第24回 いまいちブレイクできなかった伊藤選手権
伊藤さやか 伊藤美紀 伊藤麻衣子 伊藤智恵理
1980年代前半から半ばにかけて、なぜか伊藤姓の女性アイドルが多数登場しましたが、デビュー曲がトップ10入りした伊藤つかさを除いて、みんないまいち歌手としてはブレイクできずに終わってしまいました。今回はそんな4人の伊藤さんの、いまいちな中でも誰が一番惜しかったか、格付けを考えてみました。
【伊藤智恵理】
歌唱力という点ではこの中では群を抜いていて、その歌唱力を生かした作品はなかなか良くはあったのですが、いわゆるアイドル的な受けとしてはいまいちだったということで、デビュー曲以降売上は徐々に低下。その素質を十分に生かしきれませんでした。
【伊藤麻衣子】
歌手以上に女優としての認知度が高く、特に大映ドラマで「高校聖夫婦」「少女が大人にする時 その細き道」「不良少女とよばれて」などで主演を務めるなどで話題にもなりました。今現在も芸能界で活躍していますし、芸能界での成功度という点ではこの中で断トツでしょう。ただ歌手としては伸び悩み、ただ8枚目の「見えない翼」だけがポコンと飛び出ているのは特筆ものです。
【伊藤さやか】
彼女の場合も女優として出演した「陽あたり良好!」の印象が強く、歌手としてはデビュー曲の売上が最大で、以降はパッとせずに花開かないまま終わってしまいました。
【伊藤美紀】
ホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリということで、デビュー時の期待値は最も高かったのが彼女でしょう。おそらく宣伝にも力が入っていたと思われ、最初の1年間は発売初動の動きは結構健闘していました。ただ2年目になるとこちらも勢いはなくなり、ブレイクしきれずに早々に歌手活動を終わらせてしまいました。
★参考 伊藤つかさ (再掲)
以前取り上げたので、あくまでも参考ということになりますが、デビュー曲がトップ10入りといきなりヒットし、他の伊藤さんたちとは同列には語れないため、今回の格付け対象からは外させていただきました。
■楽曲別売上枚数
1 見えない翼 伊藤麻衣子 11.5万枚
2 天使と悪魔 (ナンパされたい編) 伊藤さやか 9.2万枚
3 哀愁ピセル 伊藤美紀 4.5万枚
パラダイス・ウォーカー 伊藤智恵理 4.5万枚
5 アナタトOVER-HEATシタイ 伊藤さやか 3.7万枚
1位から4位をそれぞれ4人で分け合っていますが、唯一「見えない翼」が10万枚を超えています。ただ、5位以内の他の4曲が1stか2ndシングルであるのに対し、「見えない翼」は8thシングルというのが面白いところです。
■楽曲別最高順位
1位 … 13位 哀愁ピセル 伊藤美紀
2位 … 14位 見えない翼 伊藤麻衣子
3位 … 16位 UBU 伊藤美紀
4位 … 18位 小娘ハートブレイク 伊藤美紀
5位 … 22位 雨に消えたあいつ 伊藤智恵理
最高位では伊藤美紀が3曲でトップ20入りと、瞬間風速では最も勢いがあったことがうかがえます。また伊藤麻衣子は「見えない翼」の14位の次に高かったのが「秋のほほづえ」の41位ということで、一曲だけがぽこんと売れただけで、他は厳しかったこ
とが分かります。
■トップ20ランクイン枚数
1位 伊藤美紀 3作
2位 伊藤麻衣子 1作
3位 伊藤智恵理、伊藤さやか 0作
トップ10入りは4人ともないですが、トップ20入りということでみると、伊藤美紀の3作というのが抜けています。もう少しでトップ10という意味では、伊藤美紀が一番近かったようです。
■トップ30ランクイン回数
1位 … 伊藤美紀、伊藤智恵理 3作
2位 … 伊藤麻衣子 1作
3位 … 伊藤さやか 0作
作品別の売上では2位になっている伊藤さやかがここでは苦戦
■トップ100ランクイン枚数
1位 … 伊藤麻衣子 13曲
2位 … 伊藤美紀 7曲
3位 … 伊藤智恵理 6曲
4位 … 伊藤さやか 5曲
伊藤麻衣子がダントツで、普通は売れないと見切りをつけられ、レコードを出せなくなっていたものですが、売れなくてもレコードをたくさん出せたというのは、女優業での知名度も助けにはなっていたのでしょうか。
あくまでも女優業関係なく、歌手としての選手権ということになりますが、枚数で一番売れた曲のある麻衣子は、他の曲が売れておらず、またトップ10入り3曲の美紀は、枚数的に低調。作品として2番目に売れたさやかはトップ30入りがなく、トップ30では健闘している智恵理は枚数で最下位と、決め手に欠けるのです。
その中で、唯一10万枚越えの一番売れた作品があり、かつトップ100入りした曲数が圧倒的な麻衣子さんの優勝とします。続いてトップ20に3曲の美紀さん、作品売上2位の智恵理さんとしてみます。異論は認めます。
結論:麻衣子>美紀>智恵理>さやか