第2回  代表曲と売れた曲は一致するのか

 

アリス  

 

70年代から80年代初頭に活躍したフォーク系統の3ピースバンド。ソロでも活躍してそれぞれヒットを放つなど、名曲を多数残しています。ア行から多少前後しながらとりあげていくことにしますので、今回はアリス。

 

 

【デビュー直後の潜伏期】 1972年~1975年

「走っておいでよ恋人よ」「明日への賛歌」「愛の光」「青春時代」「二十歳の頃」「紫陽花」

デビュー曲が85位、2ndがトップ100圏外に落ちますが、3rd以降は50番前後を推移と、一般的にはまだヒット曲はないものの、力を少しずつ蓄えているようなそんな時期でしょう。作詞、作曲にはメンバー以外でも、なかにし礼、都倉俊一といったプロの作家も起用されており、まずは売り出すことが優先され、まだまだ本人たちの実力も信用されていなかったのかもしれません。

 

【ミニブレイク期】  1975年~1977年

「今はもうだれも」「帰らざる日々」「遠くで汽笛を聞きながら」「さらば青春の時」 

7thシングル「今はもうだれも」が11位で28.8万枚、続く「帰らざる日々」が15位で31.9万枚とヒット。瞬間風速はたいしたことなくても、じわじわと楽曲の良さでセールスを伸ばしていきました。アリスの名前と存在が世の中に広がり始めた時期で、メンバーの作品にも信頼度が増して、「帰らざる日々」以降のシングルはすべて谷村新司か堀内孝雄が作ったものになっていきます。

 

【大ヒット連発期】 1977年~1979年

「冬の稲妻」「涙の誓い」「ジョニーの子守唄」「チャンピオン」「夢去りし街角」「秋止符」 「美しき絆」

「冬の稲妻」が初めてオリコンでトップ10入りし、そこから6曲連続でトップ10入りを果たします。セールス的にも30~70万枚台と安定した実績を残し、まさにアーティストとしてのピークを謳歌していたのがこの時期でしょう。堀内孝雄がソロで「君のひとみは10000ボルト」をヒットさせたのもこの頃。

 

【ソロ活動への注力から活動停止へ】 1980年~1981年

「狂った果実」「それぞれの秋」「エスピオナージ」 

堀内孝雄に続き谷村新司もソロで活躍「昴」「群青」をヒットさせ、一方堀内孝雄は滝ともはるとのデュオで「南回帰線」をヒットさせるなど、それぞれのソロ活動に割かれる時間が増えていき、一人でもやっていける自信もついていったのでしょう。「エスピオナージ」をもって、一旦アリスの活動は停止となるわけです。

 

■売上枚数 ベスト5   

1 チャンピオン 78.0万枚 

2 冬の稲妻 55.4万枚 

3 秋止符 50.5万枚 

4 ジョニーの子守唄 49.4万枚 

5 涙の誓い 40.5万枚 12th

 

上位3曲はおなじみの曲が並んでいます。特に1977~1979年の3年間にヒット曲が集中しているという感じで、そのころがアーティストパワー全盛期ということになるでしょう。わりと順当な印象ではあります。

 

■最高順位 

1位 … チャンピオン

4位 … 涙の誓い、 秋止符

6位 … ジョニーの子守唄、 夢去りし街角、 狂った果実

唯一の1位獲得曲が「チャンピオン」で、これはやはりアーティストパワーに加えて、ドラマティックな展開する楽曲の力のおかげでしょう。それ以外は4位~6位というあたりが定位置といった感じですね。

 

■代表曲

1 チャンピオン

2 冬の稲妻

3 帰らざる日々、遠くで汽笛を聞きながら、涙の誓い、終止符

 

 1番目2番目はセールスと同じようなイメージになりそうですが、その次はいろいろなサイトとかをみても意見が分かれそうで、セールス的にはさほど目立たない「帰らざる日々」「遠くで汽笛を聞きながら」あたりも挙がってきそうです。

 

■好きな曲 ベスト3

1 チャンピオン

2 狂った果実

3 遠くで汽笛を聞きながら

4 冬の稲妻

5 エスピオナージ

私自身リアルタイムで聴いていたのは終盤からで、あとになって聴いた曲が多いです。なのでメジャー曲が中心にはなってしまいます。

 

圧倒的セールスを残した「チャンピオン」がやはり一番の代表曲だが、初期のあまり売れなかった曲にも支持の高い曲が多い。

結論:1番手2番手に関しては一致するといえそうだが、それに次ぐ3番手4番手の代表曲候補には必ずしも売れなかった曲もあがりそう