80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.61

 

阿木燿子(作詞家)

宇崎竜童に続いては、その奥様である作詞家の阿木燿子を取り上げます。夫婦で作詞作曲というパターンが多いので、当然作品も重なってくるかとおもったのですが、意外に他の作曲家との組み合わせも多く、宇崎竜童とはまた違った感じのランキングになりました。ちょっとセクシーで刺激的な表現に長けている印象です。

 

阿木燿子作詞作・ベスト10   ※1アーティスト1曲限定

★=80年代発売

 

10位 カリフォルニア・コネクション 水谷豊 

(3位 65.6万枚 作詞 阿木燿子 作曲 平尾昌晃 1979年)

さわやかでまっすぐな愛の歌です。阿木燿子の作品としては爽やかな歌詞になっていて、このあたりは水谷豊のキャラクターや主題歌となったドラマの内容に寄せた形なのでしょう。耳心地のよいヒット曲となりました。

 

9位 DESIRE-情熱- 中森明菜

(1位 51.6万枚 作詞 阿木燿子 作曲 鈴木キサブロー 1986年)

中森明菜への歌詞の提供はこれ一曲だけですが、これが中森明菜の代表曲になったところで、阿木燿子の存在感を示す形になっています。情熱的でセクシーな尖った歌詞は阿木燿子の得意とするところで、激しめのメロディーともぴったりと合って、印象に残る作品となりました。

 

8位 キッスは目にして! ザ・ヴィーナス

(4位 49.5万枚 作詞 阿木燿子 作曲 ベートーヴェン 1981年)

当時ベートーヴェンに歌詞をつけて大幅にアレンジしたということで話題になった作品。オールディーズ風のアレンジだけでなく、衣装までもそこに寄せたファッションが受けて大ヒットに。ベートーヴェンに歌詞をつける作業を、阿木燿子はどんな意図でこの形にしたのか、いずれにせよまったく違和感のない自然な作品に仕上げられました。

 

7位 How Many いい顔 郷ひろみ 

(8位 29.9万枚 作詞 阿木燿子 作曲 網倉一也 1980年)

郷ひろみには何曲か歌詞をかいている阿木燿子ですが、この曲の歌詞はまた独特で面白いですね。少年から大人への成長過程で、ちょっと大人の世界に踏み込んだような、この時期にはそんなにおいが感じられます。そしてそこに起用されたのが阿木燿子ということなのでしょう。そのほか『禁猟区』『ハリウッド・スキャンダル』『ナイヨ・ナイヨ・ナイト』『若さのカタルシス』『未完成』『地上の恋人』『お化けのロック』『帰郷』など。

 

6位 E気持 沖田浩之 

(8位 17.8万枚 作詞 阿木燿子 作曲 筒美京平 1981年)

初期の沖田浩之の曲って、どこかエロティックで好きなのですよね。それらを作詞したのが阿木燿子ということで、セールス面で結果を残した一番有名なデビュー曲を選択しました。ただ『半熟期』『はみだしチャンピオン』『隠れアムール』なんて、どれも歌詞が面白くて捨てがたいのですよね。

 

5位 プレイバックPart2 山口百恵 

(2位 50.8万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1978年)

他の提供曲は宇崎竜童と同様になりますので省きますが、歌詞からみたときに目を引くのはやっぱりこの曲です。当時としてはかなり斬新で、しかもそれを山口百恵が歌うということで、話題にもなりまして、実際売れました。NHKでは《ポルシェ》の部分を《車》に言い換えて歌ったというのも注目されましたね。

 

4位 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ ダウン・タウン・ブギウギ・バンド

(1位 78.8万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1975年)

旦那となる宇崎竜童率いるバンドに歌詞を提供。曲の大部分をセリフが占めているという異色の作品ですが、インパクトは絶大で大ヒット。そのほか『サクセス』などでも阿木燿子が作詞しています。

 

3位 想い出がいっぱい H2O 

(6位 43.0万枚 作詞 阿木燿子 作曲 鈴木キサブロー 1983年)

今も歌い継がれる名曲です。阿木燿子特有の尖ったところを丸めて丸めて作ったら、この曲になったという感じで、言われなければ阿木燿子というのはまったく分からない歌詞です。さすがプロの作詞家ということで、その引き出しの多さはさすが。

 

2位 魅せられて ジュディ・オング

(1位 123.5万枚 作詞 阿木燿子 作曲 筒美京平 1979年)

一世を風靡したレコード大賞受賞曲。独特の衣装がクローズアップされましたが、この歌詞もまた男にはドキッとさせられる内容になっていて、このあたりは阿木燿子らしいなと思わされます。女性ってこんなことを考えているんだというのを歌詞にするのがとても巧みですね。

 

1位 微笑みがえし キャンディーズ 

(1位 82.9万枚 作詞 阿木燿子 作曲 穂口雄右 1978年)

過去のキャンディーズのヒット曲の数々を上手におり込んだ歌詞が秀逸ですし、解散ソングとしてもふさわしいという事で、この曲を1位にしてみました。阿木燿子がキャンディーズにかいたのはこれ一曲なのですが、その一曲で非常にいい仕事をしているわけです。

 

【その他の主な作品】

『ちょっとなら媚薬』柏原芳恵、『不良少女にもなれなくて』真璃子、『駈けてきた乙女』『夏の雫』三田寛子、『夢一夜』南こうせつ、『紳士同盟』薬師丸ひろ子、『少年ケニア』『晴れ、ときどき殺人』渡辺典子 、『初恋進化論』藤井一子、『想い出ぼろぼろ』内藤やす子、『はがゆい唇』高橋真梨子、『愚図』研ナオコ