80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.60

 

宇崎竜童(作曲家)

ダウンタウンブギウギバンドを率いてヒットを放ち、一方で作曲としても70年代から2000年代にまでの長い間活躍。奥様の阿木燿子が作詞ということも多く、特に山口百恵には数々のヒット曲を提供してきました。今回はその宇崎竜童を取り上げます。ランキングの方は、山口百恵がずらりと並んでしまいますので、1アーティスト1曲の限定ランキングで選んでみました。

 

宇崎竜童作曲作・ベスト10  ※1アーティスト1曲限定

★=80年代発売

 

10位 Mother’s Touch 藤井郁弥 

(2位 17.3万枚 作詞 松本隆 作曲 宇崎竜童 1988年)

チェッカーズ時代の藤井フミヤがリリースしたソロシングルで、漢字での名義表記となっています。ソロデビュー曲を宇崎竜童に託したのが興味深いところではありますが、曲調は宇崎竜童の1つの得意パターンでもある、壮大でゆったりとした作品になっています。

 

9位 アダムな夜 鈴木雅之 

(17位 12.8万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1995年)

サングラス繋がりで宇崎竜童に作曲を依頼した、というのは嘘ですが、鈴木雅之にぴったりな渋い作品を仕上げたという印象です。まあ、一般的にいう売れ線とはちょっと違うかもしれませんが、味わい深い大人の作品として、こんな曲もかけるんだぜというところをしっかりと見せつけてくれました。

 

8位 硝子坂 高田みづえ 

(9位 31.1万枚 作詞 島武実 作曲 宇崎竜童 1977年)

高田みづえのデビュー曲で、当時はこの曲で各音楽賞の新人賞レースに参戦していました。可愛い感じのアイドルというよりは、歌で勝負できる歌手を目指していたのでしょう、歌謡曲的な要素を含んだ作品となっています。このほか高田みづえには『だけど…』『ビードロ恋細工』といったヒット曲を提供しています。

 

7位 晴れ、ときどき殺人 渡辺典子 

(11位 15.8万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1984年)

角川3人娘の一人、映画と連動してのシングル発売はお決まりのパターンですが、渡辺典子の2ndシングルもそんな一曲。爽やかでまっすぐなラブソングで、聴いていると不思議にゆったりとした気持ちになるのですよね。デビュー曲『少年ケニア』も宇崎竜童が作曲。

 

6位 紳士同盟 薬師丸ひろ子 

(2位 11.9万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1986年)

こちらも同名の映画の主題歌。♪なんてね といったところなど、歌詞と連動したトリッキーで意表を突くメロディーが特徴の面白い作品です。

 

5位 ちょっとなら媚薬 柏原芳恵 

(10位 12.4万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1983年)

大人の危ない恋の駆け引きを歌った、当時の柏原芳恵としては大人びた印象のドキッとする作品となっていますが、これぞ阿木&宇崎による一曲といった、いかにも「らしい」楽曲ではないでしょうか。

 

4位 想い出ぼろぼろ 内藤やす子 

(9位 31.9万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1976年)

当時新人賞を総なめした内藤やすこのヒット曲ですが、宇崎竜童らしい曲かなと思っています。ただそれでいながら、歌謡曲のど真ん中をいくようなメロディーでもあって、このあたりは歌い手にだいぶ寄せて、しっかりと作曲家としての仕事をしているという印象です。

 

3位 禁猟区 郷ひろみ 

(8位 16.1万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1977年)

キンキラの派手な格好して歌う郷ひろみの映像が残されていますが、これぞ阿木燿子&宇崎竜童&郷ひろみといった、それぞれのらしさが満ちあふれた一曲となっています。このほか樹木希林と歌った『お化けのロック』も宇崎竜童作曲です。

 

2位 ベルエポックによろしく 田原俊彦

(2位 7.7万枚 作詞 阿久悠 作曲 宇崎竜童 1986年)

サブタイトルや歌詞にもありますが、50年代を意識したメロディーがかっこいいトシちゃんのシングル曲。当時の田原俊彦は古き良き時代の男らしさを目指していたようなところがそれぞれの楽曲に表れていて、その中でもこの曲はそれが顕著に出ています。宇崎竜童は似た傾向の『あッ』も作曲しています。

 

1位 乙女座宮 山口百恵 

(4位 31.4万枚 作詞 阿木燿子 作曲 宇崎竜童 1978年)

中期以降の多くのシングル曲を宇崎竜童が作曲していますが、今回はアーティスト1曲限定ということで、『横須賀ストーリー』『プレイバックPart2』『イミテイション・ゴールド』『さよならの向う側』を差し置いて、壮大さを感じさせるこの曲を選んでみました。刺激的な作品もいいのですが、ゆったりとした気持ちになれるこの曲も好きなのです。こういった曲ごとに硬軟を切り替えて、あの手この手でシングル曲を送り込んだ引き出しの広さも、宇崎竜童が起用され続けたひとつの理由なんでしょう。その他『初恋草子』『夢先案内人』『絶対絶』『曼珠沙華』『美・サイレント』『愛の嵐』『しなやかに歌って』『謝肉祭』『ロックンロール・ウィドウ』なども宇崎竜童の作曲となっています。