資生堂のCMという強力タイアップも後押しをしての結果で、シャネルズでもヒット、ラッツ&スターでもヒットということになったのです。ただ次の大瀧詠一による名曲「Tシャツに口紅」が思ったほどは売れず、ラッツ&スターとしてはヒットが続かなかったのですよね。「涙のスウィート・チェリー」もそうですが、どうもシャネルズもラッツ&スターも、満を持して投入した名バラードがコケてしまうというところがあったみたいです。
【再び下降線、そして活動休止】 1984~1985年
「月下美人(ムーンライト・ハニー)」「グラマーGuy」
「唇にナイフ」「マドンナはお前だけ」「レディ・エキセントリック」
ラッツ&スターになって2年目になると、さらに売上も低迷し、1985年にとうとう活動休止に入ってしまいました。
【期間限定復活】 1996年
「夢で逢えたら」
期間限定で活動再開し、カバー曲ではありましたが、リリースしたシングル「夢で逢えたら」がヒット。さらに活動も増えるかという期待もあったところで、某メンバーの不祥事で、そんなことも叶わなくなってしまったのは、とても残念。そういえば数年前、鈴木雅之と桑マンが紅白で共演したときは、ちょっとした感動ものでした。
■売上枚数 ベスト5
1 ランナウェイ 97.5万枚
2 街角トワイライト 71.7万枚
3 め組のひと 62.2万枚
4 夢で逢えたら 44.0万枚
5 ハリケーン 42.6万枚
錚々たるラインアップで、納得できるラインアップが上位に並んでいます。これだけみると、ラッツ&スターって、偉大なグループだったのだと改めて認識させられます。
■最高順位
1位 … ランナウェイ、街角トワイライト、め組のひと
2位 … ハリケーン
3位 … トゥナイト
1位が3曲、2位が1曲、3位が1曲とベスト3に5曲を送り込んでいます。
■代表曲
1 め組のひと
2 ランナウェイ
3 夢で逢えたら
4 街角トワイライト
5 ハリケーン
倖田來未らがカバーしたことで、若い世代にも認知度の高い「め組のひと」がまず上がるでしょうか。続いてブレイクした「ランナウェイ」、結果的に最後の曲「夢で逢えたら」といった感じになるでしょうか。「街角トワイライト」「ハリケーン」も捨て難いです。
■好きな曲 ベスト5
1 Tシャツに口紅
2 ハリケーン
3 街角トワイライト
4 涙のスウィート・チェリー
「Tシャツに口紅」についてはほんと、何で売れなかったのだろうと今も思っていますが、個人的には一番大好きです。以下大ヒットした「ハリケーン」「街角トワイライト」、さほど売れなかった「憧れのスレンダー・ガール」といずれも歌って気持ちのいい作品。そして「涙のスウィート・チェリー」。みんな好きです。
必ずしも順番どおりではないにしろ、代表曲となりそうな作品は、売上でも上位になっています。
結論:代表曲はちゃんと売上でも上位になっている

















