80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.80

 

細野晴臣(作曲家)

いうまでもなくYMOのメンバーとして一世を風靡し、日本にテクノポップを広げた元祖でありますが、YMO3人の中で最も歌謡曲分野にも入り込んでいたのが細野晴臣です。提供した曲の多くは、アレンジの影響もあるでしょうが、細野晴臣らしいテクノポップの要素を盛り込んだ楽曲になっています。すかしたり尖ったりした感じではなく、大衆に好まれそうな親しみのあるキャッチーなメロディーを多くつくり出し、ヒット曲も多く産み出しました。

 

細野晴臣作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 ティアドロップ探偵団 イモ欽トリオ

(6位 19.7万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1982年)

前作の大ヒットに味をしめて作られたイモ欽トリオの2ndシングルです。タイトルや彼らのキャラからくるコミカルな印象と、実際にはせつなさにあふれた失恋を描いた歌詞とのギャップがこの作品の特徴といえそう。ファンからすると、もう少しはじけたような感じを求めていたかもしれません、

 

9位 紐育物語 森進一

(39位 5.7万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1983年)

当時でいうニューミュージック系のアーティストに積極的に作品を依頼していた森進一のひとつの取り組みとして、YMOの細野晴臣に依頼したというところでしょうか。なんといっても特徴的な森進一のボーカルと細野晴臣の曲との相性も悪くなく、独特の味わいとなっています。

 

8位 ピンクのモーツァルト 松田聖子

 (1位 42.4万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1984年)

けっして派手ではないですが、歌詞もメロディーもどこかおしゃれで凝った感じが心地よい作品です。この頃の松田聖子はいろいろなタイプの作品に楽しんで挑戦している感じがして、そんな中で細野晴臣が3たび起用されて作ったのがこの曲でした。

 

7位 赤道小町ドキッ 山下久美子

(2位 40.8万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1982年)

テレビCMとの相乗効果もあり、山下久美子にとって初めての大ヒット曲となった作品です。化粧品のキャンペーンソングということでタイトルやサビのコピーがどうしても強く入ってくるのですが、音の方もピコピコ感満載の細野晴臣らしいものになっています。

 

6位 ガラスの林檎 松田聖子

(1位 86.7万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1983年)

それまでの松田聖子のシングルにはなかったゆったりと聴かせる作品になっています。一聴地味な感じはあるのですが、聴けば聴くほど味が出てきます。カップリング『SWEET MEMORIES』の話題性もあって、セールス的にもこの時点での松田聖子のシングル売上ナンバー1(のちに別作品に抜かれますが)となりました。

 

5位 夢・恋・人。 藤村美樹

(13位 16.0万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1983年)

キャンディーズのミキのソロデビュー曲は、彼女の伸びのある歌唱力が生かされた作品になっています。こちらも細野晴臣らしい音に仕上がってはいますが、きっちりとボーカルを聴かせられるように聴かせどころをきちんと押さえているのはさすが。

 

4位 ハイスクールララバイ イモ欽トリオ

(1位 104.3万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1981年)

テレビのコント番組から飛び出したミリオンセラー。私自身も運動会の応援タイムで踊りました。この曲は細野晴臣というかYMO色がかなり強い作品で、ふりつけなんかもかなり意識されていたように思います。ちょっとせつない歌詞に、テクノポップ的なメロディーとアレンジが不思議にマッチして、それまでにない作品になっていたと思います。

 

3位 風の谷のナウシカ 安田成美

(10位 21.0万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1984年)

苦手そうながらも訥々と一生懸命歌っている感じの安田成美のボーカルが印象的だった映画主題歌です。本職の歌手ではないので、メロディー自体は起伏が穏やかで、覚えやすく歌いやすいものになっていて、それもあってヒットにも繋がったのではないでしょうか。

 

2位 天国のキッス 松田聖子

(1位 47.1万枚 作詞 松本隆 作曲 細野晴臣 1983年)

細野晴臣が最初に松田聖子に提供したシングルで、ポップで弾むような、タイトルに相応しいウキウキするような一曲になっています。ピコピコ感もあって、細野晴臣だなあという印象がちゃんと表れている作品だと思います。

 

1位 禁区 中森明菜

(1位 51.1万枚 作詞 売野雅勇 作曲 細野晴臣 1983年)

全盛期の聖子と明菜の両方に曲を提供した細野晴臣(他にタケカワユキヒデもそうです!)ですが、1位にはこちらを選びました。クールだけれどもカッコいいメロディー、細野晴臣らしいテクノポップの要素も盛り込んだ音、そして売野雅勇の尖った歌詞がしっかりとスクラムを組んだ形で作用して大ヒット。今回のランキングでは10曲中9曲が松本隆の作詞という中で、唯一売野雅勇が作詞というのも、新しい効果を生んだように思います。