80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.38

 

銀色夏生(作詞家)

作詞家以上に詩人とかエッセイストとしても人気の高い女性ですが、作詞家としてもアーティストへ詩を提供しています。特に大沢誉志幸との結びつきが強くて、多くのシングルで作詞を務めています。当時の先端をいくようなときにはぶっ飛んだ歌詞も書けば、正統派のアイドルソングもしっかりとこなすふり幅の広さはさすがです。

 

銀色夏生作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 モーニング・ベルならしてよ 山下久美子 

(100位 0.4万枚 作詞 銀色夏生 作曲 藤木俊平 1984年)

ギリギリオリコンのチャートにランクインした山下久美子らしい一曲です。歌詞も含めて、当時としては新しい感覚で、銀色夏生独特の感性が作品に満ち溢れている印象です。

 

9位 ゴーゴーヘブン 

(27位 3.0万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1987年)

大沢誉志幸のメロディーが個性的で唯一無二のものであるならば、銀色夏生の歌詞もまた他の人では真似できないオリジナリティの強い作品で、その両者が合体することで、とんでもないカッコいい作品になっているのですよね。そう、とにかくカッコいいのです。

 

8位 クロール 大沢誉志幸 

(26位 2.6万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1986年)

歌詞となる言葉は少なめですが、内容はなかなか難しくて、このあたりは詩人らしい表現になっているように思います。ミディムテンポでどこか気だるさを感じさせるメロディーが独特で、大沢誉志幸の曲に歌詞をつけるのは、やはり勝手知る銀色夏生でないと、というところなのかもしれません。

 

7位 君の住む街角 大沢誉志幸 

(33位 17万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1988年)

バラード調の歌ということもあって、比較的わかりやすい言葉で、心に響いてくる歌詞になっていて、大沢誉志幸への作詞曲の中では、奇を衒わない正攻法の作品になっているように思います。

 

6位 その気XXX 大沢誉志幸 

(23位 11.3万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1984年)

XXXでミステイクと呼ばせる力技のタイトルがまず目を引き、そして大沢誉志幸にはおなじみの訳が分からないけれどもなんかカッコいい的な歌詞が、特にこの曲でははまっています。万人受けする曲ではないかもしれませんが、当時としては最先端を行っているような感覚はありましたね。

 

5位 哀愁情句 早見優 

(8位 9.0万枚 作詞 銀色夏生 作曲 筒美京平 1984年)

早見優にとっては久しぶりのバラードとなった11thシングルです。『夏色のナンシー』のイメージをしばらく続けた後でのスローチューンでしたので、雰囲気はガラリと変わった印象が強かったです。さすがに大沢誉志幸用の歌詞とは手法を変えていて、少し大人の歌へとステップアップしていく段階のアイドル向けの歌詞になっています。

 

4位 さよならと言われて 松本典子 

(17位 5.6万枚 作詞 銀色夏生 作曲 呉田軽穂 1985年)

作曲が松任谷由実という珍しい組み合わせ。アイドルとして売り出し中の松本典子3rdシングルは、秋から冬にぴったりな切ない失恋ソング。銀色夏生としてはかなり正攻法に作られたと作品で、潮風、渚、朝焼けなどの言葉から浮かぶ情景と、歌い手の心情とが重なり、痛いほど悲しさ寂しさせつなさが伝わってきます。

 

3位 悪戯NIGHT DOLL 柏原芳恵 

(10位 9.5万枚 作詞 銀色夏生 作曲 筒美京平 1984年)

演じる私と本当の私、振りをする自分とそれを客観的に見つめる自分。恋する女性の裏と表の二面性を巧みに表現した歌詞には、銀色夏生のまた一面を表現してくれているようでもあります。この手の感じはアイドルでは柏原芳恵ならでは。

 

2位 晴のちBLUE BOY 沢田研二 

(11位 9.5万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1983年)

作曲が大沢誉志幸ということで、作詞を銀色夏生が担当。沢田研二がいろんなアーティストの曲に挑戦している時期で、今作は惜しくもトップ10には入りませんでしたが、ジャングルビートを取り込んだ、当時としては斬新でかっこいい曲に仕上がっています。

 

1位 そして僕は途方に暮れる 大沢誉志幸 

(6位 28.2万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1984年)

それまでの人を選ぶような難しい曲から、多くの人の心に染み入りやすいメロディーを採用したことで大ヒット。CMソングとして起用されたその映像もまた素晴らしくて、その相乗効果もあったでしょう。銀色夏生の歌詞も抑え目な感じがメロディーにもマッチして、名曲に仕上がっています。