80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.44

 

糸井重里(作詞家)

コピーライターとして一世を風靡した糸井氏ですが、作詞の仕事も結構していまして、何曲かはヒットに結びついています。当然、言葉のインパクトで勝負ということで、印象的なフレーズがそれぞれに使われています。

 

糸井重里作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 さあ冒険だ 和田アキ子 

(圏外 作詞 森高千里 with S.Itoi 作曲 カールスモーキー石井 1995年)  

ポンキッキ―の挿入歌ということで、作詞は森高千里との共作、作曲も石井竜也という企画性の強い作品です。子供番組の曲なので、歌詞は明るく前向きで元気の出るようなものになっています。

 

9位 あなたは『おもしろマガジン』 榊原郁恵 

(40位 4.8万枚 作詞 糸井重里 作曲 水谷公生 1980年)

このタイトルがもう糸井重里ですね。話題豊富で飽きさせないけれども、肝心な恋のアプローチはしてくれない相手を比喩した歌詞で、不満げな感じを楽しく表現した内容になっています。

 

8位 お江戸 -O・EDO- カブキロックス 

(12位 6.1万枚 作詞 糸井重里 作曲 加瀬邦彦 1990年)

イカ天出身のコンセプトバンドによるパロディソングということで、元唄の作詞をした糸井重里の作詞曲となっています。インパクトはありましたけれど、所詮企画ものといった感じで、バンド自体は長続きしませんでした。

 

7位 恋のバッド・チューニング 沢田研二 

(13位 17.2万枚 作詞 糸井重里 作曲 加瀬邦彦 1980年)

前作のヒットで気を良くしたのか、或いは最初からセットだったのかは知りませんが、2曲続けてのジュリーとのタッグとなりました。アレンジも歌詞も賑やかで、ラジオの周波数と男女の仲を重ねて表現したお気楽なラブソングとなっています。

 

6位 オトナじゃないの 松本伊代 

(16位 11.2万枚 作詞 糸井重里 作曲 筒美京平 1982年)

松本伊代4thシングルは2曲続けて糸井重里+筒美京平のコンビの楽曲となりました。この曲までの松本伊代のシングル曲は、ファンタジックかつコミカルなちょっと不思議な女の子という路線を突き進んでいて、この歌も♪魔法のコ~でからね、やっぱり変な歌でした。

 

5位 パパの歌 忌野清志郎 

(12位 12.7万枚 作詞 糸井重里 作曲 忌野清志郎 1991年)

味わいのあるいい歌詞です。家の中ではゴロゴロしているぐうたらなお父さんだけれども、外ではカッコよく戦っていてすごいんだというお父さん賛歌。言葉のインパクトで勝負している他の糸井氏作詞曲とはちょっと違った風味で、こんな歌詞もかけるんだと認識を改めさせられた一曲です。

 

4位 いまのきみはピカピカに光って 斉藤哲夫 

(9位 20.0万枚 作詞 糸井重里 作曲 鈴木慶一 1980年)

なんといっても宮崎美子という一人の女子大生を世に出したという意味で大きな役割を果たした一曲です。当然コマーシャルとも連動した言葉選びにはなっているのでしょうけれども、この年の流行語にもなりました。タイトルがすべてといった感じで、ただ宮崎美子が目立ちすぎて、歌い手の斉藤哲夫が陰に隠れてしまったのはかわいそうではありました。

 

3位 TOKIO 沢田研二 

(8位 33.8万枚 作詞 糸井重里 作曲 加瀬邦彦 1980年)

沢田研二の代表曲のひとつとなった作品です。東京のことをトキオと外国ではいうのね、ということを初めて知ったのがこの曲。眠らない大都会東京のきらびやかさを見事に表現した当時としては最先端の東京ソングといった印象でした。オリコンでは8位どまりだったのが意外。

 

2位 TVの国からキラキラ 松本伊代 

(11位 16.2万枚 作詞 糸井重里 作曲 筒美京平 1981年)

松本伊代3rdシングルは独特の世界観の作品となっています。それを作詞したのが糸井重里ということで、実にコピーライター的な歌詞になっています。セリフで ねぇ、君ってキラキラ? ですからね。まあ普通の生活の中でいうことはないでしょう。糸井重里にしか書けないし、松本伊代にしか歌えない、そんな一曲です。

 

1位 春咲小紅 矢野顕子 

(5位 37.0万枚 作詞 糸井重里 作曲 矢野顕子 1981年)

矢野顕子にとって唯一といっていいシングルの大ヒット曲になった作品。化粧品のキャンペーンソングにも使われ、「春咲小紅」というコピーもいやというほど耳にしました。ちょっと変わっているけどどこか可愛らしい歌詞と、矢野顕子の舌足らずのボーカルがマッチして、個性的な一曲になりました。