第63回 代表曲と売れた曲は一致するのか
桑田佳祐
サザンオールスターズとしてはもちろん、KUWATA BANDやSUPER CHIMPANZEEだったり、ミスチルと組んだり、いろいろな形で作品を生み出し続けている桑田佳祐ですが、もちろんソロとしてもたくさんのヒット曲を持っています。今回はそのソロ曲のみのセールス推移を見てみます。基本的にはサザンの活動が休止しているようなときにソロシングルをリリースすることが多いため、リリースがある時期とまったくない時期が分かれているようにはなっています。
【第1期】 1987~1988年
「悲しい気持ち」「いつか何処かで」
サザンでの活動が休止となり、KUWATA BANDのProjectも終わり、そしてとうとうソロシングルを出すのかとまずは当時驚きを覚えたのと同時に、ではいったいどんな曲を出してくるのか、サザンと同じじゃつまらないし…と期待と不安が入り混じったいた私たちを傍目にさらりと「JUST A MAN IN LOVE」とシンブルな別れの歌。なるほど、ここをついてきたかといった感じでした。そして翌年は「I FEEL THE ECHO」と、こちらはちょっとサザン色のある、こちらも奇を衒わないオーソドックスな恋愛回顧ソング。とりあえずこの2曲を出して、サザンへ戻っていくことになります。
【第2期】 1993~1994年
「真夜中のダンディー」「月」「祭りのあと」
前作から2年後に再びソロプロジェクトが始まり、2年間で3曲のシングルを出しますが、この期間の3曲は、キャッチーだった前回の時とは曲の雰囲気もかなり変わって、あくの強い作品が3つ並びました。それでもそこはさすが桑田佳祐ということで、「真夜中のダンディー」はソロとしては初のオリコン首位を獲得。セールスも世の中のCD景気ということもありますが、前回よりも伸ばすことになります。
【第3期】 2001~2002年
「波乗りジョニー」「白い恋人達」「東京」
さらに7年後、3回目のソロプロジェクトが始まり、今回はいきなりポップで乗りの良い売れ線メロディーの「波乗りジョニー」をぶちこんできます。これがミリオンセラーになると、まったく季節も雰囲気も対照的なバラード曲「白い恋人達」を次のシングルとしてリリースし、これがまたミリオンセラーと、ソロとして最大の成果を残しました。
【第4期】 2007~2013年
「明日晴れるかな」「風の詩を聴かせて」「ダーリン」
「君にサヨナラを」「本当は怖い愛とロマンス」「明日へのマーチ」など
「東京」から5年経って「明日晴れるかな」がリリースされ、以降は1~2年に1枚のペースで2013年までコンスタントにソロシングルがリリースされることになります。作風的にはかなり落ち着いてきて、売れる売れないよりも、ソロでしかできない、そして自分が歌いたい作品を歌っているという印象を傍目からは受けました。
【第5期】 2016年
「ヨシ子さん」「君への手紙」
音楽業界が配信主体へと変わっていく中で、2016年に2曲リリース。「ヨシ子さん」はかなり遊びの要素が強くて、このあたりになると、さらにやりたいことだけをやっている感が強くなってきました。
■売上枚数 ベスト5
1 白い恋人達 123.1万枚
2 波乗りジョニー 111.1万枚
3 祭りのあと 81.1万枚
4 真夜中のダンディー 71.1万枚
5 東京 55.0万枚
「白い恋人達」「波乗りジョニー」の対照的な2曲がミリオン達成。一方ソロ初期の作品は、アナログからCDへの移行期ということで、セールス的には若干不利だったかもしれません。
■最高順位
1位 … 波乗りジョニー、白い恋人達、東京、明日晴れるかな、
風の詩を聴かせて、ダーリン、君にサヨナラを
1位は7曲で獲得していますが意外なことに、ミリオンを達成した「波乗りジョニー」が初の獲得で、そこから7曲連続の獲得。こう見ると、ミリオンの2曲を除くと、順位とセールスはあまりリンクしていないようです。
■代表曲
1 白い恋人達
波乗りジョニー
3 悲しい気持ち、祭りのあと、明日晴れるかな
ソロとしてはやはりミリオンの2曲になるでしょうが、この2曲はまったくタイプの異なる作品で、甲乙つけがたいです。その次が上記の3曲あたりではないでしょうか。
■好きな曲 ベスト5
1 波乗りジョニー
2 悲しい気持ち
難しい曲よりも、個性が強い曲よりも、やっぱり聴きやすくてノリの良い曲ということで、この2曲をあげてみました。
ソロ桑田佳祐については、繰り返しになりますが、ミリオンを達成した2曲が、セールス的にも印象的にも圧倒的に強いのではないでしょうか。
結論:飛びぬけて売れた2曲がそのまま代表曲でいいでしょう