80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.42

 

安井かずみ(作詞家)

加藤和彦の妻でもありましたが、55歳という若さで亡くなった作詞家です。1960年代から活躍をし、70年代、80年代と多くのヒット曲に携わっています。作品数も多いので、今回は80年代限定ということでの10作品を選んでみました。夫である加藤和彦が作曲した曲に詩をつけるケースがほとんどです。

 

安井かずみ作詞曲・ベスト10 80年代限定

★=80年代発売

 

10位 ジャングル・ラブ 高見知佳 

(圏外 作曲 加藤和彦 1981年)

知名度のわりにレコードセールスで苦戦していた高見知佳の10thシングルですが、歌詞を追うと、結構際物的な扱われ方をしても仕方のないものになっています。安井かずみの作詞した曲の中でも、かなり思い切った印象で、いったいどんなオーダーだったのでしょうか。

 

9位 わたし・ドリーミング 西村知美 

(3位 10.2万枚 作曲 加藤和彦 1986年)

西村知美3thシングル。デビュー曲以来、西村知美のほんわかしたイメージをそのまま映し出したような作品が続いていましたが、このシングルもその流れをしっかりと汲んだ作品になっています。こういった優しい歌詞は安井かずみのひとつの持ち味のように思います。

 

8位 どきどき旅行 岩崎良美 

(34位 6.3万枚 作曲 加藤和彦 1982年)

順位的にはパッとしませんでしたが、そのわりに枚数は出ています。あなたとのハワイ旅行の計画に、地図を見ながらあれこれと妄想している感じを歌にしている曲で、なかなか面白い作品です。曲調もどこかスリリングで、一人で勝手に気持ちが高まっていく様子が上手に表現されています。

 

7位 だいじょうぶマイ・フレンド 乃生佳之 

(36位 5.6万枚 作曲 加藤和彦 1983年)

広田玲央名も同じ作品を同時期に出していて、こちらは最高33位、売上4.6万枚です。元気のない人を温かく包み込みながら、元気づけるような、優しい歌詞の歌になっています。

 

6位 愛してモナムール 岩崎良美 

(25位 8.5万枚 作曲 加藤和彦 1982年)

恋に浮かれた気持ちを表現した陽気な歌で、8位同様に、順位の割にはセールス枚数はそこそこ出ています。安井かずみの岩崎良美への曲の提供はこの2曲になりますが、どちら個性的で、他の岩崎良美のシングルとは一味違う味わいになっています。

 

5位 ブルージーン・ピエロ 稲垣潤一 

(30位 4.6万枚 作曲 加藤和彦 1985年)

完全に男性向けに書かれた作品は、今回の10曲ではこの曲だけです。別れを決めていた恋人に対し、何も知らずに愛を信じていた自分をピエロに例えた失恋ソングですが、よくこれをシングルにしたなという地味な作品です。いろいろと挑戦して試していた時期なのかもしれません。

 

4位 失恋ライブラリー 紘川淳 

(26位 3.1万枚 作曲 木森敏之 1986年)

あっさりと芸能界に見切りをつけ、今や大学教授となっている紘川淳のデビュー曲。10代の女の子の初々しい片想いが描かれた素朴な歌ですが、今回唯一の作曲が加藤和彦ではない歌になります。そのせいか他の曲とはまた違った味わいの正統派アイドルソングとなっています。

 

3位 あなたとハプニング 石川秀美 

(8位 9.7万枚 作曲 加藤和彦 1985年)

石川秀美にとって1985年は何でも知っているセクシーなお姉さん的な作品への挑戦を続けた年で、その端渓的な作品がこれです。いきなり覚えたてのフレンチキッスであなたを誘惑しようとするところからはじまり、健康的で清楚な路線を期待していたファンにとっては、戸惑いさえ覚えたのではないでしょうか。

 

2位 不思議なピーチパイ 竹内まりや 

 (3位 39.2万枚 作曲 加藤和彦 1980年)

化粧品のキャンペーンソングに起用されてヒットした曲ですが、この当時はプロの作家の曲も歌っていた竹内まりや。春らしく明るくウキウキした気分にさせてくれる歌で、コピーなど制限もいろいろあったでしょうが、何度も聴きたくなる作品に仕上げています。

 

1位 愛・おぼえていますか 飯島真理 

 (7位 27.1万枚 作曲 加藤和彦 1984年)

アニメ映画の主題歌としてヒットしましたが、愛の深さ大きさ暖かさを感じるスケール感の大きい楽曲になっています。飯島真理の透き通るボーカルとも調和して、個人的にお気に入りの曲ということで、今回の1位にしました。いい曲です。

 

【その他の主な作品】

60~70年代の主な作品

『草原の輝き』『星に願いを』『愛の迷い子』アグネス・チャン、『赤い風船』『しあわせの一番星』浅田美代子、『ちいさな恋』天地真理、『恋のしずく』『星を見ないで』伊東ゆかり、『わたしの城下町』『お祭りの夜』『恋にゆれて』小柳ルミ子、『よろしく哀愁』郷ひろみ、『ちぎれた愛』『激しい恋』『この愛のときめき』『恋の暴走』『至上の愛』西城秀樹、『あなただけでいい』『危険なふたり』『胸いっぱいの愛』『あなたへの愛』『魅せられた夜』『恋は邪魔もの』『追憶』沢田研二、『シー・シー・シー』ザ・タイガース、『経験』辺見マリ