80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.67

 

財津和夫(作曲家)

もちろんチューリップの一員としても、またソロとしてもヒット曲を出している財津和夫ですが、作曲家としてもいい作品を世に送り出しています。特に初期の松田聖子への貢献は目を見張るものがありますね。メジャー曲でもマイナー曲でもきれいなメロディーを創り出す才能はさすが。

 

財津和夫作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 20の恋 岩崎宏美

(41位 2.8万枚 作詞 康珍化 作曲 財津和夫 1984年)

ヒット曲『家路』の次のシングルとしてはかなり地味目な作品で、セールス面では振るいませんでしたが、しっかりと歌って聴かせる岩崎宏美にはぴったりな作品です。

 

9位 赤いポシェット 坂上香織 

(7位 5.4万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1988年)

美少女ブームの中で歌手デビューした坂上香織の2ndシングル。松本隆と財津和夫という組み合わせからしても、その期待の大きさが分かるものです。作品的には年相応の可愛らしい正統派のアイドルソングとなっています。

 

8位 野ばらのエチュード 松田聖子  

(1位 45.0万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1982年)

初期の松田聖子のシングルにおいて財津和夫の貢献度はかなり高いのですが、この曲はその中では地味めな作品かもしれません。秋の風景を感じさせる穏やかなラブソングになっています。

 

7位 会いたい 沢田知可子  

(6位 105.6万枚 作詞 沢ちひろ 作曲 財津和夫 1990年)

ミリオンセラーを達成した大ヒット曲ですが、歌詞の方に注目されることが多く、この作曲が財津和夫というのも意外と知られていないかもしれません。涙を誘う悲しい歌詞に調和した聴かせるメロディーが、この作品のヒットに貢献したことには違いないでしょう。

 

6位 クローズ・アップ 中山美穂

(4位 12.8万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1986年)

プールサイドを舞台に、これから始まる夏に向けて、気持ちがアゲアゲになっていきそうなアップテンポの楽曲です。チューリップの財津和夫のイメージとはちょっと離れた感じで、財津和夫の作曲家としての引き出しの広さを認識せられる作品となりました。

 

5位 雨のハイスクール 芳本美代子 

(15位 4.5万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1985年)

切なげなメロディーが、心と裏腹な行動をとってしまった奥手な私の後悔を綴った詩にみごとに調和。図書館での出来事や雨に煙る校舎の映像が青春映画のワンシーンのように浮かんできます。まだチャートのトップ10には届かない頃の芳本美代子の曲にはいい曲が多いです。

 

4位 夏の扉 松田聖子 

(1位 56.8万枚 作詞 三浦徳子 作曲 財津和夫 1981年)

これから始まる夏の恋に向けて、ウキウキしてくるようなポップで可愛らしい作品です。今回の10曲の中でも最も明るく楽し気なメロディーになっていて、ある面では財津和夫らしくない曲なのかもしれませんが、当時の松田聖子の陽の部分を目いっぱい引き出したという点で成功といえるでしょう。

 

3位 心の扉 芳本美代子 

(12位 6.8万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1986年)

芳本美代子には1曲挟んで2度目の提供となった作品ですが、いいメロディーですよね。次の曲で初めてトップ10入りを果たすミッチョンでしたが、その布石となる作品になったといえるでしょう。財津和夫らしさがアイドルソングとして見事にはまった楽曲ですね。

 

2位 白いパラソル 松田聖子 

(1位 48.8万枚 作詞 松本隆 作曲 財津和夫 1981年)

夏の曲ですが、ウキウキギラギラという作品ではなく、財津和夫らしく、あなたとゆったりと過ごす夏の渚といった感じのメロディーが心地よく、個人的には松田聖子の中でも好きな作品の一つです。派手ではないですが、夏のけだるさの中で聴くと、自分が「あなた」になったような気分にさえなってきます。

 

1位 チェリー・ブラッサム 松田聖子 

(1位 67.4万枚 作詞 三浦徳子 作曲 財津和夫 1981年)

とにかく私が大好きに作品です。この曲はアレンジが結構ロックなのですよね。これから春に向かって盛り上がっていく恋心と、当日の松田聖子の上昇機運とが重なって、来るべき未来に向かってワクワクさせてくれる作品です。そういう意味ではあまり財津和夫らしくないのかもしれませんが、この曲を作ったということだけでも、メロディメーカーとしての才能を認識させられるわけです。