80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.92 その1

 

林哲司(作曲家)

1980年代を象徴する作曲家は誰かと考えると、まず真っ先に名前が出てくる作曲家ではないでしょうか。次々に大衆に好まれそうな売れ線の曲を生み出し、数多くのヒット曲に携わってきた林哲司をこのシリーズ最後に取り上げることにしました。林哲司といえば、とにかく耳心地の良いメロディーといった印象で、バブル期に突入していく時代の中で、都会的でハイセンスな生活を想像させるような楽曲の数々。そんな中から20曲を独断で選んでみました。今回は20~11位まで。

 

林哲司作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

20位 ふたりの夏物語 杉山清貴&オメガトライブ

(5位 36.8万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1985年)

バカンスを過ごすリゾートでの出会いから別れまでを描いた、言ってしまえば結構軽いラブ・アフェアの曲なのですが、こういった恋愛スタイルが当時の憧れでもあったわけで、時代を象徴するような一曲ではなかったでしょうか。そして林哲司としての代表曲にもなったわけで、外すことのできない作品です。

 

19位 SEPTEMBER 竹内まりや

(39位 10.4万枚 作詞 松本隆 作曲 林哲司 1979年)

当時竹内まりやが賞レースで良く歌っていたのがこの曲で、まだこの頃はちょっとアイドルっぽい売り方をされていたというのはありますが、ポップでさわやかな楽曲に仕上げられています。あとになって竹内まりやの評価が高まると、貴重な作家による提供曲ということで、スポットが当たることも増えたように思います。

 

18位 北ウイング 中森明菜

(2位 61.4万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1984年)

中森明菜にとって1つの転機となった作品で、以後海外を舞台にした作品が増えていくことになります。この曲はくせがなく万人に素直に受け入れられるような作品でかつどこかおしゃれな感も漂う、まさに林哲司らしい一曲といえるのではないでしょうか。

 

17位 アイドルを探せ 菊池桃子

(1位 16.2万枚 作詞 売野雅勇 作曲 林哲司 1987年)

菊池桃子としての全シングルに曲を提供していた林哲司。この曲はけっして菊池桃子の代表曲という存在ではないですし、同名タイトルの映画ありきの作品ということで、忘れられがちなシングルなのですよね。でも個人的には結構好きで、スケール感の感じるメロディーは聴いていて気持ち良いです。

 

16位 パウダー・スノーの妖精 島田奈美

(12位 3.8万枚 作詞 松本隆 作曲 林哲司 1986年)

島田奈美の3rdシングルは悲しいクリスマスイブを描いた冬の失恋ソングですが、松本隆と林哲司という組み合わせにより、ひとつひとつのシーンが浮かびやすいきれいな楽曲になっています。島田奈美には何曲か曲を提供している林哲司ですが、いずれもキャッチーで耳心地の良い正統派の楽曲なっています。

 

15位 真夜中のドア~Stay With Me 松原みき

(28位 10.4万枚 作詞 三浦徳子 作曲 林哲司 1979年)

海外で今の時代になって支持をされたということで話題になった作品ですが、これも林哲司だったのですね。まだ作曲家としては出始めの頃で、林哲司らしさというものが知られていない時期でしたが、作り出すメロディーラインのセンスの良さは、すでにこの頃からしっかりと存在していたのですね。

 

14位 どうしてますか 原田知世(7位 10.0万枚 作詞 田口俊 作曲 林哲司 1986年)

去年の終わった恋にようやく踏ん切りをつけて、次に踏み出すことができそうになった心境を歌った作品で、自分自身がちようど状況を迎えた春に発売されたということもあり、個人的にも思い入れの強い作品です。映画の主題歌から離れて新しい原田知世を披露していこう的な感じもあって、旅立ちの春にぴったり。

 

13位 SUMMER SUSPICION 杉山清貴&オメガトライブ

 (9位 27.1万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1983年)

杉山清貴&オメガトライブのデビュー曲ですが、これがいきなりのヒットに。この時からオメガトライブとしてのコンセプトはきちんと固まっていたのでしょう。以後はすべてのシングルを林哲司が作曲し、ヒットを次々に生み出していくことになります。この曲は疾走感のあるサウンドの中に嫉妬で狂いそうな焦燥感が見事に表現され、かっこいいとせつないを両立させた楽曲に仕上げられました。

 

12位 パステルブルーのためいき

(7位 4.4万枚 作詞 松本隆 作曲 林哲司 1987年)

島田奈美からもう一曲が秋に相応しい抒情的なこの曲。清純派の優等生的な島田奈美のイメージにぴったりな楽曲になっています。そのほか泣く泣く選から外しましたが、『負けないで片思い』『Free Balloon』も林哲司作曲で好きな作品です。

 

11位 悲しみがとまらない 杏里

(4位 42.3万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1983年)

『CAT‘S EYE』の大ヒットの次に持ってきたのが全くタイプの異なる失恋ソングでしたが、これがまた売れ線のいい曲で、続けての大ヒットになりました。さすが林哲司といったところで、聴いた瞬間、これは売れるだろうというメロディーを仕上げ、さらには歌詞もはまって、杏里の代表曲のひとつになりました。