80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.55

 

吉元由美(作詞家)

文筆家としても活躍し、大学でも講義をもっていた才能豊かな女性作詞家です。80年代以降長期的に多くの歌詞を提供しましたが、特に杏里には多くの楽曲を提供しています。

 

吉元由美作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 TRUE LOVE 浅香唯 

(1位 17.4万枚 作詞 吉元由美 作曲 井上ヨシマサ 1989年)

壮大な愛を歌ったどちらかというと抽象的、観念的な作品ではありますが、アイドルとしてトップに上り詰めた浅香唯が次の段階を模索するような、やや重めの楽曲となっています。

 

9位 Virgin Eyes 中山美穂 

(2位 25.4万枚 作詞 吉元由美 作曲 杏里 1989年)

いろいろな恋愛を経験してきたところで出会ったあなたへの愛する気持ちを歌ったラブソングです。どこか優雅でさわやか、恋愛マスターが見つけた本物の愛という感じでしょうか。女性の作詞家らしい一曲です。

 

8位 HAPPYENDでふられたい 杏里

(17位 6.3万枚 作詞 吉元由美 作曲 杏里 1987年)

タイトルどおり失恋ソングです。車の中からエアポートへ、そしてコンビナートの火など、具体的な背景を見せながら、主人公の心の内を描きだしていて、杏里らしい世界を作り出しています。

 

7位 スノーフレイクの街角 杏里 

(12位 8.2万枚 作詞 吉元由美 作曲 杏里 1988年)

雪景色の中の別れを描いた悲しい失恋ソングは、冬の寂しさをより掻き立てる作品になっています。1980年代後半から1990年代前半までは、どっぷりと杏里とタッグを組んでいた吉元由美ですが、こういった季節感の濃い作品が多くみられます。

 

6位 Jupiter 平原綾香

(2位 92.0万枚 作詞 吉元由美 作曲 G.Holst 2003年)

クラシックの名曲に歌詞をつけるという特異な作業であったと思いますが、原曲の雰囲気を壊さない神秘的な歌詞はさすがプロの作詞家といったところです。ランクの中でこの曲だけ2000年代ということで、その部分でも特異な一曲です。

 

5位 水に落ちたヴァイオレット 中村由真 

(13位 4.2万枚 作詞 吉元由美 作曲 林哲司 1987年)

それまでの中村由真のシングル曲とはがらりとイメージを変えたポップで可愛らしいTheアイドルソングに初めて挑戦したのがこの曲。吉元由美の中ではかなり可愛いいに寄せた歌詞になっています。

 

4位 SUMMER CANDLES 杏里 

(16位 8.0万枚 作詞 吉元由美 作曲 杏里 1988年)

7位が冬ならばこちらは夏。しっかりと聴かせるサマー・ラブ・バラードで、スケール感あふれる壮大な愛を歌った歌詞になっています。杏里との相性の良さが感じられますね。

 

3位 十六夜物語 河合奈保子

(10位 5.7万枚 作詞 吉元由美 作曲 河合奈保子 1987年)

河合奈保子が作曲家としての才能を猛烈にアピールすることになった一曲は、しっかりと聴かせるバラードです。もちろん河合奈保子の歌唱力もじっくりと聴かせてくれる作品に仕上がっていますが、昔話のような雰囲気の文学的な歌詞がまた独特の世界を作り出しています。

 

2位 華麗なる賭け 田原俊彦 

(1位 12.0万枚 作詞 吉元由美 作曲 久保田利伸 1985年)

歌詞にも出てきますが、古き良き時代のハリウッドのきらびやかな世界を思わせるような歌詞がなんともカッコよいです。売れる前の久保田利伸が作曲ということですが、ちゃんとトシちゃんに寄せて作られているように感じられますね。

 

1位 ハーフムーン・セレナーデ 河合奈保子 

(6位 8.4万枚 作詞 吉元由美 作曲 河合奈保子 1986年)

3位の前に初めて河合奈保子自身の作曲作として発売された作品です。発売当時はあまり思わなかったのですが、後になってこの曲の良さが分かってきての1位です。もうこの時点から作曲家河合奈保子のオリジナルの世界がしっかりと構築されていて、そこに吉元由美の歌詞が大きく貢献しているのも確かでしょう。3位曲同様に、壮大な愛の物語に惹きこまれます。