80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.45

 

高橋研(作詞・作曲家)

自らもシンガーソングライターとして活躍しましたが、やはり他のアーティストへの詩や曲の提供、そしてプロデュース業の方が目立っていた印象があります。作詞も作曲も行うので、提供するアーティストの幅はかなり広いですが、その中から10作を独断で選びました。

 

高橋研作詞作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 青春 近藤真彦 

(7位 8.4万枚 作詞 高橋研 作曲 高橋研 1986年)  

男性アイドルへの提供は少なく、そういう意味では貴重な作品です。詩も曲も担当していて、この当時大人の歌手へと方向転換を図りながら試行錯誤しているマッチ陣営が、その中で起用したのでしょうか。タイトルの青っぽさとは違い、昭和30年代の雰囲気を感じさせる骨っぽい作品に仕上がっています。

 

9位 じゃあね おニャン子クラブ 

(1位 28.1万枚 作詞 秋元康 作曲 高橋研 1986年) 

今では当たり前になっている、大人数女子アイドルグループのメンバーの卒業ソングという形が初めて認識された曲ではないでしょうか。タイトルも歌詞もストレートで素朴、アイドルらしい一曲です。

 

8位 ちょっとやそっとじゃCAN’T GET LOVE 中村あゆみ 

(2位 17.9万枚 作詞 高橋研 作曲 高橋研 1986年) 

中村あゆみに関してはプロデュースから高橋研が行っていたので、作詞作曲編曲のすべてを高橋研が担当。この曲は化粧品のキャンペーンソングにもなったということで、それまでの影がある楽曲から一転、ポップで明るいナンバーになっています。

 

7位 アドベンチャー・ドリーム アイドル夢工場 

(8位 4.4万枚 作詞 秋元康 作曲 高橋研 1987年) 

当時大々的に宣伝していたフジテレビのイベントと絡めて、アイドルの卵たちを集めて組んだグループのデビュー曲であり、ラストソングでもあります。曲としてはワクワクするような展開でなかなかいい曲でした。ただアイドル夢工場はこの後音沙汰もなく、自然消滅となりました。

 

6位 素敵な勇気 石川秀美 

(29位 2.6万枚 作詞 売野雅勇 作曲 高橋研 1987年)

 

アイドルとしては売上も落ちてきた時期の石川秀美だけに、いい曲なのですが残念ながら埋もれてしまった作品です。ただテレビドラマのテーマソングにも使われ、個人的には好きな曲。高橋研らしさもよく表れているように思います。

 

5位 好きになって、よかった 加藤いづみ 

(22位 19.7万枚 作詞 高橋研 作曲 高橋研 1993年) 

この作品も作詞・作曲・編曲のすべてを高橋研がこなしていますが、実に女性らしい繊細な作品になっていて、こんな作品も作れてしまうというところには感服します。順位的にはそれほどではないですが、ドラマの挿入歌にも起用されて話題になった一曲ですね。

 

4位 ウェディングドレス おニャン子クラブ 

(2位 9.0万枚 作詞 秋元康 作曲 高橋研 1987年) 

こちらはおニャン子クラブのラストソングで、彼女たちの未来を見据えた、最後に相応しい作品に仕上がっています。おニャン子の楽曲の中で、ポイントとなる感傷的な作品を高橋研が起用されているのはたまたまなのでしょうか。いずれにせよ、こちらも素朴ないいメロディーになっています。

 

3位 神様が降りてくる夜 川村かおり 

(13位 12.4万枚 作詞 高橋研 作曲 高橋研 1990年) 

こちらも作詞作曲編曲までを高橋研が担当。川村かおり(のちにカオリになりましたが…)にとっては初めてのスマッシュヒットになりました。なかなか面白い歌詞で、こういった感性をも持ち合わせているところに、改めて作詞家としての才能を感じさせられました。

 

2位 翼の折れたエンジェル 中村あゆみ  

(4位 37.8万枚 作詞 高橋研 作曲 高橋研 1985年) 

中村あゆみをこの世に送り出した一曲ということで、10代のリアルを描いた歌詞がとにかく秀逸。CMソングとして起用されたカップヌードルのCM映像とも見事にマッチしたこともあって大ヒット。高橋研のプロデューサーとしての能力が全面的に発揮された作品といってよいでしょう。その他『A BOY』『真夜中にラナウェイ』といった初期の中村あゆみの作品はすべて高橋研が作詞作曲を担当しています。

 

1位 メリーアン THE ALFEE 

(7位 37.3万枚 作詞 高見沢俊彦、高橋研 作曲 高見沢俊彦 1983年)★ 

高見沢俊彦との作詞のみの共作なので、扱いに迷ったのですが、高橋研にアルフィーは外せないだろうということで、一番好きなこの作品を1位に選びました。アルフィー得意のファンタジックな世界をまさに確立し、そして彼らを人気アーティストに押し上げた記念すべき1曲でもありますし。その他『星空のディスタンス』『STARSHIP~光を求めて』『恋人達のペイヴメント』『シンデレラは眠れない』『霧のソフィア』『エルドラド』で作詞の共作になっています。また小泉今日子『スターダスト・メモリー』『ハートブレイカー』でも高見沢俊彦と高橋研の共作詞となっています。

 

【その他の主な作品】

『風のInvitation』福永恵規