80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.79
芹澤廣明(作曲家)
元々はグループサウンズの出身ですが、80年代になって作曲家としての活動が増え、特に初期のチェッカーズでは専属作曲家のような感じで、出す曲出す曲をヒットさせました。今回のランキングは、チェッカーズの曲から何曲ぐらいを入れようかがとても悩みましたが、私の好みを優先させて、こんな感じになりました。
芹澤廣明作曲作・ベスト10
★=80年代発売
10位 愛がひとりぼっち 岩崎良美
(10位 16.0万枚 作詞 康珍化 作曲 芹澤廣明 1985年)★
前曲『タッチ』に続いて芹澤廣明が作曲を担当。曲としてはこちらの方が好きなので、こちらをランクイン。意外なことに岩崎良美にとって、唯一のオリコントップ10入りしたシングル曲になります。そしてこちらもアニメ「タッチ」のテーマソングということで、セールス面でも健闘しました。
9位 東京Sugar Town 堀ちえみ
(3位 14.2万枚 作詞 三浦徳子 作曲 芹澤廣明 1984年)★
夕立ちにふられた夏の終りのビーチからホテルへ場所を移し、どこかゆったりとした雰囲気を感じさせるメロディーが心地よい作品です。芹澤廣明のつくるミディアムテンポのメロディーがこうした心地よさを感じさせるものが多いです。
8位 背番号のないエース ラフ&レディ
(9位 16.8万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1986年)★
アニメ映画『タッチ』の主題歌ということで、H2Oの二番煎じ的な男性デュオによる作品でしたが、そこそこ売れました。作品の雰囲気も『想い出がいっぱい』に似たところがあり、作品に合わせてこんな感じになったのでしょうか。
7位 ジュリアに傷心 チェッカーズ
(1位 70.3万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1984年)★
チェッカーズのシングルで最も売れた作品で、彼らのアイドル的人気のピークがここだったということになるのでしょう。失恋ソングですが、冒頭からいきなりグッと心を掴まれ、あとは一気に最後まで持って行く力強くてカッコいい曲になっています。芹澤廣明にとっても、1,2位を争う代表作といっていいでしょう。
6位 ハートを磨くっきゃない TOKIO
(3位 27.0万枚 作詞 芹沢類 作曲 芹澤廣明 1995年)
今回の中では唯一の90年代の作品。ちょっと懐かしさを感じさせる昭和歌謡曲のテイストを盛り込んだ感じは、チェッカーズの楽曲にも通ずるものを感じます。芹澤廣明のメロディーは、覚えやすくて歌いやすいものが多く、そこあたりが親しみを感じさせ、ヒットに結びついていたように思います。
5位 クレイジーラブ 堀ちえみ
(2位 16.3万枚 作詞 三浦徳子 作曲 芹澤廣明 1984年)★
『東京Sugar Town』に続き、堀ちえみのシングルに起用された芹澤廣明ですが、こちらは前曲とは打って変わっての激しめのメロディー。あまりイメージにはないのですが、堀ちえみって時折こういった重厚感のある作品を挟んでくるのですよね。カッコいい曲です。
4位 Song for U.S.A. チェッカーズ
(1位 32.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1986年)★
芹澤廣明がチェッカーズに作った最後のシングルで、これ以降はメンバーが作詞作曲した作品をシングルとして発売していくことになります。バラード系のしっとりと聴かせるタイプのこの曲は、人気も高い曲と認識しています。実際いい曲で、フミヤの伸びのあるボーカルが特に生かされた作品ではないでしょうか。
3位 少女A 中森明菜
(5位 39.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1982年)★
いうまでもなく中森明菜をブレイクさせた曲で、80年代の歌謡界にとって大きな一曲になったことは間違いありません。もちろんタイトルや歌詞の影響もあるのですが、最初に聴いた時の衝撃はかなりのものでした。Aメロの音程の起伏が少ない淡々とした感じが、大人びた少女の冷めた雰囲気を滲ませていてゾクッとさせられます。
2位 あの娘とスキャンダル チェッカーズ
(1位 51.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1985年)★
芹澤廣明の作るこのミディアムテンポが心地よいのですよね。1位にしようか迷った末の2位にしましたが、個人的に好きなチェッカーズの曲の1つです。発売当時というよりも後になって好きになったという感じです。
1位 哀しくてジェラシー チェッカーズ
(1位 60.2万枚 作詞 売野雅勇 作曲 芹澤廣明 1984年)★
初めてオリコンで1位を獲得したシングルですね。わりとシンプルなんですが、芹澤廣明らしさ全開といったすごくカッコよくスリリングなメロディーが完全に私好み。ランク外の作品でも『ギザギザハートの子守唄』『涙のリクエスト』『星屑のステージ』『俺たちのロカビリーナイト』『神様ヘルプ!』『OH!!POPSTAR』と大ヒット曲ばかり。チェッカーズだらけになってしまうので、泣く泣く外したので、ここで触れておきました。
【その他の主な作品】
石川秀美『サイレンの少年』、内海和子『蒼いメモリーズ』、桑田靖子『脱・プラトニック』など