80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.84

 

川村真澄(作詞家)

1980年代の後半を中心に活躍した女性作詞家ですが、なかなか背景が分かりにくいお方です。等身大の女性の心理を上手に描く印象がある一方、男性アーティストにも多く詩を提供しています。

 

川村真澄作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 Smile Again 小泉今日子

(2位 15.3万枚 作詞 川村真澄 作曲 井上ヨシマサ 1987年)

別れた恋人を思いながら見上げる夕空、そして星空。そんなふと甦る懐かしさとともにあの人を思う優しい作品です。

 

9位 ドリーム・ラッシュ 宮沢りえ

(2位 34.1万枚 作詞 川村真澄 作曲 小室哲哉 1989年)

当時大人気で飛ぶ鳥を落とす勢いの宮沢りえのデビュー曲は、SFチックで未来に向けて列車で走り出すようなまさに夢のある作品となっています。作曲も注目度急上昇中の小室哲哉ということで、まさに当時の宮沢りえを象徴する一曲といえるでしょう。

 

8位 Before 池田聡

 (14位 5.4万枚 作詞 川村真澄 作曲 佐藤健 1987年)

男の嫉妬心を繊細に描いた歌詞ですが、この手の歌がなぜか池田聡にはまるのですよね。女性でありながら、男性心理の機微を見事に表現しているのはさすがプロの作詞家。せつなさが狂ったように募っていく気持ちが伝わってきます。

 

7位 貴女次第 鶴久政治

(4位 4.8万枚 作詞 川村真澄 作曲 鶴久政治 1989年)

チェッカーズを解散してそれぞれがソロへと移行していく中で、鶴久政治のソロデビューとなった曲を川村真澄が作詞しています。軽快なメロディーに合わせた軽快な歌詞で、チェッカーズ時代とは全く違ったテイストに、まずは順調なソロデビューを果たしたという感じです。

 

6位 JESSY 河合その子

(3位 7.8万枚 作詞 川村真澄 作曲 後藤次利 1987年)

タイトルから想い人らしき外国人らしき男性の名前を持ってきていて、河合その子の楽曲が持つ異国風のイメージを意識して書かれたような歌詞となっています。きっちりとアーティストに沿った歌詞を仕上げてくるところはプロですね。

 

5位 Cry On Your Smile 久保田利伸

(8位 9.7万枚 作詞 川村真澄 作曲 久保田利伸 1987年)

『You Were Mine』『TIMEシャワ―に射たれて』『失意のダウンタウン』など、久保田利伸には多くの歌詞を提供していますが、この名バラードの作詞も川村真澄です。パラードなので奇を衒った歌詞ではないですが、特に英語の詩の部分がメロディーやボーカルとマッチして、聴き心地が素晴らしいのですよね。

 

4位 野性の風 今井美樹

(24位 5.6万枚 作詞 川村真澄 作曲 筒美京平 1987年)

今井美樹が歌手としてブレイクする前、少しずつ名前が知れだした頃の佳曲です。すでに歌手今井美樹の世界が確立されていたような、実に今井美樹らしい作品です。別れの瞬間を歌った悲しい曲なのですが、どこか凛とした強い意志をも感じさせる歌詞がいいです。

 

3位 My Revolution 渡辺美里

(1位 44.5万枚 作詞 川村真澄 作曲 小室哲哉 1986年)

渡辺美里、作曲家としての小室哲哉、そして川村真澄それぞれにとって世に出るきっかけとなった偉大な作品です。今もなおそれぞれの代表曲にもなっており、それだけ完成度の高いものになっているといえるでしょう。これから羽ばたいていこうとしている勢いを感じさせる川村真澄の歌詞も当然貢献しています。

 

2位 サヨナラは私のために 松本伊代

(18位 6.2万枚 作詞 川村真澄 作曲 林哲司 1986年)

『信じかたを教えて』『思い出をきれいにしないで』と合わせた3部作のすべてを川村真澄が作詞していますが、中でも「人混み」「バスのシート」「送ってくれた夜」など情景が浮かんでくるこの曲は、別れの悲しさ寂しさが如実に伝わってきて気に入っています。大人の歌を歌える歌手への転換を目指していた松本伊代にもぴったりとはまりました。

 

1位 こわれる 小川範子

(6位 5.8万枚 作詞 川村真澄 作曲 中崎英也 1988年)

『涙をたばねて』『永遠のうたたね』『ガラスの目隠し』『桜桃記(ひとひら)』『夏色の天使』と小川範子のほとんどのシングル曲を作詞していた川村真澄ですが、中でも言葉のインパクトが強かったこの曲を1位に選びました。10代半ばの女の子に♪こわれる こわれる と歌われると、何かいけないことをしてしまった罪悪感のようなものさえ覚えてしまいます。