80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.70

 

来生たかお(作曲家)

以前お姉さんの作詞家来生えつこを取り上げましたが、今回は自身も歌い手としても活躍した来生たかお。80年代には多くの女性アイドルへ曲を提供し、ヒットに結びつけています。特にデビュー曲を提供しているケースが多く、アイドルの売り出す側としては、頼りになる存在だったのかもしれません。いかにも来生たかおという独特の哀愁を含んだメロディーが日本人の琴線に触れ、支持されることになります。今回のランキングはすべて80年代ということで、まさに80年代を代表する作曲家の一人といってよいでしょう。

 

来生たかお作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 Remember 風間三姉妹

 (1位 15.3万枚 作詞 湯川れい子 作曲 来生たかお 1987年)

スケバン刑事に出演した浅香唯、中村由真、大西結花の3人による企画シングルですが、当時の人気を表すかのように、チャート1位を獲得。今回の中では、来生色がやや薄めの感じの印象はあります。

 

9位 夢色のメッセージ 西村知美 

(2位 17.9万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1986年)

西村知美のデビュー曲で起用され、いきなりのオリコン2位。お世辞にも歌がうまいとはいえない西村知美ですが、当時からほんわか、おっとりとしたキャラクターに合うような優しい楽曲になっています。続く『見えてますか、夢』も来生たかおが手掛けています。

 

8位 楽園のDoor 南野陽子  

(1位 26.1万枚 作詞 小倉めぐみ 作曲 来生たかお 1987年)

南野陽子が初めてオリコン1位を獲得し、これ以降チャート1位の常連になっていくわけですから、南野陽子がトップアイドルの仲間入りをした起点になった曲ともいえるでしょう。当時は暗い感じの歌であまり好きではなかったのですが、後からじわじわとこの曲の良さを感じられるようになりました。このほか『さよならのめまい』も提供しています。

 

7位 シルエット・ロマンス 大橋純子   

(7位 42.8万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1981年)

大人のシンガーというイメージの大橋純子に提供して大ヒットした作品です。当時来生たかおがアイドルたちに書いた曲が連続してヒットしてる中、こういったアダルトなラブソングもいけるんだぜというアピールをしたかったかどうかは知りませんが、じっくりと聴かせる作品に仕上がっています。

 

6位 微熱かナ 伊藤麻衣子  

(75位 3.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 来生たかお 1983年)

伊藤麻衣子のデビュー曲であまり売れなかったのですが、来生たかおらしいせつなさを帯びた、派手ではないけれども、なかなかの良い曲になっています。ちょっと頼りないボーカルに不思議とマッチ。

 

5位 語りつぐ愛に 薬師丸ひろ子 

(6位 15.8万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1989年)

デビュー曲以来の薬師丸ひろ子のシングル曲への起用となりましたが、来生たかお節炸裂といった、まさに来生たかおの創り出すメロディーといった印象の作品。来生たかお自身もアルバムの中でセルフカバーしています。

 

4位 セカンド・ラブ 中森明菜 

(1位 76.6万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1982年)

『少女A』で火がついた中森明菜の人気を、さらに確固たるものにした作品がこの3rdシングルです。秋にぴったりなせつなさのあふれたメロディーにより、前作でのツッパリ系のイメージとのギャップが生まれ、多くの人々をひきつけました。間違いなく中森明菜人気の沸騰に、来生姉妹の貢献は大きかったはずです。この2作あとのシングル『トワイライト-夕暮れ便り-』も来生たかおが作曲。

 

3位 セーラー服と機関銃 薬師丸ひろ子 

(1位 865万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1981年)

薬師丸ひろ子の歌手デビュー曲は、映画とともに一世を風靡する大ヒットになりました。自身の歌う歌詞違いの『夢の途中』との競作になりましたが、そちらもヒット。薬師丸ひろ子を一躍スターに押し上げることに大きく貢献しました。

 

2位 スローモーション 中森明菜 

(30位 17.4万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1982年)

中森明菜のデビュー曲で、当時は知名度もなく、順位的にはパッとしなかったのですが、その後中森明菜の人気が沸騰した時点で、デビュー曲ってこんなにいい曲だったのかと、知られるようになった作品です。発売する時期がもう少しあとであったら、間違いなく大ヒットしたであろう名曲です。

 

1位 はぐれそうな天使 岡村孝子 

(34位 3.8万枚 作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 1986年)

もう来生たかおの真骨頂といってよい、けだるさを帯びたメロディーの名曲です。ソロになった岡村孝子が、自作でない作品を歌っているというのが珍しいのですが、それゆえに他の曲とは違った味わいになっています。特別ヒットしたわけではないのですが、個人的に気に入っていて、文句なしの来生たかおのナンバー1とさせていただきました。

 

【その他の主な作品】

河合奈保子『ストロータッチの恋』『疑問符』、しばたはつみ『マイ・ラグジュアリー・ナイト』、郷ひろみ『女であれ、男であれ』、坂上香織『レースのカーディガン』、原田知世『悲しいくらいほんとの話』『ときめきのアクシデント』、渡辺徹『灼けつくメモリー』など。