80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.57
和泉常寛(作曲家)
フォークデュオからスタートしている経歴のようですが、作曲家として送り出しているヒット曲には、あまりフォーク的に部分は感じられません。繊細ではかなげなでいて美しいメロディーが特徴的で、特にオメガトライブの作品に深くかかわり、その土台作りに大きく貢献しました。
和泉常寛作・ベスト10
★=80年代発売
10位 愛は心の仕事です ラ・ムー
(9位 10.1万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1988年)★
当時は菊池桃子ついに血迷ったかという感覚もありましたが。楽曲としては時代が早過ぎたのかもしれません。黒人コーラスを従えての、ブラック・コンテンポラリーを融合した独特の音楽は、当時としてはかなり斬新でもあり、和泉常寛としてもかなり冒険的な作品だったのかもしれません。
9位 SILENT DANCER 少年隊
(5位 10.8万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1988年)★
12インチシングルということで、企画シングル的な色合いがありましたが、その分売れ線狙いというよりも、挑戦的な作品作りを目指した印象です。今聴くと、10位の曲にも通ずるような雰囲気もあって、泉常寛としても試験的に部分もあったのではないでしょうか。
8位 Miss Lonely Eyes 1986 OMEGA TRIBE
(2位 10.0万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1987年)★
カルロス・トシキをボーカルに迎えた新生オメガトライブの多くのシングル曲を和泉常寛が作曲しています。どこかたどたどしいカルロスのボーカルと、はかなくも美しい和泉常寛のメロディーが見事にマッチしていて、オメガトライブのイメージを作り上げる役割を果たしたように思います。
7位 アクアマリンのままでいて カルロス・トシキ&オメガトライブ
(3位 9.1万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1988年)★
名前を変えた3つめのオメガトライブは、よりカルロス・トシキを前面に出した形のバンドとなりましたが、曲の世界感が特に変わったわけではなく、この曲も1986OMEGA TRIBEからの延長上にある一曲。夏の歌でありながら、ギンギンギラギラとはかけ離れた切なげな感じが良いです。他に『DOWN TOWN MYSTERY』も和泉常寛が作曲。
6位 両手いっぱいのメモリー 渡辺美奈代
(10位 7.1万枚 作詞 小林和子 作曲 和泉常寛 1988年)★
和泉常寛の寂しげだけれど美しいメロディーを渡辺美奈代が採用。後藤次利から鈴木慶一に変わる移行期の渡辺美奈代にスポット的に入り込んだ印象ですが、彼女のボーカルにもマッチした作品に仕上がっています。
5位 青山Killer物語 ラ・ムー
(19位 2.1万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1989年)★
ラ・ムーの曲の中では一番メロディアスで、和泉常寛が本来得意とする曲だったように思います。セールス的には伸びませんでしたが、菊池桃子のボーカルにもあっていましたし、切なげで寂しげなメロディーが個人的にはかなり気に入っていました。『少年は天使を殺す』『TOKYO野蛮人』といったトップ10入りシングルも和泉常寛が作曲。
4位 Cosmic Love 1986 OMEGA TRIBE
(3位 13.2万枚 作詞 藤田浩一 作曲 和泉常寛 1986年)★
透き通るようなメロディーが、冬の夜に聴くのにピッタリという感じで、カルロスのボーカルが見事に調和した作品になっています。それまでの夏の渚にて、というイメージとはまた別のオメガトライブの新しい使い方(?)に気づかせてくれました。
3位 君は1000% 1986 OMEGA TRIBE
(6位 29.3万枚 作詞 有川正沙子 作曲 和泉常寛 1986年)★
新生オメガトライブのスタートとなる曲で、これが見事にヒット。杉山清貴ともども再スタートに成功したということではめでたしめでたしとなった作品でもあります。旧オメガトライブから極端な路線変更に走らず、近い路線で勝負したのが奏功しましたね。
2位 涙のイヤリング 芳本美代子
(25位 2.5万枚 作詞 小林和子 作曲 和泉常寛 1987年)★
芳本美代子がアイドルとしてのピークを過ぎた頃のシングルでしたので、セールス的には伸びませんでしたが、楽曲はかなりいいのですよね。切なげなメロディーが別れの悲しさを綴った歌詞にピッタリ。和泉常寛らしさもよく表れています。
1位 Super Chance 1986 OMEGA TRIBE
(2位 20.0万枚 作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 1986年)★
オメガトライブへの提供曲の中でも一番気に入っているのがこちらです。夏のリゾート感にあふれ、これぞオメガトライブという背景の下、愛の駆け引きとその中に隠された純情がしっかりと表現されています。夏の歌でありながら、切なげではかなげな感じが、和泉常寛らしさであり、新生オメガトライブらしさでもあり、ということで1位にしました。