80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.36

 

及川眠子(作詞家)

メディアにもたまに出ることがある女性作詞家です。80年代終盤以降今に至るまで活躍していますが、活躍を始めた当時はアイドル中心に詩を提供、その後幅を広げていったという印象ですね。

 

及川眠子作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 水平線でつかまえて 三浦理恵子 

(6位 6.5万枚 作詞 及川眠子 作曲 都志見隆 1991年)

CoCoのグループとしての作品に作詞を担当することが多かった及川眠子でしたが、ソロとしての三浦理恵子にもたくさん詩を書いていました。その中で順位的に一番上までいったのがこのシングル。小麦色に灼けた肌、真赤な水着と夏の恋のアイドルソング定番のアイテムを盛り込んで、その中でもちょっと面白い表現があったりして、ちょっと気になる歌詞にしてくるところが及川眠子らしいです。

 

9位 原始、女は太陽だった 中森明菜 

(15位 10.0万枚 作詞 及川眠子 作曲 MASAKI 1995年)

タイトルだけでまずひきつけられますね。歌詞の内容はいかにも中森明菜っぽい感じで、具体的な描写ではなく、観念的、もっといえば哲学的な世界が繰り広げられます。及川眠子の幅の広さを認識させられ、改めてプロの作詞家なんだと実感。

 

8位 東京 やしきたかじん 

(52位 13.0万枚 作詞 及川眠子 作曲 川上明彦 1993年)

まずやしきたかじんと及川眠子という組み合わせが意外です。ただ歌詞自体は女詩であるのでそこに違和感はないですが、WinkやCoCoの詩と同じ人が書いているのかと思うと、さすがプロの作詞家という感じではあります。もっともメディアでの彼女のキャラクターを知ると、それも納得のやさぐれ感がよく表れています。

 

7位 EQUALロマンス CoCo

(7位 11.9万枚 作詞 及川眠子 作曲 山口美央子 1989年)

本格的に女性アイドルの中心がグループに移っていったターニングポイントがCoCoのデビューで、その最初の曲を作詞したのが及川眠子です。デビュー曲ということもあって、やわらかい印象の歌詞になり、これが初期のCoCoのイメージにもつながったということでは、果たした役割は小さくなかったのではないでしょうか。

 

6位 ささやかな誘惑 CoCo 

(3位 10.2万枚 作詞 及川眠子 作曲 都志見隆 1990年)

CoCoには『はんぶん不思議』『Newsな未来』『無敵のOnly You』『横浜Boy Style』といったヒット曲を作詞していて関係も深い及川眠子ですが、タイトルを聞いてちょっとドキッとするのがこの曲でしょうか。穏やかなタイトルが多い中では、ちょっと大人のニュアンスを感じられるタイトルで、歌詞の中でも胸のボタンをひとつ多くはずしたりと、一歩大人への階段を上る的な部分をアピールしたものになっています。

 

5位 ぽろり物語 CHA-CHA 

(13位 4.4万枚 作詞 及川眠子 作曲 見岳章 1990年)

タイトルだけ聞くと、ちょっとエッチな歌詞を想像するのですが、実際は「本音が」ぽろりということで、このあたりはある程度狙いもあるのでしょうかね。CHA-CAH自体コミカルさを持つグループだけに、遊びっぽい歌詞もぴったりとはまってきます。

 

4位 背徳のシナリオ Wink 

(3位 19.6万枚 作詞 及川眠子 作曲 工藤崇 1991年)

Winkには多くの楽曲で作詞、または日本語詞を担当している及川眠子。ロシア民謡調のメロディーに合うような海鳥を象徴に使った歌詞はなかなか魅力的。

 

3位 真夏のトレモロ Wink 

(2位 22.5万枚 作詞 及川眠子 作曲 門倉聡 1991年)

夏のリゾートを舞台に、熱い恋の中に落ちていく女心を歌った作品ですが、どこか幻想的で熱にうなされているような感覚にも陥る歌詞になっています。言葉のリズム感がよくて、意味よりもムードとリズムを重視しているような印象です。

 

2位 淋しい熱帯魚 Wink

(1位 56.4万枚 作詞 及川眠子 作曲 尾関昌也 1989年)

Winkが最も人気が高かった時期に、それまでカバーに頼っていたものが、初めてオリジナル作品で大ヒットに結びついたのがこの曲です。個性的な振り付けは今でも時折真似られるなど、Winkの代表曲となっています。夏の夜のプールを舞台に、来ないあなたを一人寂しく待っている状況を巧みに歌詞にしています。

 

1位 愛が止まらない~Trun It Into Love~ Wink

(1位 64.5万枚 作詞 及川眠子 作曲 M.ストック、M.エイトキン、P.ウォーターマン1988年)

Winkがブレイクした作品で、カイリー・ミノーグの原曲に対して及川眠子が日本語詞をつけて大ヒット。当時はやりのユーロビートのせつなげなメロディーに、友達のラインを越えて高ぶっていく恋心が見事にはまり、楽曲としてまパワーが最大値に。一躍Winkをトップアイドルにのし上げました。及川眠子はWinkに対して、今回取り上げた以外にも『涙をみせないで』『Sexy Music』『夜にはぐれて』『ニュー・ムーンに逢いましょう』『きっと熱いくちびる』『追憶のヒロイン』『摩天楼ミュージアム』『リアルな夢の条件』などのヒット曲で詩をつけています。