80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.63

 

尾崎亜美(作詞・作曲家)

シンガーソングライターとしても活躍し、『マイ・ピュア・レディ』がヒットしましたが、80年代を中心に女性アイドル達にもたくさんの楽曲を提供しています。どの曲も尾崎亜美らしい個性がにじみ出ていて、繊細で純粋で一途な女心を可愛く仕上げています。女性アイドルにとっては、ここぞというときに頼りにしたくなるような作家だったのではないでしょうか。

 

尾崎亜美作詞・作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 伝説の少女 観月ありさ 

(5位 22.7万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1991年)

美少女ブームの中、ポスト後藤久美子ということで売り出された3Mの一人観月ありさのデビュー曲が尾崎亜美に任されました。まだ色がついていないということで、デビュー曲は清らかで瑞々しく、そして歌詞は観月自身に重なるような内容にもなっていて、しっかりとセールスも残しました。3枚目のシングル『風の中で』も似たような雰囲気の作品ですが、尾崎亜美が提供しています。

 

9位 オリビアを聴きながら 杏里 

(65位 5.5万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1978年)

今ではスタンダードナンバーになっているこの作品で、杏里のバラード系の代表曲になっていますが、当時はあまり売れていないのですよね。発売時に売れる曲と、後々残っていく曲とは必ずしも一致しないというものの典型的な例といえるでしょう。

 

8位 天使のウインク 松田聖子 

(1位 41.4万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1985年)

アイドルとしての松田聖子の最後の時期に、この曲と『ボーイの季節』の曲を尾崎亜美が提供。コーラスも尾崎亜美がつとめているため、まさに尾崎亜美らしい一曲に仕上がっています。

 

7位 内緒で浪漫映画 新田恵利 

(1位 11.5万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1986年)

作詞夏目純との組み合わせは岡田有希子『二人だけのセレモニー』、堀ちえみ『素敵な休日』など結構ありますが、今作はそのパターン。おニャン子への提供というのは結構意外な感もありましたが、曲としてはちゃんと良い曲を創り上げてくるのはさすが。尾崎亜美特有の透明感のあるメロディー。

 

6位 微風のメロディー 河合奈保子

(7位 14.8万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1984年)

けっして派手ではないですが、春らしい優しき穏やかな暖かさを感じる作品です。当時の河合奈保子は様々なアーティストへ作品を依頼している時期で、竹内まりや、八神純子、来生たかおらの一連の中で、尾崎亜美もこの曲を提供。

 

5位 恋のKNOW-HOW  松本伊代 

(10位 9.4万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1984年)

バラード系とアップテンポ系を交互に、4曲続けて松本伊代に曲を提供しましたが、その2曲目がこの作品。それまでの松本伊代にはないタイプの曲で、ちょっとチャレンジしてみた感はあるのですが、きっちりとトップ10に入ってきました。前作とのギャップで最初に聴いた時は戸惑いましたが、聴いていた楽しくなる曲で、だんだん好きになっていきました。

 

4位 Summer Beach 岡田有希子 

(5位 13.6万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1985年)

岡田有希子には4thシングル『二人だけのセレモニー』(作曲のみ)に続いての楽曲提供で、岡田有希子のシングル作品としては唯一の夏曲となっています。ウキウキと幸せな気持ちになるようなラブソングです。

 

3位 Love Letter 酒井法子 

(5位 9.1万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1989年)

自分に好意を示してくれる男の子がいながら、もういない人のことを忘れられない、歌い手のその揺れる心と、それを知りながら健気に思い続ける男の子の切ない思い。尾崎亜美の繊細さが歌詞とメロディーの両方で表現され、酒井法子にピッタリな作品に仕上がっています。

 

2位 時に愛は 松本伊代 

(8位 18.7万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1983年)

停滞気味の松本伊代のセールスを引き上げた一曲です。初めて聴いた時に、これはいい曲、きっと売れると思った通りに、4作ぶりにオリコントップ10入りを果たすことができました。女性のせつない恋心をせつせつと歌い上げた名曲になっています。

 

1位 流れ星が好き 松本伊代 

(24位 4.7万枚 作詞 尾崎亜美 作曲 尾崎亜美 1984年)

『時に愛は』『恋のKNOW-HOW』に続いてリリースしたシングルでしたが、セールスが急激にダウンしたのがびっくりでした。楽曲としては『時に愛は』と同じ路線で、より具体的に情景が浮かびやすい歌詞になっていて、個人的にはこちらの方を1位とさせていただきました。思っていた相手との恋が成就して、その喜びを静かに噛みしめているような幸せ感がにじみ出てくる歌ですね。

 

【その他の主な作品】

岩崎良美『化粧なんて似合わない』『ごめんねDarling』、志村香『曇り、のち晴れ』、横山千枝『Happy birthday』、真璃子『届かなかったAIR MAIL』など