80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.49

 

夏目純(作詞家)

男性か女性かどちらにも捉えられる名前ですが、女性作詞家ということです。1980年代後半から1990年代前半に活躍しましたが、いつの間にか名前を聞かなくなってしまったという、なんとも謎の存在でもあります。女性アイドルへの詩の提供が多いですが、男性にも時々書いており、そんな感じのランキングになっています。作曲尾崎亜美とのコンビが多いです。

 

夏目純作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 ソロ・サピエンス 上田浩恵 

(36位 2.9万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1986年)

上田浩恵のデビュー曲で、CMとの絡みもあってそこそこ売れたのですが、ちょっと難しい感じの歌になっています。インパクトのあるタイトルで、いったい何なんだと注意をひくことには成功しています。

 

9位 Don't leave you alone 郷ひろみ 

(29位 2.3万枚 作詞 夏目純 作曲 都志見隆 1996年)

この時期の郷ひろみが得意していたラブバラードですが、基本的には別れの場面を歌っていて、しっとりしんみりとさせられる曲です、歌詞も正攻法でまったく奇を衒わない、とにかくまじめな作品。

 

8位 C'mon3! 西田ひかる 

(24位 5.5万枚 作詞 夏目純 作曲 羽田一郎 1995年)

失恋した自分を勇気づけるような「私頑張れ、元気になれ」ソングです。そんなところでは、西田ひかるらしいと言えそうです。

 

7位 く・せ・に・な・る 郷ひろみ 

(26位 3.3万枚 作詞 夏目純 作曲 横山輝一 1996年)

こちらはまた難しく感じられる、文字通りちょっと癖のある歌詞となっています。このあたりがプロの作詞家としての、同じアーティストへの楽曲でも、いろんな角度から攻めてくる引き出しの広さなのでしょうね。

 

6位 届かなかった AIR MAIL 真璃子 

(66位 0.6万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1988年)

冬のある日、二人で暮らした部屋を一人出ていく別れの気持ちを歌った切なすぎる歌詞が胸に響きます。真璃子のアーティストパワーが弱まり、セールス的には伸びませんでしたが、大人の歌を歌えるようになった彼女の成長ぶりをしっかりと表現していたように思います。

 

5位 二人だけのセレモニー 岡田有希子 

(4位 14.7万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1985年)

岡田有希子の4thシングルです。彼氏と二人だけの卒業バーティーを描いたとびきり甘いラブソング。まさに幸せいっぱいという気持ちにあふれていて、ファンからすると嫉妬してしまいそうなほどの歌詞なのですよね。岡田有希子が生きていたら、夏目純がまた歌詞をかくこともあったのかな。

 

4位 内緒で浪漫映画(ラブストーリー) 新田恵利 

(1位 11.5万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1986年)

夏目純の作詞した作品でおそらく唯一のナンバー1ソングではないでしょうか。5位と同様に、こちらも甘く幸せいっぱいのラブストーリー。こういった若い女性の甘いラブラブな世界を夏目純が得意としていたように感じられます。なんかじっくり聴くとくすぐったくなるような歌でした。

 

3位 素敵な休日 堀ちえみ 

(29位 1.1万枚 作詞 夏目純 作曲 尾崎亜美 1986年)

ビルの硝子張りのエレベーターから降りて駐車場へ向かう僅かな時間を歌にしているところが実に面白い歌詞です。状況も浮かびやすく、落ち着いたなかなかのいい曲なのですが、アイドルとしては末期にあった堀ちえみの状況であったことから、セールス的には伸びなかったのが残念。

 

2位 おこりんぼの人魚 仁藤優子 

(13位 4.6万枚 作詞 夏目純 作曲 佐藤健 1987年)

仁藤優子のデビュー曲で、声を壊す前の伸びやかな歌声が良い作品ですが、歌詞もメロディーも爽やかでアイドルのデビュー曲にはぴったり。正統派の路線を狙っていたのがちゃんと分かります。夏らしくて、海のデートへと繰り出しくなるような気持ちを掻き立てられますね。

 

1位 最後の雨 中西保志 

(16位 73.7万枚 作詞 夏目純 作曲 都志見隆 1992年)

この曲、最高位が16位というのに、70万枚以上も売り上げているのが凄いところで、それだけロングセラーを続けたということでしょう。今でも歌い継がれる名曲になりました。愛していれば愛しているほど、別れの瞬間の辛さ痛さ悲しさ激しさが際立ち、歌詞としても心に強く訴えかける見事なものになっています。