80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.58

 

森浩美(作詞家)

80年代から現在まで長い間活躍している作詞家で、携わったヒット曲の数もかなりの数に登ります。常に新しいトレンド感覚に優れながらも、あざとさがあまりない自然な感じが個人的にはいいなと思っています。中でもSMAPを中心とした旧ジャニーズとの関わりが強く、全盛期のSMAPのヒット曲の多くを森浩美氏が作詞をしています。

 

森浩美作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 雪が降ってきた SMAP 

(7位 19.1万枚 作詞 森浩美 作曲 馬飼野康二 1992年)

初期のSMAPのシングル曲の多くを作詞してきた森浩美ですが、今からみるとまだまだ幼さの残る当時の彼らにぴったりな可愛らしい歌詞になっています。雪の降る中、別れた彼女の思い出に浸るひと時が、悲しいけれどロマンティックに響いてきます。

 

9位 SHOW ME 森川由加里  

(1位 42.7万枚 日本語詞 森浩美 作詞・作曲A.Tripoli、T.Moran、A.Cabrera、B.Khozouri 1987年)

人気テレビドラマの主題歌に使われたことで、無名のシンガーがいきなりの大ヒット。カバー曲でもあるので、いろいろと制限もあるでしょうが、オリジナルの雰囲気、ドラマの内容、そんなものを総合的にまとめあげた日本語詞も、ヒットに貢献しているのは間違いないでしょう。

 

8位 1億のスマイル 酒井法子

(2位 9.1万枚 作詞 森浩美 作曲 飛鳥涼 1988年)

酒井法子には多くの歌詞を提供していて、『ノ・レ・な・いTeen-age』『夢冒険』『HAPPY AGAIN』『ホンキをだして』など、当時の彼女の戦略的イメージに沿った路線での歌詞に徹しています。中でもこの曲は、幸せオーラいっぱいといった文字通り微笑ましい歌詞になっていて、特に可愛らしい印象です。

 

7位 君を忘れない シブがき隊 

(6位 8.5万枚 作詞 森浩美 作曲 井上大輔 1988年)

シブがき隊のラストソングということで、それにふさわしい爽やかな別れの曲となっています。おそらく恋人であっただろう“君をファンに重ねたような歌詞で、正攻法の作品が少なかったシブがき隊だけに、かえってこういった作品を最後に持ってきたことは新鮮でした。

 

6位 抱きしめてTONIGHT 田原俊彦 

(3位 27.9万枚 作詞 森浩美 作曲 筒美京平 1988年)

トシちゃん大復活を遂げた作品で、今でも代表曲となっています。テレビドラマとの相乗効果もあり、低迷していた売上がこの曲で上昇、田原俊彦の存在感を再びアピール。80年代の森浩美の歌詞は、90年代以降に比べると、わりと正統派の作品が多いように感じるのですが、どんなものでしょうか。

 

5位 愛されるより愛したい KinKi Kids 

(1位 164.4万枚 作詞 森浩美 作曲 馬飼野康二 1997年)

デビュー曲で爆発的ヒットを飛ばしたKinKi Kidsのふたりのセカンドシングルでしたが、こちらもミリオンセラーを達成する大ヒットとなっています。ナイーブな傷つきやすい少年といった前作のイメージをそのままに引き継いでといった歌詞になっています。

 

4位 なかったコトにして 郷ひろみwith HYPER GO号 

(8位 10.1万枚 作詞 森浩美 作曲 ダンス☆マン 2000年)

1990年代を経て2000年代に突入した頃になると、森浩美の歌詞もだいぶこなれてきて、80年代の歌詞とはだいぶ違った自由な印象になりました。特にこの曲は軽薄さ満載で、力の抜けた感じがすごく心地よいのですよね。その力の抜け感は、当時の郷ひろみにもぴったりでした。

 

3位 CO CO RO 光GENJI 

(1位 20.6万枚 作詞 森浩美 作曲 馬飼野康二 1990年)

光GENJIの曲の中ではこの曲が一番好きなのですよね。メロディーも抜群なのですが、森浩美の歌詞も爽やかで、歌っていてもなんか気持ちいいのですよね。まだこの頃のちょっと堅い感じがまたよろしいです。光GENJIには他に『WINNING RUN』でも歌詞を提供しています。

 

2位 “shake” SMAP 

(1位 87.6万枚 作詞 森浩美 作曲 小森田実 1996年)

1990年代半ばから後半にかけて、最もSMAPに勢いがあった頃、森浩美が彼らに書いた歌詞の数々はどれも印象的でした。この頃になるとかなり自由奔放さが増して、時代の雰囲気を的確に捉えたような歌詞になっていたのではないでしょうか。特にこの曲は、軽薄感とノリの良さがたまらないです。

 

1位 ダイナマイト SMAP 

(3位 73.1万枚 作詞 森浩美 作曲 小森田実 1997年)

90年代の森浩美の歌詞を代表するような作品で、これが当時勢いに乗るSMAPに見事にはまりました。2位曲と同じように、軽薄さ、奔放さにあふれた歌詞になっていて、彼らが怖いものなしに世の中を闊歩しているような雰囲気さえ漂ってくるこのさく品を1位としてみました。そのほかSMAPには、『青いイナズマ』『笑顔のゲンキ』『オリジナル・スマイル』『$10』『ずっと忘れない』『しようよ』『はじめての夏』『はだかの王様』など多数の作品で詩を提供。

 

【その他の主な作品】

荻野目洋子『Dance Beatは夜明けまで』、浅香唯『DREAM POWER』、近藤真彦『いいかげん』、吉田栄作『V ヴィクトリー』、ブラックビスケット『STAMINA』『Timing』『Relax』(いずれも共作)、早見優『ハートは戻らない』、知念里奈『Wing』、少年隊『じれったいね』などなど。