80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.62

 

井上大輔(作曲家)

グループサウンズのブルーコメッツのメンバーとして活躍後、作曲家としての活動に主軸をおくようになった井上大輔。多くのヒット曲を作曲しましたが、特にシャネルズやシブがき隊とはガッツリ組んでいた印象です。一方で自身も歌手としても活動し、アニメ映画のガンダムの主題『哀・戦士』(これもいい曲です)もヒット。才能豊かな人でしたが、50代で自死してしまったのはショッキングでした。今回は10曲に絞れなかったので、20曲まで選んでみました。

 

井上大輔作曲作・ベスト20   ※一部井上忠夫名義

★=80年代発売

 

20位 恋のダイヤル6700 フィンガー5 (1位 83.7万枚)

19位 虹のDreamer 浅香唯 (1位 10.9万枚)

18位 もしも君じゃなきゃ 吉田栄作 (12位 15.4万枚)

17位 アッパレ!フジヤマ シブがき隊 (3位 17.0万枚)

16位 学園天国 フィンガー5 (2位 54.0万枚)

15位 一万光年の愛 西城秀樹 (12位 10.0万枚)

14位 TAKAKO 上田正樹 (67位 2.2万枚)

13位 4月列車 杉浦幸 (7位 4.9万枚)

12位 め組のひと ラッツ&スター (1位 62.2万枚)

11位 ランナウェイ シャネルズ (1位 97.5万枚)

 

10位 風のマドリガル 南野陽子 

(5位 10.7万枚 作詞 湯川れい子 作曲 井上大輔 1986年)

井上大輔の南野陽子へのシングルとしてはこの作品だけの作曲提供となります。ただこの作品、ロシア民謡風のメロディーで、他の南野陽子の作品とはちょっと違った印象ですし、井上大輔の提供曲としてもかなり独特で、どういうオファーだったのかは気になるところです。

 

9位 プライベート・レッスン 芳本美代子

(18位 5.5万枚 作詞 松本隆 作曲 井上大輔 1985年)

芳本美代子にはデビュー曲『白いバスケット・シューズ』とこの2ndシングルで曲を提供しています。舌足らずなボーカルにぴったりな可愛い作品で、初々しさ全開の王道アイドルソングになっています。

 

8位 スターダスト・トレイン 石川秀美 

(10位 12.4万枚 作詞 竜真知子 作曲 井上大輔 1983年)

石川秀美にもシングルではこの作品のみの作曲となっています。それまで海や夏の歌が多かった石川秀美にとって、少し歌える歌の幅を広げようとしている中でのこの作品といった印象でした。

 

7位 2億4千万の瞳 郷ひろみ  

(7位 21.3万枚 作詞 売野雅勇 作曲 井上大輔 1984年)

郷ひろみの代表曲の一つであるこの曲を作曲したのが井上大輔です。郷ひろみには他にも曲を提供していますが、ヒットしたのはこの曲が随一です。もはや郷ひろみの物まねするときの決め台詞となっている♪ジャパ~ンのワンフレーズのインパクトはとにかく絶大です。

 

6位 プリテンダー 岩崎良美

(41位 4.5万枚 作詞 売野雅勇 作曲 井上大輔 1984年)

あまり売れなかった曲ですけれど、個人的に好きで、とくにサビの部分のメロディーがお気に入りです。チャールストンっぽい感じのメロディーが聴いていてウキウキしてきますし、シャネルズへ提供した楽曲群にも通じる井上大輔らしさがあふれ出てきて、なかなかのいい曲なのですよね。

 

5位 処女的衝撃 シブがき隊

(3位 20.9万枚 作詞 三浦徳子 作曲 井上大輔 1983年)

井上大輔はシブがき隊に多くのヒット曲を提供してきますが、「バージンショック」と読ませるこの曲は、それまでのコミカルな要素をそぎ落として、かっこいいシブがき隊へと転換する第一歩となっています。まあ、サビのメロディーが『怪傑ライオン丸』のテーマ曲にとか堀ちえみ『とまどいの週末』に似ているななんて当時思っていました。

 

4位 挑発∞ シブがき隊 

(3位 17.0万枚 作詞 売野雅勇 作曲 井上大輔 1984年)

この頃のシブがき隊には、激しい愛情をぶつける的なラブソングが続いていましたが、この曲もその一連にある作品です。特に、3人がそれぞれ順番に放つセリフの部分の印象が強烈なのですが、井上大輔のメロディーもまたドラマティック。愛の激しさが伝わってくるものになっています。そのほか井上大輔は『NAI NAI16』『100%…SOかもね』『ZIG ZAGセブンティーン』『千夜一夜キッス倶楽部』『君を忘れない』『キャッツ&ドッグ』など多数のシブがき隊の作品を作曲しています。

 

3位 涙のスウィート・チェリー シャネルズ 

(12位 17.3万枚 作詞 湯川れい子 作曲 井上大輔 1981年)

シャネルズ(ラッツ&スター)のバラード曲は名曲が多いのに、なぜかセールス的にはいまいちなことが多く、この曲もそんな一つになります。この頃はほぼすべてのシングルを井上大輔が作曲していましたが、それまでの曲とは違った雰囲気で勝負しようということになったのでしょうが、求められていたのは違ったみたいです。でも切なさが伝わってくる素晴らしい曲だと思っています。

 

2位 街角トワイライト シャネルズ 

(1位 71.7万枚 作詞 湯川れい子 作曲 井上忠夫 1981年)

『ランナウェイ』に続く2曲目のトップ1ソングとなったことで、シャネルズの地位を不動のものにした一曲です。シャネルズのコンセプトを大事にしながらも、新しい展開を見せたことで、再びの大ヒットに導いた井上大輔のメロディーは、さすがプロの作曲家です。

 

1位 ハリケーン シャネルズ  

(2位 42.6万枚 作詞 湯川れい子 作曲 井上大輔 1981年)

シャネルズ時代の曲の中では一番ノリの良いアップテンポの曲で、チャート1位にはなりませんでしたが、こちらも大ヒット。♪ハリケーン ハリケーン ハリケーンとたたみかけるところと、直後の低音パートの展開が大好きで、この曲を1位にしてみました。のちにPUFFYがカバーしました。

 

【その他の主な作品】

『プロフィール』倉沢淳美、『瞳にSTORM』浅香唯、『気ままにREFLECTION』杏里、『さよならは落ち込まないで』勇直子、『微妙なとこネ』松居直美、『シャドウハンター』『ミモザの奇蹟』大西結花、『クライマックスご一緒に』あんみつ姫、『きめてやる今夜』『どん底』沢田研二、『ネグレスコ・ホテル』BORO など