第18回 代表曲と売れた曲は一致するのか
今井美樹
女優でありながら歌手としてもヒット曲を多数持つのは、薬師丸ひろ子、斉藤由貴、原田知世、中山美穂などアイドル系で多数いますし、いわゆる女優としてスタートした中でも、松たか子、柴咲コウなどがいますが、その中でも今井美樹はその代表格と言えるでしょう。非常にわかりやすいチャートとなっている今井美樹の代表曲と売上の相関をみてみます。
【売れっ子作家を起用していたデビュー直後】 1986~1988年
「黄昏モノローグ」「野性の風」「静かにきたソリチュード」
モデルからスタートし、女優業そして歌手業へと活動の幅を広げようとする中、起用されたのは来生えつこ&鈴木キサブロー、川村真澄&筒美京平、戸沢暢美&中崎英也という作詞・作曲の組み合わせで、まさに売れっ子のヒットメーカーを起用し、曲のヒットに結びつけようと、している感がうかがえます。新人歌手としては健闘の部類に入るかとは思いますが、ヒットチャート上位というところまではいかなかったのがこの頃です。
【作曲上田知華時代】 1988~1992年
「彼女とTIP ON DUO」「Boogie-Woogie Lonesome High-Heel」「瞳がほほえむから」
「PIECE OF MY WISH」「Blue Moon Blue」
女優としても人気ドラマに出演し、知名度を上げていく中で、4曲目に作詞秋元康、作曲上田知華による「彼女とTIP ON DUO」がで初のトップ10入りを果たすと、それで味をしめて(?)、5曲続けて上田知華作曲の作品をシングルとして発売していくことになります。うち3曲がトップ10入りで、特に「PIECE OF MY WISH」は大ヒットとなり、オリコン1位とミリオンセラーを達成。歌手としても女優としても大成功を収めることになったのです。
【布袋寅泰べったり時代】 1993~2003年
「Bluebird」「Miss You」「Ruby」「PRIDE」「DRIVEに連れてって」
「Goodbye Yesterday」「ホントの気持ち」など
起用する作曲家は私生活でもパートナーとなっていく布袋寅泰に移り、ここでも「Miss You」「PRIDE」「Goodbye Yesterday」といったヒット曲を出し、まさに公私ともに充実といった時期ではなかったでしょうか。
【作曲家の使い分けへ】 2004年~
「おもいでに捧ぐ」「愛の詩」「年下の水夫」「祈り」「宝物」など
21世紀に入ってからはこれといったヒット曲もないのですが、以前のように同じ作曲家と組み続けるのではなく、島袋優のあと川江美奈子が数曲、そして上田知華や布袋寅泰が再び起用されるなど、小刻みに作品によって変えていくスタイルとなっていくのでした。
■売上枚数 ベスト5
1 PRIDE 162.3万枚
2 PIECE OF MY WISH 125.4万枚
3 Miss You 80.3万枚
4 Goodbye Yesterday 50.5万枚
5 瞳がほほえむから 23.5万枚
まずは女優でありながらこれだけのビッグヒットを多く送り出しているということ自体が凄いのですが、これらの大ヒット曲は特定時期に集中しているわけではなく、散発的に発生しているというのが特徴的。つまりはアーティストパワーに任せて売り上げたというよりは、作品の力で支持を得て売上に結びつけたということでしょう。それだけ作品選びの目があったということかもしれません。
■最高順位
1位 … PIECE OF MY WISH、Miss You、PRIDE
5位 … Goodbye Yesterday
1位が3曲でその次が5位ということで、当たれば大ヒット、そうでないときはそれなりにといった売れ方で、とにかく売れ行きの良し悪しがはっきりしているのが面白いところです。
■代表曲
1 PRIDE
2 PIECE OF MY WISH
3 Miss You
おそらくこんな順になるのではないでしょうか。まさに売上の順といった感じでしょう。
■好きな曲 ベスト5
1 瞳がほほえむから
2 PRIDE
3 Miss You
4 Boogie-Woogie Lonesome High-Heel
5 野性の風
※ オレンジの河、雨にキッスの花束を
シングル表題曲ではないので欄外にしましたが、この2曲もシングルにしてもおかしくない名曲なので、追記しておきました。
「PRIDE」「PIECE OF MY WISH」「Miss You」の3大ヒット曲が売上的にも週間順位的にも圧倒的で、それがほぼ歌手今井美樹の代表曲になっている気がします。
結論:売上実績と代表曲は綺麗に一致している