第55回 本当に一発屋だったのか

 

川村かおり(カオリ) 葛城ユキ 辛島美登里 KAN

 

なんとなく一発屋のイメージのある4人のアーティストについて、本当に一発屋なのか、売上実績をみながら検証してみる特集です。

 

【川村かおり】 対象曲「翼をください」 

■売上枚数 ベスト3  

1 翼をください 28.1万枚

2 神様が降りて来る夜 12.4万枚

3 見つめていたい 5.5万枚

「翼をください」が圧倒的に売れてはいますが、「神様が降りて来る夜」も健闘。「翼をください」は誰もが知るスタンダード的な歌のカバーなので、オリジナルという点ではむしろ「神様が降りて来る夜」の印象の方が強く感じる人もいるかもしれませんね。山田邦子のバラエティ番組でも使われていましたし。

 

■最高順位 

5位 … 翼をください  

13位 … 神様が降りて来る夜 

19位 … 見つめていたい

唯一のトップ10入りが「翼をください」ということで、10位以内をヒットとして捉えるのなら、売れたのは1曲ということになりますが…

 

「翼をください」は確かに目立った実績を残してしますが、「神様が降りて来る夜」とか、多くのアーティストが歌った「ZOO」も売れませんでしたが、印象的な作品ではあります。

結論:一発屋であるか一発屋ではないか、微妙なライン

 

 

【葛城ユキ】 対象曲「ボヘミアン」

■売上枚数 ベスト3  

1 ボヘミアン 41.4万枚

2 ハートブレイカー 5.3万枚

3 ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO 3.6万枚

「ボヘミアン」の次に売れたのが5.3万枚ですから、一曲が突出しているといって問題ないでしょう。

 

■最高順位 

3位 … ボヘミアン  

33位 … ハートブレイカー 

50位 … ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO

3位を獲得した「ボヘミアン」の次が33位と、普通は売れた次の曲はそこそこは売れるものなのですが、それも全くなし。

結論:教科書のように見事な一発屋

 

【辛島美登里】 対象曲「サイレント・イヴ」

■売上枚数 ベスト3

1 サイレント・イヴ 80.0万枚 

2 愛すること 38.8万枚

3 あなたは知らない 19.4万枚

今回改めて調べる前は、2位以下はかなり下がるだろうと思っていたのですが、「愛すること」が大ヒットした「サイレント・イヴ」の半分近くの売上を残しているのは意外でした。さらに「あなたは知らない」も20万枚に迫る売上枚数ということで、他の曲も結構健闘していることがわかります。

 

■最高順位

1位 サイレント・イヴ

12位 あなたは知らない

13位 愛すること

トップ10以内は「サイレント・イヴ」の1曲のみということで、この結果が一発屋の印象を強めているような気がします。ただ次点、次次点が12位、13位と、もうちょっとでトップ10という成績。そこそこ健闘はしているという順位ですね。

 

トップ10作品という点では、確かに「サイレント・イヴ」が唯一にはなるのですが、枚数を考慮すると、「愛すること」の存在は無視できないほどの実績に放っているのですよね。

結論:売上枚数のことを考えると、一発屋と断定まではしにくい

 

【KAN】 対象曲「愛は勝つ」

■売上枚数 ベスト3  

1 愛は勝つ 201.2万枚

2 まゆみ 18.2万枚

3 イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ 15.6万枚

国民の多くが知っているであろう「愛は勝つ」が圧倒的な売上を残しているので、他がかすんでしまいますが、4曲が10万枚を超える売上を残しています。それでも愛は勝つの1/10以下なのですが…。個人的には「言えずのI LOVE YOU」が好きです。

 

■最高順位 

1位 … 愛は勝つ  

5位 … イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ、プロポーズ

「愛は勝つ」景気があったとはいえ、トップ10内に4曲連続で送り込んでいるのは、シンガーソングライターとしての実力がなければできることではないと思うのですよね…

 

「愛は勝つ」の200万枚と比べると、他の作品の落差が大きくみえてしまいますが、10位以内に他に3曲も送り込んでいて、しっかりとした実績を残していることは確かなのですよね。

結論:一発屋といわれるのは理解できますが、その範疇からは外してあげたい実績は残しています