80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.37

 

亀井登志夫(作曲家)

そもそもは自身もグループのメンバーとしてデビューし、その後もバンドやユニットを組み替えて活躍を続けているミュージシャンですが、多くのアーティストに曲も提供し続けています。特に女性アイドルへの曲の提供が多く、80年代にもトップアイドル達のヒットに結びついています。ポップで賑やかな感じの曲は少ない印象ではあります。

 

亀井登志夫作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 コートダジュールで逢いましょう 高橋由美子 

(19位 3.2万枚 作詞 秋元康 作曲 亀井登志夫 1992年)

ソロアイドル冬の時代に突入しようかという時期、孤軍奮闘していた高橋由美子の7thシングルです。歌詞もメロディーもちょっと不思議でおしゃれな雰囲気が漂うものになっていて、なんとか上昇していこうと試行錯誤がみられる時期となっています。

 

9位 蜃気楼 高橋真梨子 

(31位 3.1万枚 作詞 松井五郎 作曲 亀井登志夫 1986年)

タイトル通りのつかみどころのない作品で、特にサビまでがなかなか難しいのですが、高橋真梨子はさすがにそれを歌いこなし、妖しさをしっかりと表現しています。

 

8位 抱きしめたい 松本伊代 

(9位 15.1万枚 作詞 康珍化 作曲 亀井登志夫 1982年)

松本伊代5thシングルは、デビュー曲以来のオリコントップ10入りを果たします。それまでの不思議系の楽曲から一転、少し大人っぽい作品へと転換を図ったのが功を奏した形です。どこか中華風味のアレンジは好き嫌いが分かれたかもしれません。

 

7位 マイ・ロンリイ・グッバイ・クラブ 和久井映見 

(24位 6.2万枚 作詞 康珍化 作曲 亀井登志夫 1990年)

ちょっと可愛くて若い新人は、女優業をしながらでも、必ず歌を歌わされた時代、人気のあった和久井映見も例に漏れず歌手デビューしています。ただやはり曲はキャピキャピした感じではなく、落ち着いた楽曲をシングルに選んでいます。亀井登志夫が作曲を担当し、まずまずの売上を上げています。

 

6位 パンドラの恋人 南野陽子 

(1位 19.9万枚 作詞 田口俊 作曲 亀井登志夫 1987年)

南野陽子8thシングルで出す曲出す曲が1位を獲得するようになったアイドルとして全盛期の頃の作品。暗めの曲がわりと多かった南野陽子ですが、この曲もそんな1曲。どこか文学的なにおいのするような感じはありました。

 

5位 バスルームから愛をこめて 山下久美子

(圏外 作詞 康珍化 作曲 亀井登志夫 1980年)

山下久美子のデビュー曲で、セールス的にはなかなか振るわなかったものの、曲としてはなかなか面白いものに仕上がっています。ゆったりとしてメロディーに、舌足らずな山下久美子の独特のボーカルがのっかり、ほかにはないオリジナリティの強い作品になっていたのではないでしょうか。

 

4位 接近 南野陽子 

(6位 13.1万枚 作詞 森田記 作曲 亀井登志夫 1986年)

南野陽子5thシングルでして、少しずつ知名度が上がり、オリコンのトップ10には確実に入ってくるようになった時期のシングルです。おとなしくて一見内気ながら芯が強いイメージの女の子が、繰り返し「好きよあなた」と心の中から念を送ってくるような情念を感じさせる歌です。

 

3位 チャイニーズ・キッス 松本伊代 

(12位 10.5万枚 作詞 康珍化 作曲 亀井登志夫 1983年)

8位に続き2曲連続して亀井登志夫が松本伊代のシングルの作曲を担当。その2曲がどちらも中華っぽい要素(この曲についてはタイトルのこと)を盛り込んでいて、このあたりの戦略的なものは興味深いところはありました。

 

2位 青空のかけら 斉藤由貴 

(1位 16.6万枚 作詞 松本隆 作曲 亀井登志夫 1986年)

実は斉藤由貴のシングルで唯一オリコン1位を獲得したのが意外にもこの作品なのですよね。夏らしくて可愛らしいけどちょっと生意気な感じの曲になっています。とにかく1985~1987年の斉藤由貴のシングルはどれも質が高くて、良曲揃いなのですよね。

 

1位 土曜日のタマネギ 斉藤由貴 

(6位 8.8万枚 作詞 谷山浩子 作曲 亀井登志夫 1986年)

こちらは12インチシングルとしてリリースされていて、そのせいでセールス的には前後に比べてやや落ちます。ただ楽曲としては斉藤由貴らしいほんわかした雰囲気のとっても可愛らしいものに仕上がっていて、亀井登志夫作品の1位とさせていただきました。これが普通のシングルとして発売されていたら、きっとヒットチャート上位に食い込んだでしょうね。