80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.34

 

松宮恭子(作詞・作曲家)

東大出身の才女でもあり、作詞も作曲も両方をこなす作詞家作曲家です。

 

松宮恭子作詞・作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 愛の呪文 石川秀美 

(7位 5.5万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子1985年)

石川秀美にとっては、ちょっと難しい感じの歌が続いた後での、久しぶりに王道アイドルソングに戻ったのがこの曲です。唯一の紅白でもこの曲を披露。くせのない誰もが受け入れやすい明るくテンポの良い作品です。

 

9位 イエスタディドリーマー 榊原郁恵 

(59位 3.0万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1982年) 

アイドルとしては末期に出された曲であまり売れなかったですが、しっとりとした大人の別れの曲に仕上がっています。愛の終わりを感じ取った女性が、愛し合っていた頃の二人を思い出して懐かしむような、切なくなる歌詞が心に響きます。

 

8位 ひき潮 榊原郁恵 

(65位 2.4万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1982年)

これも9位と似た感じの別れの曲になっていて、しっとりとしたメロディーが心に染み入るようで泣けてきます。いい曲なのですけれど、あまり日の目を見なかったのは残念です。

 

7位 あの頃にもう一度 早見優 

(27位 4.5万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1983年)

早見優のシングルの中では地味めな作品ですが、ブレイク前の早見優は、いろんなタイプの曲に挑戦しながら、方向性を探っているような状態。9位、8位曲同様にこちらもしっとり系の歌ですが、松宮恭子はなぜかスローな曲はヒットにあまり縁がないのが不思議なところ。この曲もいい曲ですけどね。

 

6位 愛をください 河合奈保子 

(7位 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 17.7万枚 1982年) 

作詞は伊藤アキラとの共作です。メロディーとしては切なさが強調されたマイナー曲ですが、明るく元気な河合奈保子のイメージを一旦崩しにかかったようなところはあるでしょう。ただ当時としてもやや古さを感じるザ・歌謡曲的なアレンジで、松宮恭子らしくないところはあるかもしれません。

 

5位 涙のジルバ 高田みづえ 

(22位 9.6万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1981年)

『私はピアノ』の次のシングルとして選ばれたのがこの曲。その勢いもあって、そこそこの売上を伸ばしています。振られて悲しい状況を、おどけて笑ってしまおうという、無理に平気を装う複雑な女ごころが伝わってきて、高田みづえらしい楽曲になっています。

 

4位 Hey! ミスター・ポリスマン 石川秀美 

(10位 15.1万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1983年)

初めて石川秀美がオリコントップ10に入った作品で、上昇気流の中で、ポップでキャッチー、そしてコミカルな要素も加わったこの時期の石川秀美にぴったりのシングル曲になりました。

 

3位 サーフサイドブリーズ~真夏の風 森川美穂 

(70位 0.6万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1986年)

あまり売れませんでしたが、キャッチーで夏らしいなかなかの佳曲です。歌唱力がありすぎて、アイドルなのかボーカリストなのか、デビュー直後の森川美穂の方向性の迷いがそうさせたのかもしれませんが、今回取り上げた松宮恭子の曲の中でも、10位と並んでポップで明るいナンバーになっています。

 

2位 ミステリー・ウーマン 石川秀美 

(5位 13.8万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1984年)

石川秀美へ提供した曲の中では最もハードでカッコいい曲です。まくしたてるように歌う英語の部分が聴いていても一緒に歌っても快感なのですよね。10位、4位のいかにもアイドル的な曲ではない、アーティストっぽいところを取り入れたこの作品で、松宮恭子の引き出しの広さを認識させられました。

 

1位 潮風の少女 堀ちえみ 

(27位 8.8万枚 作詞 松宮恭子 作曲 松宮恭子 1982年)

まだあどけなさの残る堀ちえみのデビュー曲を松宮恭子が作詞・紗曲しています。まだ自信なさげでふわふわしている感じがこの楽曲にもよく表れて、初々しさを感じさせてくれます。堀ちえみというアイドルのデビュー曲としては、結果としてぴったりだったように思います。最高順位のわりに売上枚数も積み重なって、じわじわ売れていったのも、楽曲の力が貢献しているのではないでしょうか。