80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.53

 

松本一起(作詞家)

80年代を中心に90年代にかけて作詞家として活躍しました。男女アイドルから音楽界の重鎮、さらにはこれから売り出そうというニューフェイスまで、幅広いアーティストへ歌詞を提供してきました。

 

松本一起作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 夢の彼方 矢沢永吉 

(3位 13.3万枚 作詞 松本一起 作曲 矢沢永吉 1991年)

プロの作詞家に作詞を依頼することの多かった矢沢永吉ですが、その一人として依頼をしたのが松本一起。当然ながら矢沢永吉に寄せた歌詞になっています。シンプルな言葉と短めのセンテンスで、男の生きざまを歌にしています。

 

9位 サイレント・サマー ribbon 

(12位 5.6万枚 作詞 松本一起 作曲 岩田雅之 1991年)

ribbonの6thシングル。強い女風を装った失恋ソングといったところでしょう。可愛いからかっこいいに舵を取り始めた頃ということで、そんな3人に合った歌詞を仕上げています。

 

8位 横顔のフィナーレ 芳本美代子

(8位 5.0万枚 作詞 松本一起 作曲 難波弘之 1986年)

オリコントップ10入りが続いている頃の芳本美代子のシングルは、比較的テンポのよい傷心ソング。金銀に華やぐカーニバルの街に対照的な雨。終わった恋にケリをつけて、前を向いていこうと自分を鼓舞するような歌詞ですね。

 

7位 It’s Bad 田原俊彦 

(4位 11.5万枚 作詞 松本一起 作曲 久保田利伸 1985年)

ブレイク前の久保田利伸が田原俊彦に提供した曲で、トシちゃんサイドとしてはかなり挑戦的なシングル曲になったのではないでしょうか。アイドルが歌う曲としては斬新で、それを生かす歌詞にきちんと仕上げられています。

 

6位 夏の日の1993 class 

(3位 115.5万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1993年)

おそらく松本一起が作詞した作品の中で最大の売上を上げたのがこの作品でしょう。当時はなんでこんなにぼんやりした曲がこんなに売れるのかなぁなんて思ったりもしましたが、1993と限定しながらも、時代を越えて支持されるスタンダードを作り上げていたんだなと認識を改めています。

 

5位 ガラス越しに消えた夏 鈴木雅之 

(15位 14.7万枚 作詞 松本一起 作曲 大沢誉志幸 1986年)

鈴木雅之がソロとしてスタートする大事な作品の作詞を任されたのが松本一起。CMの効果もありましたが、風景と情感が一体となって、しみじみと聴いているものに伝わってくる気がして、素直にいい曲だなと思える作品でした。

 

4位 モノクローム・ヴィーナス 池田聡 

(9位 22.8万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1986年)

ほぼ無名の池田聡がこの曲のヒットで一気に世に出た作品。当時のひとつの主流だった都会的でスマートなラブソングのジャンル(?)から正攻法に売れ線の曲を狙ってきたようなそんな一曲に感じました。

 

3位 ポキチ・ペキチ・パキチ 水谷麻里 

(9位 4.6万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1987年)

タイトルからしてよくわからない浮世離れした歌になっていますが、歌詞も能天気な夏の恋を歌ったものになっています。ファニーフェイスでどこかコミカルな雰囲気の水谷麻里にはぴったりの作品で、このあたりはプロの作詞家といったところでしょう。水谷麻里には『春が来た』も提供。

 

2位 抱いてマイ・ラブ 早見優 

(13位 15.7万枚 作詞 松本一起 作曲 J・スタンレー 1983年)

キレのある独特のメロディー、帰国子女早見優の英語力、それらを生かす松本一起の歌詞により、小気味よいラブソングになっています。思わせぶりで小悪魔的な新しい早見優像をみせてくれたという意味でも面白い曲で、個人的にも気に入っています。『CRASH』『急いで!初恋』『西暦1986』でも松本一起が作詞。

 

1位 ジプシー・クイーン 中森明菜 

(1位 35.8万枚 作詞 松本一起 作曲 国安わたる 1986年)

もう完全に中森明菜の世界ですね、この作品は。出だしの♪百二十五頁で終わった二人 でいきなりひき込まれ、ファンタジーと異国情緒の入り混じったような世界の中に誘われます。松本一起の作詞家としてのセンスがふんだんに表れた一曲ではないでしょうか。中森明菜には『Fin』でも作詞しています。