80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.35
南佳孝(作曲家)
『スローなブギにしてくれ』をヒットさせるなどシンガーソングライターとしても活躍していた南佳孝ですが、他のアーティストへもよく曲を提供していました。ヒットした曲はあまり多くないのですが、南佳孝らしい作品を多く世に出してきましたので、10曲を選んでみました。作詞は松本隆が担当しているケースが多いですね。
南佳孝作曲作・ベスト10
★=80年代発売
番外 プリマドンナになれなくて 松本伊代
アルバム『夢ひとつ蜃気楼』の中の一曲ですが、シンプルなアレンジも含めて私の好きな曲です。今回調べて、これが南佳孝の作曲だと知りまして、番外としてあげてみました。
10位 透明なオレンジ 安田成美
(89位 0.6万枚 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1984年)★
安田成美の3rdシングルとして発売された曲です。歌手としてはどうも心もとない歌唱力で、聴いていて不安になることが多かった安田成美ですが、この曲も南佳孝らしさにあふれた作品です。ただちょっと難しかったのでは?あまり売れ線を狙ったような作品ではないように感じますし。
9位 ミスティー・ヒロイン 三原順子
(52位 1.6万枚 作詞 来生えつこ 作曲 南佳孝 1983年)★
セールス的には伸びなかった作品で、当時の三原順子のキャラクターどおりの大人っぽい雰囲気の楽曲です。聴くと実に南佳孝らしいメロディーなのですが、ただその分あまり万人受けしなさそうなところもあって、戦略的にうまくいかなかったです。
8位 エンゼル・フィッシュ 高橋美枝
(圏外 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1984年)★
2ndシングルにてすでにトップ100圏外という苦しい状況の高橋美枝。松本隆、南佳孝、大村雅朗という作家陣からして力が入っていたこともわかるのですが、キャッチーでアイドルらしいデビュー曲に比べると、ゆったりと優雅な味わいのこの曲は、一般的には受けが悪かったかも。ただ南佳孝らしさは充分に表れていたとは思います。
7位 チューリップの蕾 大西結花
(25位 2.0万枚 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1988年)★
失恋によるせつなさを漂わせながらも、耐えて前向きに立ち直ろうとする気丈な明るさも含んだじわじわと染み入る楽曲です。やや勢いを失ってきた時期の大西結花ということで、順位的にはいまひとつでしたが、派手ではないけれど、味わいのあるいい曲です。
6位 ハーモニー・ラヴ 藤原理恵
(圏外 作詞 松井五郎 作曲 南佳孝 1985年)★
曲によってトップ100に入るか入らないか売れないアイドルでしたので、あまり陽の目を見ることのない作品ですが、これも南佳孝らしさを感じさせるゆったり感がいい塩梅です。まあ、売れ線とは違うのかもしれませんが。
5位 LA WOMAN 岩崎良美
(34位 5.9万枚 作詞 大津あきら 作曲 南佳孝 1981年)★
この頃からおしゃれ路線に進みだした岩崎良美。夏の海を舞台にしたリゾートラブソングに南佳孝特有のミディアムテンポのゆったり感は、どこか贅沢さを感じさせて、ひと時のバカンスを楽しんでいるかのような気分を味わえます。
4位 Strange Pink 山瀬まみ
(36位 1.6万枚 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1987年)★
4thシングルのこの曲までは、正統派のアイドルソングで勝負していた山瀬まみ。そのどれもがアイドルソングとしてはなかなかの良い出来栄えだったのですが、そのうちの2曲を南佳孝が作曲。恋人との港デートの様子を描いた可愛らしい曲で、南佳孝のメロディーも完全にアイドルソングということで割り切ったものになっているように思います。
3位 メインテーマ 薬師丸ひろ子
(2位 51.2万枚 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1984年)★
南佳孝作曲の歌の中でもっとも売れたのがこの作品。薬師丸ひろ子のボーカルによって、透明感のある楽曲に仕上がっています。けっして派手なメロディーではないのですが、聴けば聴くほど味のあるそんな一曲です。
2位 セクシー・ユー(モンロー・ウォーク) 郷ひろみ
(11位 20.4万枚 作詞 来生えつこ 作曲 南佳孝 1980年)★
もともとは南佳孝自身が『モンロー・ウォーク』として発売していた曲ですが、当時大人のセクシー路線へと転換を図っていた郷ひろみ陣営が目を付けたのかどうだかわかりませんが、カバーしてヒットしたという作品です。当時思春期を迎えようとしていた男の子にとっては、多少刺激的で、大きな声で歌うのが憚れるようなそんな刺激的な曲ですが、それだけインパクトは大きかったです。
1位 Heartbreak Cafe 山瀬まみ
(29位 2.2万枚 作詞 松本隆 作曲 南佳孝 1986年)★
山瀬まみ3rdシングルはカフェを舞台にした切ない失恋ソングですが、これがまた良い曲なのです。情景が浮かぶような歌詞はさすが松本隆なのですが、そこに南佳孝のメロディーがしっかりと感情を揺さぶってきて、聴いていると歌詞の主人公の気持ちに入り込んでしまうのです。あまり売れませんでしたが、作曲家南佳孝のナンバーワンに選びました。