80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.76
岸正之(作曲家)
私の好きな作曲家の一人です。その大部分が女性アイドルへの提供という中、とにかく岸正之の創り出すせつなげだけけども爽やかさを感じさせるメロディーが完全に私好みなのです。
岸正之作曲作・ベスト10
★=80年代発売
10位 One Summer Lonely 中村由真
(22位 2.0万枚 作詞 吉元由美 作曲 岸正之 1988年)★
タイトル通りのひと夏の恋を歌った作品ですが、サビ頭のキャッチーなメロディーでいきなりグッと引き寄せられます。夏だけの恋と分かっていて過ごす最後の時間のせつなさを、詩だけでなく曲でもきちんと表現しています。
9位 悲しいな 杉浦幸
(4位 15.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 岸正之 1986年)★
今回のラインアップの中では特別に暗く悲しい曲で、岸正之としてはやや異色感はあります。それよりも何よりも、こんな暗く沈んだ曲を、よくも女性アイドルのデビュー曲に持ってきたなという印象が強いですね。ただそれでも杉浦幸としてはこれが一番売れた曲になるのです。
8位 転校生 藤谷美紀
(10位 6.2万枚 作詞 麻生圭子 作曲 岸正之 1988年)★
9位に続いて、こちらもアイドルのデビュー曲として岸正之が起用されたケース。この曲もどちらかというと悲しく寂しいメロディーではありますが、転校生として友達もいない中寂しく過ごしている時に差しこんだ一筋の光を感じさせてくれます。
7位 木洩れ陽のシーズン 高井麻巳子
(12位 3.9万枚 作詞 田口俊 作曲 岸正之 1988年)★
晴れた春の日に終わった恋を懐かしみながらも、寂しさをかみしめているといった作品です。のんびりと過ごす陽だまりでの時間の中で、過ぎ去った日々にふと思いを馳せる、ゆったりとした中にも寂しさを感じさせる岸正之ならではのメロディーになっています。
6位 雨に消えたあいつ 伊藤智恵理
(22位 2.0万枚 作詞 戸沢暢美 作曲 岸正之 1987年)★
タイトル通りの失恋ソングですが、これもまた痛いほどの切なさが伝わってくるいい曲なのですよね。伊藤智恵理には『トキメキがいたくて』と2作続けての曲提供していますが、ともに岸正之らしい楽曲になっています。
5位 マリーナの夏 渡辺満里奈
(1位 11.4万枚 作詞 秋元康 作曲 岸正之 1987年)★
いかにも秋元康的なタイトルですが、渡辺満里奈の雰囲気と岸正之の曲はかなりフィットしているように思います。ずっと思い続けていた相手に1年ぶりの再会を果たした女の子の心の動きをしっかりとメロディーでも表しています。
4位 夏の短編 渡辺満里奈
(9位 3.5万枚 作詞 真名杏樹 作曲 岸正之 1988年)★
こちらも渡辺満里奈への提供曲。こちらも夏の恋を歌っていますが、作詞者が変わると、また雰囲気も変わってきますね。セールス的には1年の間にブームも下火になって大きくダウンしていますが、個人的にはこちらの方が好きかな。
3位 すてきなジェラシー 松本伊代
(19位 4.0万枚 作詞 川村真澄 作曲 岸正之 1987年)★
1986~1988年の松本伊代のシングル曲は佳曲揃いで、チャート的にもピークを過ぎてから結構粘っていたのですが、この曲もトップ20入りを果たしています。岸正之のメロディメイカーとしての才をいかんなく発揮した美しいメロディーがお気に入りです。
2位 話しかけたかった 南野陽子
(1位 23.4万枚 作詞 戸沢暢美 作曲 岸正之 1987年)★
岸正之の曲の中で一番売れた曲になるのでしょうか。それまでマイナーの悲しい曲が続いていた南野陽子でしたか、この曲は一転してほのぼのとした明るい曲となり、それが当時とても新鮮に感じたのを覚えています。可愛らしいけれどちょっとせつないそんな歌詞にメロディーがぴったりはまっています。
1位 青い風のビーチサイド 松本典子
(30位 3.7万枚 作詞 麻生圭子 作曲 岸正之 1985年)★
松本典子の2ndシングルはアイドルらしい爽やかな夏のラブソングになっています。松本典子の清楚で真面目そうなキャラクターにぴったりな作品で、彼女の魅力を岸正之がしっかりと引き出していたと思います。2位曲と迷ったのですが、松本典子にとってこの路線の作品は結果的にこれ1曲だけだったので、余計に思い入れが強いのかもしれません。