第11回 代表曲と売れた曲は一致するのか

 

THE ALFEE

下積みを経た後にようやくヒット曲を放つと、そこからは長い年月にわたりヒットチャート上位をにぎわせてきました。そしてメンバーが変わらず、長い活動休止もないという稀有なバンドでもあります。         

昨年は超久々に紅白歌合戦にも出場して話題になりました。とにかくずっと一線で走り続けているという偉大なバンドといっていいでしょう。

 

【売れる術の模索が続く】 1974年~1982年

「夏しぐれ」「ラブレター」「無言劇」「SUNSET SUMMER」 など

当初はフォーク色の強いグループで、1974年にデビューした後、メンバーもレコード会社も変わり1979年に再デビュー。それでもとにかく売れない時期が長く、トータル13thシングルまではオリコントップ100にもはいりませんでした。次第にロック色も取り入れていきながら、とにかくいろいろと売れる方法を模索していた時期ではないでしょうか。

 

【上昇の兆候からブレイクへ】 1982年~1983年

「別れの律動」「暁のパラダイス・ロード」「メリーアン」 

地道な活動の結果、ようやく「別れの律動」でオリコン69位と初のトップ100入りを果たすと、次の「暁のパラダイス・ロード」が17位とさらに上昇。私が彼らを認識したのも、この曲の紹介にラジオに登場した時が最初でした。そして次の「メリーアン」がついに大ヒット、オリコンやテレビのランキング番組でも一けた台に突入し、ようやく花開いたのでした。そして「メリーアン」の幻想的なファンタジックな世界は、THE ALFEEのひとつの核として認知されていくことになります。

 

【勢いに乗ってラブファンタジー路線でファンを拡大】 1984年~1985年

「星空のディスタンス」「STARSHIP 光を求めて」「恋人達のペイヴメント」

「シンデレラは眠れない」 「霧のソフィア」

一度ブレイクすると、そこからは怒涛の勢いでヒット曲を連発し、ヒットチャートの常連になっていきます。作品によってボーカルが変わるというスタイルも新しく、作品によっていろんな顔を見せるというのも、ファン拡大に繋がったのでしないでしょうか。作風的にはSFファンタジーっぽいラインアップが多かったのもこの時期。

 

【青春路線を核に安定期へ】1986年~1987年

「風曜日、君をつれて」「SWEAT&TEARS」

「ROCKDOM 風に吹かれて」「君が通り過ぎたあとに」

「サファイアの瞳」「「白夜」「My Truth」

目新しさはなくなる一方で熱狂的な固定ファンを獲得、それまでの爆発力はなくても、安定したセールスを残していたのがこの時期。「SWEAT&TEARS」「ROCKDOM 風に吹かれて」「My Truth」など、この頃の楽曲の特徴としては、若いころを振り返った青春ソングのようなものが多くなってきたこと。また新しい魅力として認知されていったように思います。

 

【固定ファン頼みでセールスが伸び悩む】 1988年~1990年

「1月の雨を忘れない」「WEEKEND SHUFFLE 華やかな週末」

「19(nineteen) 」「FAITH OF LOVE」 「恋人の歌がきこえる」

「FLOWER REVOLUTION」

ややマンネリ化気味になっていたのがこの時期で、セールス的には10万枚越えるのがやっと、10万枚に届かないのもチョクチョクといったかんじが続いていました。それでもチャートの初動順位は結構上位に来ていたため、おそらく発売と同時に固定ファンが買うものの、それが一般に広がらないという状況だったののでしょう。私の当時の友人にも一人、熱狂的な“アル中”がいました。

 

【世の中のCD景気もあり再びセールスが上昇】 1990~1994年

「Promised Love」「BELIEVE」「Victory」「もう一度君に逢いたい」

「まだ見ぬ君への愛の詩」

アナログ盤からCDへの移行が終わり、カラオケボックスが世の中に広がり出すと、音楽界も再び活気づいてきました。すると低迷していたTHE ALFEEのシングルも再び上昇し、10万枚越えを連発。特に「Promised Love」はドラマのタイアップもあり、かなりの枚数を売上げました。ただ「Promised Love」を除くとオリコンでの順位は8~10位と、売上枚数の割には高くなく、業界全体が底上げされていたことがこのことからもうかがえます。

 

【息の長いアーティストとして独自の道を歩み続ける】  1994年~現在

「COMPLEX BLUE」「エルドラド」「LOVE NEVER DIES」「幸せのかたち」 ほか

43rd「LOVE NEVER DIES」が売上を残した後も固定ファンに支えられ、曲を出せば必ずオリコンのトップ10に入るという状況が現在まで長くつづいていくことになります。活動休止も解散もメンバーの入れ替えもせず、数十年もの間コンスタントにヒットチャートに作品を送り続けているということで、実に恐るべきことTHE ALFEEなのです。

 

■売上枚数 ベスト5   

1 Promised Love 65.7万枚 

2 星空のディスタンス 52.4万枚 

3 LOVE NEVER DIES 47.0万枚

4 メリーアン 37.3万枚 

5 恋人たちのペイヴメント 33.6万枚

まず1983年発売から1996年発売まで、発売時期がかなり離れている曲が、売上ベスト5に入っているというところがTHE ALFEEの凄いところ。息長く一線で活躍しているという証拠でしょう。ただテレビの歌番組全盛期中心にTHE ALFEEに親しんでいた世代にとっては、このランキング、「ん?」って思うようなところもあるのではないでしょうか。ちょっとイメージとは違う部分があるように思います。

 

■最高順位 

1位 … 恋人達のペイヴメント、 シンデレラは眠れない、 

              サファイアの瞳、 My Truth

2位 … 星空のディスタンス、霧のソフィア、風曜日 君を連れて、19(nineteen)、

              FAITH OF LOVE、Promised Love、Lifetime Love、この愛を捧げて、

     友よ人生を語る前に、星空のceremony

      鋼の騎士Q

1位獲得曲は長いキャリアの中で4曲ありますが、面白いのはこの中で売上枚数のベスト10に入っているのは「恋人達のペイヴメント」のみ。THE ALFEEの売れている曲というのは、ある程度時間をかけて枚数を稼いでいるという感じなのでしょうか。2位曲はかなりの長期にわたっていて、散発しています。必ず買うというファンに支えられているのは大きそうです。

 

■代表曲

1 星空のディスタンス

2 メリーアン

3 恋人達のペイヴメント

 SWEAT&TEARS

 こんな感じかなとは思うのですが、多少ぶれていたとしても、売れた曲のリストとはちょっと異なる感じになるのには間違いないでしょう。やはり、その時期に他と比べて相対的に売れていたかという点と、音楽番組などに毎週のように出て披露するなどで耳にする機会が多かったかどうか、この点で「Promised Love」「LOVE NEVER DIES」などは代表曲というには足りない気がするのです。

 

■好きな曲 ベスト5

1 白夜

2  メリーアン 

3 シンデレラは眠れない 

4 ROCKDOM 風に吹かれて 

5 SWEAT & TEARS 

1位、2位は不動です。どちらもTHE ALFEE得意の幻想的な雰囲気にあふれた曲ですが、特に白夜はもっとセールスが伸びると思っていたのですが、いまいちでした。私としては名曲だと思うのですが、ね。

 

90年代に出た最大のヒット「Promised Love」よりも、ブレイク直後の「星空のディスタンス」「メリーアン」の方がおそらく認知度も高いでしょうし、代表曲としてふさわしいように思っています。

結論:一番売れた曲が代表曲かといわれるとおそらくそうではない。