80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.72
松井五郎(作詞家)
幅広いアーティストへ詩を提供し、数多くのヒット曲を輩出、1980年代から現代まで活躍し続けている作詞家です。ロック系のアーティストへも詩を提供することが多く、特に艶っぽい大人の恋を得意としているような印象です。
松井五郎作詞曲・ベスト10
★=80年代発売
10位 セミスウィートの魔法 中山美穂
(3位 12.2万枚 作詞 松井五郎 作曲 CINDY 1990年)
中山美穂には『女神たちの冒険』『これからのI Love You』とこの曲で作詞を担当。脱アイドルを図り、ちょっとカッコつけたようなアーティステッィクな作品での勝負をしていた頃ですね。それに沿ったように、情景や感情よりも、とにかく雰囲気を重視した歌詞になっています。
9位 キ・ツ・イ 玉置浩二
(7位 14.6万枚 作詞 松井五郎 作曲 玉置浩二 1989年)★
ファンキーでコミカルなのですが、不思議な色気もある独特の作品で、歌詞、メロディー、歌唱がそれぞれが調和して、安全地帯としては表現しきれない玉置浩二ソロならではのシングルに仕上がっています。玉置浩二と松井五郎の相性は抜群ですね。
8位 愛なんだ V6
(1位 58.5万枚 作詞 松井五郎 作曲 玉置浩二 1997年)
玉置浩二作曲ということでの起用でしょうか、味わいのある歌詞になっています。V6としてもひとつの転機となる作品で、読めば読むほど深みを感じさせられます。いい歌詞です。
7位 かっこつかないね 田原俊彦
(2位 12.4万枚 作詞 松井五郎 作曲 筒美京平 1988年)★
薔薇の唇だの、熱い吐息だの、肩をすべりおちる赤いドレスだの、気障っぽい小道具を取りそろえながら、自虐的にカッコつかないねと自分を笑ってしまうカッコよさ。松井五郎の歌詞の艶っぽさと、当時の田原俊彦の二枚目感と三枚目感の微妙なラインを見事に表現しているように思います。そのほか田原俊彦には『愛しすぎて』『ごめんよ涙』『ひとりぼっちにしないから』『ジャングルJungle』『雨が叫んでる』などを作詞。
6位 また君に恋してる 坂本冬美
(3位 36.5万枚 作詞 松井五郎 作曲 森正明 2009年)
ビリー・バンバンのカバー曲であり、当初はB面扱いだったのが、のちに両A面扱いに出世。演歌というよりはフォーク系のアーティストのカバー作品ということで、演歌に抵抗がある層にも支持されてヒットに結びつきました。松井五郎らしい情感にあふれた大人の歌詞が光ります。
5位 ふたりの愛ランド 石川優子とチャゲ
(3位 43.8万枚 作詞 チャゲ、松井五郎 作曲 チャゲ 1984年)★
チャゲとの共作ということで、どこを松井五郎が担当したのかはわかりませんが、松井五郎の作品の中では能天気さが際立つ作品となっています。♪ナツ ナツ ナツ ナツ ココナッツのサビの韻なのか駄洒落なのか知りませんが、お気楽なリゾート感があふれて、これはこれでいい感じです。
4位 メタモルフォーゼ 工藤静香
(2位 44.0万枚 作詞 松井五郎 作曲 後藤次利 1991年)
工藤静香には多数詩を提供していますが、特にこの曲は工藤静香特有の投げやり感のようなものがカッコよく表現されていて、個人的好きな曲です。『抱いてくれたらいいのに』『恋一夜』『くちびるから媚薬』『ぼやぼやできない』『めちゃくちゃに泣いてしまいたい』『うらはら』『声を聴かせて』『わたしはナイフ』『あなたしかいないでしょ』といずれも工藤静香の独特の空気感をしっかりと表しています。
3位 Friend 安全地帯
(7位 14.7万枚 作詞 松井五郎 作曲 玉置浩二 1986年)★
『熱視線』『碧い瞳のエリス』『悲しみにさよなら』『プルシアンブルーの肖像』『好きさ』『じれったい』『Juliet』『微笑みに乾杯』などで作詞をしている松井五郎。特にこの作品は少ない言葉ながらも、切なさ寂しさ悲しさがあふれ出て狂うように伝わってきて、聴いているだけで涙が出てきそうです。
2位 アクセル 吉川晃司
(12位 16.5万枚 作詞 松井五郎 作曲 吉川晃司 1996年)
吉川晃司では『KISSに撃たれて眠りたい』『Brain SUGAR』『SPEED』『VENUS』などで作詞をしていますが、この作品については、スピード感あふれてカッコよさ抜群のメロディーに見事にはまる歌詞がさすがといったところです。カラオケで歌うとものすごく気持ちよいのですよね。
1位 JEALOUSYを眠らせて 氷室京介
(1位 45.4万枚 作詞 氷室京介、松井五郎 作曲 氷室京介 1992年)
氷室京介には『MISTY~微妙に~』『KISS ME』『VIRGIN BEAT』『STAY』『SQUALL』『NATIVE STRANGER』『HEAT』『魂を抱いてくれ』と多数歌詞を提供。ドラマ主題歌になったこの曲は特にポップで、聴いていて気分がどんどん高揚していくような感覚になります。恋人と過ごす時間の中での幸せの絶頂感とともに、強い愛情を感じさせるラブソングとして、とにかく氷室京介のカッコよさを引き出しているのではないでしょうか。
【その他の主な作品】
池田聡『濡れた髪のlonely』、小川範子『無実の罪』、柏原芳恵『太陽は知っている』、玉置浩二『All I Do』、中森明菜『月華』、MAX『閃光 -ひかり- のVEIL』『Ride on time』、矢沢永吉『東京』、渡辺美奈代『恋愛紅一点』、光GENJI『勇気100%』『この秋…ひとりじゃない』、KinKi Kids『まだ涙にならない悲しみに』『鍵のない箱』