80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.74
都志見隆(作詞・作曲家)
元々は自身がシンガーソングライターというのはよくあるパターン。作詞や作曲だけでなくプロデューサー業までを手掛け、音楽の分野では幅広く活動をしていますが、作曲家としては80年代後半から特に90年代を中心にヒット曲を多数輩出。職業作曲家の中では、どちらかというとアーティスティックな色合いの強いようには思います。
90年代にも多くのヒット曲を生み出しているので、最初に90年代以降のベスト10を先に挙げます。
都志見隆作曲作・ベスト10〈90年代以降〉
10位 現在、この瞬間から 織田裕二
9位 Forever 反町隆史
8位 LOVE YOU ONLY TOKIO
7位 ささやかな誘惑 CoCo
6位 Ice Rain 工藤静香
5位 好きさ~Ticket To Love~ TOKIO
4位 言えないよ 郷ひろみ
3位 歌えなかったラヴ・ソング 織田裕二
2位 うわさのキッス TOKIO
1位 最後の雨 中西保志
都志見隆作曲作・ベスト10 〈80年代限定〉
★=80年代発売
10位 SAYONARAは言わないで BEE PUBLIC
(24位 2.2万枚 作詞 都志見隆 作曲 都志見隆 1986年)★
都志見隆自らが結成させたバンドBEE PUBLIC。デビューとなる前作『お前にハート・ビート』がチャート12位を記録し、その次の曲がこちらです。キャッチーなメロディーで受けそうな気もしたのすが、前作からは成績を落としてしまいました。ただ個人的には結構好きで、10曲の中に選んでみました。
9位 純情物語 近藤真彦
(6位 10.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 都志見隆 1986年)★
硬派な歌謡曲路線を追求しはじめた頃のマッチに一曲シングル曲を提供しています。このあとマッチは似たような路線の作品を連発していくのですが、その中の頂点である『愚か者』に比べると、この曲の存在はやや地味な印象でした。
8位 SAND BEIGE-砂漠へ- 中森明菜
(1位 46.1万枚 作詞 許瑛子 作曲 都志見隆 1985年)★
当時はまだほぼ無名の都志見隆を、作品毎に作曲家を変える傾向にあった当時すでに大スターの中森明菜が起用し、さらにこのあともう一曲シングルで起用したわけですから、都志見隆としては出世作といっていいでしょう。異国シリーズの中で情緒を感じさせる作品となっています。
7位 きゃきゃきゃのきゃ 西村知美
(10位 2.8万枚 作詞 秋元康 作曲 都志見隆 1988年)★
西村知美のキャラクターを生かしたコミカルなアイドルソングで、都志見隆としては珍しいタイプの作品に感じます。
6位 片想いグラフィティー 真弓倫子
(19位 3.4万枚 作詞 三浦徳子 作曲 都志見隆 1987年)★
真弓倫子のデビュー曲となった、甘酸っぱさとほろ苦さとを感じさせるまさに正統派のアイドルソングです。まあそこそこ可愛いいとは思ったのですが、同じ路線にライバルが多かったのと、個人的にはなんとなく幸薄い感があって、ブレイクしきれなかったのは残念でした。
5位 TANGO NOIR 中森明菜
(1位 34.8万枚 作詞 冬杜花代子 作曲 都志見隆 1987年)★
この頃の中森明菜は作品毎に作家を変えている傾向が強かったのですが、そんな中で都志見隆から2曲目の起用となったのがこの曲。当時の中森明菜は、敢えて難しい曲を選んで歌っているようで、この作品も凄みさえ感じるボーカルになっています。聴いているだけで中森明菜が作り出す世界に引き込まれていきました。
4位 地球をさがして 光GENJI
(1位 47.2万枚 作詞 吉澤久美子 作曲 都志見隆 1989年)★
MONDAY、TUESDAY…と曜日の歌詞が印象的ですが、メロディー的にはそれまでの光GENJIよりも力が抜けた、気軽に聴ける作品になっていたように思います。
3位 Doubt! 麻田華子
(17位 2.4万枚 作詞 川村真澄 作曲 都志見隆 1988年)★
ノリが良くてポップでかつカッコよくて元気になれる麻田華子の2ndシングルです。当時13歳から14歳になる頃ということで、舌足らずではありますが、彼女のハキハキした歌い方にはぴったりな曲で、個人的に好きな曲です。
2位 ごめんよ 涙 田原俊彦
(1位 30.4万枚 作詞 松井五郎 作曲 都志見隆 1989年)★
人気ドラマの主題歌にも起用されての大ヒット。同様にドラマの主題歌で成功した『抱きしめてTONIGHT』の路線を狙った感はありますが、きちんと売れ線のメロディーを都志見隆が作り上げたという印象です。都志見隆はこのほか田原俊彦には『愛しすぎて』『ひとりぼっちにしないから』でも曲を書いています。
1位 恋するような友情を シブがき隊
(13位 5.9万枚 作詞 阿久悠 作曲 都志見隆 1988年)★
それまでのシブがき隊の楽曲にはなかったような、まったくもってまじめで奇を衒わない友情ソングですが、このシングルの発売後に「解隊」が発表されたこともあり、最後を意識して作られたところはあるでしょう。トップ10には入りませんでしたが、楽曲としてはいい曲なんですよね。