第33回 代表曲と売れた曲は一致するのか
岡田有希子
同い年のアイドルとして、どんどん昇り詰めていくのを楽しみにしていた矢先、あの日…上京したてだった私が、大学のオリエンテーションから帰って、独り暮らしを始めたばかりのアパートに届いた夕刊を見た時の衝撃…忘れません。セールス推移も昇っている途中でしたので、もしもこれに続きがあったならということをついつい想像したくなります。
【竹内まりや三部作】 1984年
「ファースト・デイト」「リトル プリンセス」「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」
デビューから3曲はいずれも作詞&作曲を竹内まりやが担当。いかにも十代の女の子といった感じの、クラスメートらしき男の子との可愛い恋が描かれた微笑ましい作品です。この3部作を見ると、正統派、清純派、王道のアイドルを目指していきたいという売り出す側の狙いがしっかりと伝わってきますね。やはり事務所の先輩、松田聖子の後を追っていたのでしょう。そして順調に成績を伸ばし、3rdシングルではトップ10入りを果たしたわけです。同年デビューでは菊池桃子が、セールス面ではライバル的な存在でした。
【尾崎亜美二部作】 1985年前半
「二人だけのセレモニー」「Summer Beach」
竹内まりやの次が尾崎亜美ということで、アイドルとしては王道の路線を引き続き進んでいこうと、安心して任せられるお二人のリレーとなったのでしょうか。「二人だけのセレモニー」でキャンパスを舞台にした形は卒業して、「Summer Beach」ではアイドルらしいThe 夏ソングという流れは、繰り返しになりますが、まさに王道。セールス的にもさらに売上枚数を伸ばし、期待がふくらむばかりだったでしょう。
【作品の幅を広げる展開】 1985年後半
「哀しい予感」「Love Fair」
それまで王道路線を進んでいたのですが、6th、7thシングルにおいては、明るく爽やかな作品から一転し、やや暗めの歌に方向転換、作品の幅を広げようという試みが見られます。「哀しい予感」は3曲ぶりに竹内まりやに戻るのですが、初期の3部作とは、歌詞も曲調も全く違うタイプの曲がきて、さらに「Love Fair」もけっして王道のアイドルソングではなく、売上枚数的にも若干落としてしまうことになるのです。本線はやはりポップでさわやかなアイドルの王道路線の中、飽きさせずに変化をつけるためには必要な作品、あとになってみるとそんな位置づけだったように思います。
【いよいよトップへ】 1986年
「くちびるNetwork」
3曲ぶりに王道のアイドルポップに戻り、さらには作詞が同じ事務所だった松田聖子、そして化粧品のCMソングにも起用されたということで、一気に跳ねて、オリコン1位を初めて獲得します。やはり求められていたのはこの路線だったということなのでしょうか。そしてこれからは1位常連になっていくのか、まさにそんな期待を大いに抱かせる結果だったのですが、頂点へ向かう最中でTHE ENDとなってしまったのは、つくづく惜しいことでした。
■売上枚数 ベスト5
1 くちびるNetwork 23.1万枚
2 二人だけのセレモニー 14.7万枚
3 Summer Beach 13.6万枚
4 -Dreaming Girl- 恋、はじめまして 12.9万枚
5 Love Fair 12.0万枚
当然1番売れたのが「くちびるNetwork」になりますが、むしろ順調に伸ばしていった中での6thシングル「哀しい予感」が一番売上が少ないというのが面白いところで、岡田有希子に暗めの失恋ソングは求められていなかったとすいうことなのでしょうか。
■最高順位
1位 … くちびるNetwork
4位 … 二人だけのセレモニー
5位 … Summer Beach、Love Fair
この先、何曲1位をとれたのか、そんなことを想像してしまいます。
■代表曲
1 くちびるNetwork
そもそも選択肢が多くないので、これ一択としておきます。
■好きな曲 ベスト5
1 Love Fair
2 哀しい予感
3 ファースト・デイト
4 Summer Beach
5 リトル・プリンセス
王道路線ではなかった「Love Fair」「哀しい予感」が個人的には好きだったという…
結論:本来なら、代表曲となる別の作品があっただろうに…。結果として代表曲が最も売れたということになってしまいました。