80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.39

 

井上陽水(作詞・作曲家)

言わずと知れた大ミュージシャンですが、他のアーティストへの提供としては作詞も作曲もあるという柔軟ぶりを示しています。特に陽水でないと作り出せない独特過ぎる言葉の世界は、オリジナリティにあふれかえっています。この世界を求めて陽水に詩を依頼するのでしょうね。

 

井上陽水作詞作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 月ひとしずく 

(7位 23.0万枚 作詞 井上陽水、奥田民生、小泉今日子 作曲 井上陽水、奥田民生 1994年) 

詩も曲も共作という異色の形でかかわっていますが、どの程度の割合で井上陽水が関わっているのかが気になるところではあります。ただ詩は陽水っぽさが結構表れているようには思います。

 

9位 ステキな恋の忘れ方 薬師丸ひろ子 

(4位 25.1万枚 作詞・作曲 井上陽水 1985年)

映画「野蛮人のように」の主題歌にもなった薬師丸ひろ子7thシングルで、作詞作曲の両方を井上陽水に依頼。いわれてみれば井上陽水らしいフレーズだったり、メロディだったりに気づくのですが、他の提供曲に比べると大人しめの印象。いわれてみれば陽水か、って感じです。

 

8位 ダンスはうまく踊れない 高樹澪 

(3位 31.3万枚 作詞・作曲 井上陽水 1982年) 

もともとは井上陽水夫人石川セリへの提供曲だったのですが、女優でもあった高樹澪がそれをカバーして大ヒット。タイトルからして「なに?!」と興味をひくものがあるのですが、たんたんと流れるメロディーにのっかるフレーズ、特にサビの部分が井上陽水ならでは。

 

7位 夏の雫 三田寛子 

(28位 6.5万枚 作詞 阿木燿子 作曲 井上陽水 1982年)

デビュー曲『駈けてきた乙女』に続いて2ndシングルも井上陽水が作曲を担当。三田寛子に関しては曲のみの提供というのが興味深いところ。終始穏やかな曲調の前作に比べ、メリハリがきいたメロディ構成になっていて、特にサビ頭のスリリングなつかみがいいのですよね。

 

6位 アジアの純真 PUFFY

(6位 118.9万枚 作詞 井上陽水 作曲 奥田民生 1996年) 

この曲では作詞だけを井上陽水が担当していますが、とにかく歌詞が独特過ぎます。考えれば考えるほどわけのわからない歌詞だけれど、それがまた気になって仕方ない。そんなギリギリのところを攻めてくるセンスは他の誰にも真似できないでしょうね。

 

5位 ワインレッドの心 安全地帯

(1位 71.4万枚 作詞 井上陽水 作曲 玉置浩二 1983年) 

初期の安全地帯では『真夜中すぎの恋』『恋の予感』とともにこの曲で井上陽水が作詞をしています。そのどの曲も、まさに大人の恋といったムード抜群の歌詞になっていて、アーティストによって硬軟を使い分けているのはさすがといったところ。

 

4位 渚にまつわるエトセトラ PUFFY

(1位 88.1万枚 作詞 井上陽水 作曲 奥田民生 1997年) 


PUFFYへの作詞については、実に自由に楽しんでる感が伝わってきて、その最たるものがこの作品ではないでしょうか。何せサビが♪カニ食べ行こう ですからね。こんな歌詞、思いつきますか、普通。奥田民生の作る曲も楽しくて、ウキウキしてきます。PUFFYでは他に『MOTHER』でも作詞をしています。

 

3位 夢の中へ 斉藤由貴

(2位 40.8万枚 作詞・作曲 井上陽水 1989年) 

いうまでもなく、もともとは井上陽水自身が歌っていた作品ですが、斉藤由貴が目をつけて、当時はやりのユーロビートテイストのアレンジでシングル発売してヒット。シンプルだけれども奥深い歌詞がなんといっても印象に残る作品。

 

2位 背中まで45分 沢田研二

(20位 8.7万枚 作詞・作曲 井上陽水 1983年) 

ホテルのロビーで見知らぬ男女が出会い、45分後にはホテルの部屋で背中に手が伸びるという、まあいってしまえば軽~いワンナイトラブを、時間を追って描いたとんでもない作品なのですが、陽水の手にかかると、これがしゃれた作品になるのですよね。一般受けはいまいちでしたが、味のある作品です。

 

1位 飾りじゃないのよ涙は 中森明菜 

(1位 62.5万枚 作詞・作曲 井上陽水 1984年) 

陽水と明菜がタッグを組んだということで、当時も大いに話題になったこの作品がやっぱりナンバー1に相応しいように思いました。中森明菜の気が強くて頑固で尖っているキャラクターイメージにも見事にはまって、中森明菜を代表する一曲になりました。