第51回 おニャン子初期主力メンバーの歌手としての序列付け

 

河合その子・新田恵利・国生さゆり・高井麻巳子

 

W渡辺は先日取り上げましたが、初期の主力メンバーを4人取り上げて、その中で歌手としての実績がすごい順に並べるとどんな感じになるのか、あくまでも売上実績から見てみました。

 

【河合その子】

最初にソロデビューしたのが河合その子。同じ学校にもいそうな感じのメンバーが多い中で、ちょっと異質な雰囲気があったように思います。お人形さんみたいなという表現がされたような美形で、楽曲についても異国(それもヨーロッパ)をイメージした作品が多く採用されていました。そして他のメンバーは、デビュー曲が一番売れたというケースがほとんどの中、3曲目「青いスタスィオン」が最大となっているのも特徴的。デビューが早く、また上昇途中という中で、2曲目、3曲目とリリースしていったということもあるでしょうが、楽曲の力もあったように思います。

 

【新田恵利】

けっして美人というわけでもなく、当時はなんで人気があるのか実はよくわからなかったところもあるのですが、おニャン子を象徴するメンバーであったことは間違いないでしょう。歌手としてはとにかく舌足らずな声が特徴的で、大きな武器だったといえるでしょう。選ばれたように思います。そんな声に合う楽曲がデビュー曲「冬のオペラグラス」が大ヒットし、その勢いで1年間走り続けたという印象です。

 

【国生さゆり】

歌手国生さゆりの最大の功績は「バレンタイン・キッス」を送り出したということでしょう。発売から40年近く経っているのに、未だにバレンタインソングといえば、まずこの曲が挙がるほどのド定番曲。カバーされるなど、世代を超えて歌い継がれる曲になるとは、当時誰が想像したでしょうか。セールス抜きで、後世に残る曲を歌っていたという点では、彼女がナンバー1でしょう。

 

【高井麻巳子】

うしろゆびさされ組としてデビューが先になった分、ソロとしての立ち上がりが遅れてしまいましたが、待っていたファンも多かったのでは。なぜかソロでのシングル曲は秋元康が作詞をしていないというのが当時不思議だったのですが、まさか…でした。その後の人生という比較では、ある意味最大の勝ち組という見方もあるかもしれません。ユニットでの曲との差別化ということもあったのか、楽曲的にはわりと静かでおとなしめな作品が多かった印象です。

 

参考【吉沢秋絵】

主力メンバーというには、後述する1位の獲得作品数やメディアでの取り上げられ方などで若干足りない感があるため、〈参考〉という形にしましたが、4人とソロデビュー時期が重なり、セールス面で比較するにもわりと近い成績も残しているため、プラスαで取り上げてみました。

 

■売上枚数 ベスト3  

1 青いスタスィオン 河合その子 34.1万枚

2 冬のオペラグラス 新田恵利 32.0万枚

3 バレンタイン・キッス 国生さゆり 31.7万枚

4 恋のロープをほどかないで 新田恵利 28.4万枚

5 (季節はずれの恋 吉沢秋絵 28.0万枚)

1位の「青いスタスィオン」はおニャン子活動中の関連作品で最も売れた曲であり、1986年の年間売上トップ10にも入っています。ここがおニャン子全体の勢いとしても頂点だったともいえそうですが、実際に楽曲としても〈名曲〉だと思います。よくある上京ソングのひとつですね。2位、3位は新田恵利、国生さゆりの名刺代わりの曲が続き、4位に新田恵利の2曲目が入ります。

 

 

■1位獲得作品数 

4曲 … 河合その子、新田恵利、高井麻巳子  

3曲 … 国生さゆり

(2曲 … 吉沢秋絵)

ここは3人が同数で大接戦。ちなみに以前取り上げた渡辺満里奈も4曲。そして渡辺美奈代、うしろゆびさされ組が5曲でした。また4曲×3人+3曲×1人=計15曲のうち、13曲が1986年発売(残りは1985年と1987年が各1)と、とにかく1986年の1年に集中しているのが特筆です。

 

■トップ10以内作品数

7曲 … 河合その子、国生さゆり、高井麻巳子

6曲 … 新田恵利  

(4曲 … 吉沢秋絵)

こちらも1位獲得数の時とは1人メンバーが入れ替わっていますが、3人が同数で大接戦。

 

■トータル売上枚数

1位 … 河合その子 123.5万枚  

2位 … 新田恵利 108.7万枚 

3位 … 国生さゆり 107.1万枚

4位 … 高井麻巳子 87.0万枚

(5位 … 吉沢秋絵 61.0万枚)

うしろゆびをいれると高井麻巳子が断トツ1位にはなりますが、あくまでもソロとしてはこんな順番になりました。

 

■私の好きな歌

1位 … 青いスタスィオン 河合その子

2位 … 悲しい夜を止めて 河合その子

(3位 … シグナルの向こうに 吉沢秋絵)

4位 … 恋のロープをほどかないで 新田恵利

5位 … テンダー・レイン 高井麻巳子

6位 … 不思議な手品のように 新田恵利

7位 … 情熱れいんぼう 高井麻巳子

ということで、個人的には河合その子が圧倒していて、特に「青いスタスィオン」はすべての曲の中でもトップ3にはいるぐらいの評価をしています。そして「悲しい夜を止めて」の切なさを抱いた疾走感もまた気に入って、ワンツーとなりました。以下7曲、いずれも好きな曲です。

 

 

 

現在における曲の知名度からすると、国生さゆりが一番なのでしょうが、あくまでも歌手としての売上を軸とした実績という観点でみたとき、1位獲得数、トップ10内作品数、作品別売上、個人別トータル売上でいずれも1位となっている河合その子をまず挙げないといけない気がします。新田恵利と国生さゆりの比較ではほぼ互角。1位獲得数では新田に1差で軍配も、トップ10内作品数では逆に1差で国生。作品別売上、トータルセールスではわずかに新田がわずかに上位にいますが、数字を見ると誤差の範囲かもしれません。ほぼ同格、敢えて順位付けするなら、新田、国生の順でしょうか。高井麻巳子は2人に比べると、あくまでもソロシングルに関しては、若干実績が小さいということで

結論:河合その子>新田恵利≧国生さゆり>高井麻巳子