80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.75

 

麻生圭子(作詞家)

80年代を中心に数多くのヒット曲の作詞を行い、特に女性歌手、その中でもアイドルへ多くの詩を提供してきました。その後はエッセイストとしても活躍。10作に絞るのが難しかったのでベスト20に広げてのランキングにしてみました。

 

麻生圭子作詞曲・ベスト20

★=80年代発売

 

20位 さよならの学生通り 西村知美(15位 2.2万枚 1989年)

19位 夢であいましょう 田原俊彦(8位 4.9万枚 1988年)

18位 疑問 立花理佐(2位 8.6万枚 1987年)

17位 100%男女交際 小泉今日子(2位 14.0万枚 1986年)

16位 私星伝説 真璃子(22位 8.1万枚 1986年)

15位 City Hunter~愛よ消えないで~ 小比類巻かほる(8位 8.0万枚 1987年)

14位 うそつき 高井麻巳子(2位 6.6万枚 1987年)

13位 シンフォニーの風 西村知美(4位 7.7万枚 1987年)

12位 誰よりもLady Jane BE∀T BOYS(7位 6.7万枚 1989年)

11位 それは彼女のグッバイ 富田靖子(29位 1.3万枚 1988年)

 

10位 Believe Again 浅香唯

(2位 17.8万枚 作詞 麻生圭子 作曲 中崎英也 1988年)

1988年の浅香唯はセールス的にも楽曲の質的にもピークの1年でしたが、その最初のシングルがこの曲。落ち込んだ人を元気づけるような歌詞は、この曲以降浅香唯の定番テーマになっていくことになっていくわけで、麻生圭子がそこに一つ絡んでいたということになるのでしょうか。

 

9位 BLONDE 中森明菜

(1位 30.1万枚 日本語詞 麻生圭子 作詞・作曲 Biddu-Winston Sela 1987年)

歌としてはなかなか難しい曲ですが、中森明菜しか歌えないという世界を麻生圭子の歌詞が見事に作り出しています。歌詞の中の男に媚びない強い女性のイメージが、歌い手と重なってきます。

 

8位 秋からのSummer Time 仁藤優子

(10位 3.5万枚 作詞 麻生圭子 作曲 中崎英也 1987年)

タイトルだけきくと、一瞬「ん?」と思わせられますのですが、それこそ作り手の術中にはまっているということ。内容的にはアイドルらしい爽やかなラブソングになっています。ただテレビで歌う頃には、仁藤優子の声がつぶれていて痛々しかったのがとても残念でした。

 

7位 青い風のビーチサイド 松本典子

 (30位 3.7万枚 作詞 麻生圭子 作曲 岸正之 1985年)

ど真ん中の正統派アイドルの路線を追いかけていた初期の松本典子は、楽曲もそれなりのクオリティで、この2ndシングルはまさにアイドルの夏ソングといった直球のラブソング。ファンからすると、自分がこの歌の中の彼女の恋焦がれる相手になったような、そんな気分にさえなってしまうくすぐったい歌詞が良いです。

 

6位 ポケットに太陽 西村知美

(2位 4.5万枚 作詞 麻生圭子 作曲 辻畑鉄也1987年)

時々ある〈そんなありえないだろ〉的なタイトルで注意をひきますが、歌詞自体は女の子の恋心を可愛らしく綴った西村知美らしい一曲になっています。

 

5位 転校生 藤谷美紀

(10位 6.2万枚 作詞 麻生圭子 作曲 岸正之 1988年)

全日本国民的美少女コンテストグランプリを引っ提げて、期待の中でデビューした藤谷美紀の1stシングルは、まさにその肩書にぴったりな作品を持ってきたという印象。転校してから一人寂しくしている中で届いた、前の学校でひそかに思っていた男の子からの手紙。SNS全盛の今ではこんな情緒を感じることもないでしょうね。

 

4位 You Gotta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜 吉川晃司

(1位 31.0万枚 作詞 麻生圭子 作曲  NOBODY 1985年)

吉川晃司が初のオリコン1位を獲得したシングルです。終わった夏の恋を思い浮かべながらも、一区切りをつけて次へと踏み出そうとする男の気持ちを歌った歌詞が、結構染み入るのですよね。麻生圭子としてはロック系の激しめの男性歌手への歌詞の提供というのはわりと珍しい気はします。

 

3位 夏休みだけのサイドシート 渡辺満里奈

(1位 8.3万枚 作詞 麻生圭子 作曲 山本はるきち 1987年)

夏休みが終わるとともに、好きだった相手に会うこともできなくなるというせつない女の子の恋心を歌った曲です。二人の関係性、状況をあーだこーだといろいろと想像させる歌詞がなかなか奥深く、文科系のにおいのする渡辺満里奈にもぴったりな内容になっています。

 

2位 最後の言い訳 徳永英明

(4位 23.3万枚 作詞 麻生圭子 作曲 徳永英明 1988年)

夜明けに恋人が部屋を静かに出ていく様子を、寝たふりをしながら黙って見送るあまりにせつない男心を描いた歌詞が、静かに流れる悲しいメロディーと、徳永英明の泣きのボーカルが見事に調和。聴けば聴くほど切なさと寂しさがこみ上げてきます。

 

1位 セシル 浅香唯

(1位 22.9万枚 作詞 麻生圭子 作曲 NOBODY 1988年)

名曲です。『C-Girl』で大ブレイクの次の曲で、同じ系統の曲ではなく、敢えてしっとりと聴かせる歌で勝負をかけたわけですが、特にサビの部分の♪人は大人になるたび弱くなるよね のフレーズにはグッとくるものがあります。麻生圭子のお仕事1位は文句なしにこの曲です。浅香唯にはランク外でも『NEVERLAND』『Chance!』『ボーイフレンドをつくろう』など多数歌詞を提供し、相性もよいようです。